不動産取得税は還付される?軽減と手続き方法を知っておこう
By Oh!Ya編集部
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不動産を取得すると、それがマイホームでも投資用不動産でも「不動産取得税」という税金がかかります。しかし、不動産取得税は条件が揃えば「軽減」があり、還付(軽減)手続きをすることも可能です。
今回は、「不動産取得税の還付」にフォーカスを当て、還付手続きや軽減の仕組みについて詳しく解説してきます。不動産取得を検討している人は、ぜひ確認してみてください。
また、以下の記事でも不動産取得税について詳しく解説しています。そもそも不動産取得税って何?と考えている方は、ぜひチェックしてみてください。 不動産取得税とは?3つの軽減措置と注意点を徹底解説
目次
不動産取得税の還付を受ける手続き
不動産取得税には軽減措置があります。その軽減措置の内容については後述しますが、その軽減措置は不動産取得税の還付ともいえます。
そのため、まずは還付を行う手続きについて以下を知っておきましょう。
- 還付を受けるための手続きとは?
- 自動処理する場合もある
還付を受けるための手続きとは?
後述する不動産取得税の軽減を受け、不動産取得税を還付させるための手続きに関しては以下を知っておきましょう。
- 不動産取得税申告書の提出
- 添付資料の内容
- 自動処理する場合もある
不動産取得税申告書の提出
不動産取得税の還付を受けるためには、「不動産取得税申告書」」という書類を提出します。この書類は建物(家屋)用・土地用の2種類あるので気を付けましょう。
また、書類の提出は不動産を取得してから60日以内であり、管轄している税事務所へ提出する必要があります。管轄する税事務所が分からなければ、「エリア名 税事務所」でネット検索してみましょう。
添付資料の内容
また、前項の不動産取得税申告書と一緒に、以下の添付資料も必要になります。
- 売買契約書
- 最終代金受領証
- 建築確認済み証
- 建築工事請負契約書
- 図面集
- 長期優良住宅認定通知書(認定長期優良住宅の場合のみ)
上記に加えて、建物完成後に「検査済証or登記事項証明書or建物引渡証明書」と、謄本(登記記録が分かるもの)が必要になります。
自動処理する場合もある
ただ、例外的に自治体の方で自動処理してくれることもあります。
つまり、上述のような不動産取得税の軽減を申告せずとも、自治体が登記記録から軽減ありと見なし、軽減措置を加味した税額を請求してくれるというわけです。
このルールは自治体ごとに異なるので、管轄の税事務所に確認してみましょう。
不動産取得税の軽減措置がある
前項で解説した還付は、そもそも「不動産取得税の軽減措置を受けられる」という前提です。結論からいうと、投資用物件の場合は「新築取得時」の軽減措置が受けられます。
ただ、中古住宅取得時の軽減はマイホーム取得時だけです。そのため、ここでは新築住宅取得時の軽減について以下を解説していきます。
- 軽減の内容とは?
- 軽減を受けられる建物とは?
- 軽減措置を受けられる土地の条件
- 軽減を受けたときの税額シミュレーション
軽減の内容とは?
条件を満たせば、不動産取得税について以下の軽減措置が受けられます。
- 建物の不動産取得税=(固定資産税評価額−1,200万円)×3%
- 土地の不動産取得税=(固定資産税評価額×1/2×3%)−控除額
また、そもそも住宅地の不動産取得税は軽減なしなら「固定資産税評価額×3%」です。土地に関しては、住宅地であれば「固定資産税評価額×1/2」になります。
要は、軽減ありになると建物は固定資産税評価額から1,200万円引かれ、土地は税額から「控除できる額」が発生するというわけです。
土地の「控除額」とは?
土地の控除額については、以下いずれかの高い方です。
- 45,000円
- (1㎡当たりの土地の固定資産税評価額×1/2)×(課税床面積×2(200㎡がマックス))× 3%」
控除額の計算事例
たとえば、80㎡の土地で固定資産税評価額が1,200万円(1㎡あたり15万円)であれば、「(1㎡15万円×1/2)×(80㎡×2)×3%=36万円」です。
このケースでは、高い方は上記の36万円なので、上述した控除額には36万円が当てはまります。
軽減を受けられる建物とは?
前項で解説した軽減は、全ての住宅に適用されるわけではありません。条件は土地・建物に分かれているので、まずは建物の条件から解説します。
建物の条件
上述した軽減を受けるためには、以下の条件を満たしておく必要があります。
- 自宅やセカンドハウスや賃貸用マンションなど住宅全般
- 課税床面積が50㎡以上240㎡以下
- ただし戸建て以外は40㎡以上240㎡以下
注意点は課税床面積です。というのも、図面集や広告に表記されている面積は、壁の一部も面積に含まれて(壁芯面積)います。
一方、課税床面積は登記面積なので、壁の内側からの面積(内法面積)になるため、壁芯面積よりも小さくなるのです。
そのため、壁芯面積53㎡くらいまでであれば、登記面積で50㎡を切る場合があるので注意しましょう。
一棟物件の注意点
また、一棟物件の場合は、50㎡以上と50㎡未満の部屋が混在するケースがあるでしょう。特に、投資用(賃貸用)の不動産はコンパクトな物件が多いため、50㎡未満が一般的です。
そのため、たとえば「最上階だけは50㎡以上」という物件も多いですが、その場合は50㎡以上の部屋にだけ軽減措置は適用されます。
このように、一棟物件は不動産取得税の軽減が複雑になるので、自力での計算は難しくなります。そのため、建物を新築する前に税額を知りたければ、税理士に相談することをおすすめします。
軽減措置を受けられる土地の条件
前項は建物の条件であり、土地が軽減措置を受けられる条件は以下の通りです。
- 前項の「建物」の軽減の要件を満たしている
- (土地先行)土地を取得から3年以内に建物を新築する※2020年3月31日までの特例
- (建物先行)住宅を新築した人が新築1年以内にその土地を取得する
建物先行は、借地に建物を建築した後に土地を買い取る…という特殊なパターンなので、参考程度に認識ください。
大体は、土地を購入してその土地に建物を建築する…という土地先行のパターンと思って良いでしょう。
軽減を受けたときの税額シミュレーション
仮に、建物の固定資産税評価額が1,400万円、土地が1,800万円(100㎡)の場合に、軽減措置あり・なしの税額を比較してみましょう。
不動産の種類 | 軽減なし | 軽減あり |
---|---|---|
建物 | 42万円 | 6万円 |
土地 | 27万円 | 0円 |
合計 | 69万円 | 6万円 |
このように、不動産取得税が軽減されれば不動産取得税は大きく減額されることが分かります。だからこそ、還付手続きする必要があるのです。
不動産取得税の免除について
また、こちらは還付手続き不要ですが、以下の物件にはそもそも不動産取得税は発生しない点は認識しておきましょう。
- 土地の取得が10万円未満
- 建築費用が1戸当たり23万円未満
- 中古物件は1戸につき12万円未満
この免除は、地方税法(不動産取得税の免税点)第七十三条の十五の二によって定められていることです。
ただ、投資物件で上記に該当する物件はほぼないので、参考程度に認識しておけば問題ないです。
まとめ
このように、不動産取得税には軽減(還付)措置があり、それを受けるためには手続きが必要です。まずは、自分が取得しようとしている物件は、軽減が受けられる物件かどうか?という点を確認しましょう。
その上で、還付に必要な手続きを取るという流れです。ただ、念のために詳細は管轄する税事務所に確認した方が良いです。