不動産購入者は必ず確認!不動産取得税の計算方法
By Oh!Ya編集部
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不動産を購入するときに、意外と忘れがちなのが「不動産取得税」です。この税金は、不動産を取得してから半年~1年後に請求されるので、忘れた頃に請求される税金といわれています。
もちろん、投資用不動産を取得したときにも発生するので、不動産投資を検討している方も知っておく必要があります。そこでこの記事では、不動産取得税とはなにか?どのように計算するのか?について解説していきます。
また、以下の記事でも不動産取得税について詳しく解説しています。そもそも不動産取得税って何?と考えている方は、ぜひチェックしてみてください。 不動産取得税とは?3つの軽減措置と注意点を徹底解説
目次
不動産取得税とは?
まずは、そもそも不動産取得税とはどのような税金か?という点について知っておきましょう。不動産取得税とは、読んで字のごとく「不動産を取得したとき」にかかる税金のことです。
不動産を「取得」したときなので、「不動産を購入するとき」以外でも、不動産を贈与されたときにも不動産取得税は発生します。ただし、相続時には発生しない税金です。
また、不動産取得税は国税ではなく地方税なので、細かいルールなどは自治体によって異なる場合があります。概ねどの自治体も同じですが、今回は、東京都主税局の内容を基に解説していきます。
詳しくは、「エリア名(都道府県など) 税事務所」と検索すれば、管轄する税事務所のサイトが出てくるはずです。
不動産取得税の計算式とは?
次に、本題である不動産取得税の計算方法について以下を知っておきましょう。
- 宅地の特例を踏まえた計算式
- 計算式の実例
- 不動産取得税は免除される場合もある
宅地の特例を踏まえた計算式
不動産取得税の計算式は「固定資産税評価額×3%」です。厳密には「固定資産税評価額 × 4%」なのですが、2021年3月31日までは、宅地であれば税率は4%から3%に軽減される点は覚えておきましょう。
言い換えると、このルールが延長されなければ、2021年4月1日から取得する不動産は、不動産取得税の税率が上がるということです。
もちろん、投資用だとしても賃貸物件であれば税率は3%になります。さらに、土地部分に関しては税率が3%に軽減された上で、「固定資産税評価額」も1/2に軽減されます。
計算式の実例
では、前項の計算式を利用して、建物の固定資産税評価額2,300万円、土地が2,800万円(150㎡)の場合の税額を計算してみましょう。
- 建物:2,300万円×3%=69万円
- 土地:(2,800万円×1/2)×3%=42万円
このように、合計で111万円という高税額です。ただし、不動産取得税は軽減を受けられるケースもあるので、詳細は後述します。
とはいえ、投資用物件の場合は軽減を受けられないケースも多いため、不動産取得税は高額になりがちという点は認識しておきましょう。
不動産取得税は免除される場合もある
不動産取得税はどんな不動産を取得しても発生する税金ですが、以下の不動産の場合は発生しません。
- 土地の取得が10万円未満
- 建築費用が1戸当たり23万円未満
- 中古物件は1戸につき12万円未満
要は、上記のような不動産は固定資産税評価額が極めて安価なので、不動産取得税も発生しないのです。この免除に関しては、地方税法(不動産取得税の免税点)第七十三条の十五の二によって定められています。
とはいえ、投資用不動産で上記のような物件はないと思って良いでしょう。そのため、参考程度に認識しておいてください。
不動産取得税の計算ツール
次に不動産取得税の計算ツールを紹介します。また、不動産取得税の計算するために必要な「固定資産税評価額」を調べる方法も合わせて紹介します。
固定資産税評価額を調べる方法
固定資産税評価額を調べる方法は、取得する不動産が中古なのであれば「固定資産税の納税書」を売主(現所有者)から見せてもらいましょう。その書類に固定資産税評価額の記載があります。
また、新築物件の場合は建物が建築されてからしか正確な固定資産税評価額は分かりません。ただ、売主である不動産会社が概算を出しているはずなので、ヒアリングしておきましょう。
不動産取得税の計算ツールとは?
東京都主税局には不動産取得税の計算ツールが用意されているので、不動産取得税の計算をしたい人は活用してみてください。以下より、計算例と注意点を解説します。
計算例
前項の計算ツールを利用して、仮に以下のような中古アパートを一棟購入するときをシミュレーションしてみます。
- 土地の面積:130㎡
- 土地の評価額:1,500万円
- 建物の床面積:110㎡
- 建物の評価額:1,200万円
上述した条件を入力すると、以下のような結果が表示されます。
土地 | 項目 | 家屋 |
---|---|---|
15,000,000円 | 価格 | 12,000,000円 |
- | 控除額 | 0円 |
7,500,000円 | 課税標準額 | 12,000,000円 |
225,000円 | 当初税額 | - |
0円 | 減額額 | - |
225,000円 | 納める額 | 360,000円 |
このように、納める額を自動計算してくれるツールです。
注意点
ただし、このツールには以下の不動産は不動産取得税を算出できないという注意点があります。
- 新築物件
- 増築や改築による家屋
- 併用住宅など住宅と非住宅が混在している家
投資物件では、上記のいずれも当てはまる場合があるでしょう。また、この計算ツールはあくまで参考金額を算出するだけなので、おおよその金額として認識しておきましょう。
不動産取得税の軽減措置がある
では、さいごに不動産取得税の軽減措置について解説します。というのも、不動取得税を正確に計算するためには、軽減を受けられれば軽減を加味して計算する必要があるからです。
先に言っておくと、マイホームなどの購入には「中古住宅取得時の不動産取得税の軽減措置」はありますが、投資用不動産は適用外です。
そのため、以下より投資用不動産の取得時にも適用できる、「新築住宅を取得したとき」の不動産取得税の軽減措置について解説していきます。
一棟アパートや一棟マンションの建築、もしくは新築戸建て投資をする場合などは参考にしてください。
軽減の内容とは?
不動産取得税の軽減措置は以下のような内容です。
- 建物の不動産取得税=(固定資産税評価額−1,200万円)×3%
- 土地の不動産取得税=(固定資産税評価額×1/2×3%)−控除額
このように、固定資産税評価額を減額することができるというのが、軽減措置の内容になります。
土地の控除額とは?
土地の「控除額」は、「45,000円」もしくは「(1㎡当たりの土地の固定資産税評価額×1/2)×(課税床面積×2(200㎡がマックス)) × 3%」のどちらか金額が高い方です。
これは、多くの場合で後者の方が高くなるので、後者が適用されるでしょう。
土地の控除額の計算例
たとえば、90㎡の土地で固定資産税評価額が1,620万円(1㎡あたり18万円)であれば、「(1㎡18万円×1/2)×(90㎡×2)×3%=48.6万円」です。
そのため、4.5万円よりも高額な48.6万円の方を控除額とします。いずれにしろ、この軽減が適用されれば控除額が大きいことが分かります。
軽減の条件:建物編
上記の軽減を受けられるための条件は、建物・土地それぞれに条件があります。まずは、建物から軽減を受けられる条件、および注意点を解説してきます。
建物の条件
上述した軽減を受けられる建物は以下の通りです。
- 自宅やセカンドハウスや賃貸用マンションなど住宅全般
- 課税床面積が50㎡以上240㎡以下
- ただし戸建て以外は40㎡以上240㎡以下
課税床面積に注意
注意点は「課税床面積」です。課税床面積とは登記面積のことで、図面集に記載されている面積…もっというと広告などで売り出されている面積とは異なります。
というのも、図面の面積は壁の一部を含める「壁芯面積」であり、登記面積は壁を含まない「内法(うちのり)面積」だからです。
つまり、「図面集の面積>課税床面積」になるので、特に50㎡強の物件を取得する場合には、登記面積で50㎡を切る可能性があるので気を付けましょう。
一棟物件の注意点
この軽減措置は一棟物件にも適用されますが、一棟物件の場合は部屋が複数あります。仮に、課税床面積が50㎡以上と50㎡未満の両方がある場合には、50㎡以上の部屋のみ軽減対象です。
そのため、不動産取得税を算出する計算式が非常に複雑になり、上述した計算ツールでも算出は不可能です。どうしても税額を知りたいのであれば、税理士に相談することをおすすめします。
軽減措置を受けられる土地とは?
先ほど紹介した軽減を受けられる土地は、以下の通りです。
- 前項の「建物」の軽減の要件を満たしている
- (土地先行)土地を取得から3年以内に建物を新築する※2020年3月31日までの特例
- (建物先行)住宅を新築した人が新築1年以内にその土地を取得する
上記の「建物先行」は、借地に投資用物件を建築し、その後に土地を買い取る…という特殊なパターンなので、該当するケースはほぼないと思って良いです。
そのため、「土地先行」のパターンの条件を確認しておきましょう。
軽減を受けたときの税額シミュレーション
では、軽減を受けたときの税額シミュレーションをしましょう。仮に、以下の物件を取得したとします。
- 土地の面積:130㎡
- 土地の評価額:1,500万円
- 建物の床面積:110㎡
- 建物の評価額:1,200万円
その際には、不動産取得税は以下の通りです。
不動産の種類 | 軽減なし | 軽減あり |
---|---|---|
建物 | 36万円 | 0万円 |
土地 | 22.5万円 | 0円 |
合計 | 58.5万円 | 0万円 |
このように、上記のケースの場合は全額控除されるので、不動産取得税はゼロ円です。
まとめ
このように、不動産取得税の計算は、基本的には「固定資産税評価額×3%」と思って問題ないです。
ただ、新築アパートやマンションを建築するときや、新築の区分投資をする場合は、軽減を受けられる可能性はありますので、内容を確認しておきましょう。