不動産取得税はいくら?計算方法と3つのケーススタディを解説
By Oh!Ya編集部
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不動産取得税とは、不動産を購入・贈与(取得)したときに発生する税金であり、国税ではなく地方税になります。また、相続で不動産を取得したときには発生しない税金です。
今回の記事は、全て東京都主税局をベースに解説しています。そのため、東京都以外の人は、細かい内容に関しては管轄の税事務所のサイトで確認ください。
また、以下の記事でも不動産取得税について詳しく解説しています。そもそも不動産取得税って何?と考えている方は、ぜひチェックしてみてください。 不動産取得税とは?3つの軽減措置と注意点を徹底解説
目次
不動産取得税はいくら?計算式を解説
らか?という点について、以下を解説します。
- 不動産取得税の計算式
- 不動産取得税は免除される場合もある
不動産取得税の計算式
不動産取得税の計算式は、土地も建物も「固定資産税評価額×3%」です。厳密には4%なのですが、2021年3月31日までの「住宅(地)」の取得であれば、利率は3%に軽減されています。
また、住宅地の取得であれば、利率は3%かつ「固定資産税評価額」は1/2まで減額されます。
不動産取得税は免除される場合もある
ただ、以下の物件は不動産取得税が免除されます。
- 土地の取得が10万円未満
- 建築費用が1戸当たり23万円未満
- 中古物件は1戸につき12万円未満
上記の免除に関しては、地方税法(不動産取得税の免税点)第七十三条の十五の二によって定められていることです。
とはいえ、投資用物件で該当するケースはほぼないため、参考程度に認識ください。
不動産取得税の軽減とは?
次に、不動産取得税はいく 前項までで不動産取得税の計算式が分かったと思いますが、不動産取得税がいくらか?という点は、軽減措置があるかないかで大きく変わってきます。
そのため、次に不動産取得税の軽減措置である以下を解説した後に、実際に計算するケーススタディを紹介します。
- 軽減の内容
- 軽減を受けられる建物とは?
- 軽減措置を受けられる土地とは?
- 認定長期優良住宅の税額の軽減
軽減の内容
不動産取得税の軽減措置の内容は以下の通りです。
- 建物の不動産取得税=(固定資産税評価額−1,200万円)×3%
- 土地の不動産取得税=(固定資産税評価額×1/2×3%)−控除額
要は、建物は固定資産税評価額から1,200万円差し引かれます。そして、土地は控除できる金額があるため、どちらも不動産取得税額はかなり減額され、場合によってはゼロにもなり得るでしょう。
土地の控除額について以下より詳しく見ていきましょう。
土地の控除額とは?
土地の控除額は、以下の高い方が採用されます。
- 45,000円
- (1㎡当たりの土地の固定資産税評価額×1/2)×(課税床面積×2(200㎡がマックス))×3%
たとえば、80㎡の土地で固定資産税評価額が1,760万円(1㎡あたり22万円)であれば、「(1㎡22万円×1/2)×(80㎡×2)×3%=52.8万円」です。
そのため、このケースでは4.5万円より高額な52.8万円が控除額となります。言い換えると、土地の不動産取得税が52.8万円以下ならゼロになります。
軽減を受けられる建物とは?
この軽減措置が受けられる建物の条件は以下の通りです。
- 自宅やセカンドハウスや賃貸用マンションなど住宅全般
- 課税床面積が50㎡以上240㎡以下
- ただし戸建て以外は40㎡以上240㎡以下
課税床面積は登記面積であり、登記面積は図面集記載の面積よりも小さくなります。そのため、図面集上で53㎡くらいまでの部屋であれば、登記面積では50㎡を切る可能性があるので注意しましょう。
軽減措置を受けられる土地とは?
また、軽減措置を受けられる土地は以下の通りです。
- 前項の「建物」の軽減の要件を満たしている
- (土地先行)土地を取得から3年以内に建物を新築する※2020年3月31日までの特例
- (建物先行)住宅を新築した人が新築1年以内にその土地を取得する
投資物件において、建物を購入→土地を購入という建物先行はほぼないので、土地先行だけチェックしておけば良いでしょう。
認定長期優良住宅の税額の軽減
また、仮に建築する投資用アパートなどが長期優良住宅であれば、「建物の不動産取得税=(固定資産税評価額−1,200万円)×3%」という軽減が、1,200万円から1,300万円に変わります。
その際の条件は以下の通りです。
- 2020年3月31日までに取得した住宅
- 長期優良住宅の普及の促進に関する法律第10条第2号に規定する住宅であること
- 課税床面積が50㎡以上240㎡以下
- ただし戸建て以外は40㎡以上240㎡以下
上記の「長期優良住宅の普及の促進に関する法律第10条第2号に規定する住宅」は、簡単にいうと「長期優良住宅」と施文業者から認められていることです。
不動産取得税はいくら?ケーススタディ
では次に、前項までを踏まえて、以下の物件の不動産取得税がいくらになるか?を計算してみましょう。
- 建物の固定資産税評価額:2,300万円
- 土地の固定資産税評価額:2,600万円(130㎡)
この場合に、軽減措置あり・なし、そして軽減措置あり(長期優良住宅)のケースで不動産取得税を計算していきます。
軽減措置なし
軽減措置なしの計算式は以下の通りです。
- 建物の不動産取得税:2,300万円×3%=69万円
- 土地の不動産取得税:(2,600万円×1/2)×3%=39万円
このように、軽減措置なしの場合は合計で108万円の不動産取得税がかかります。上記は、たとえば比較的築浅の鉄骨造中古アパートを取得したときなどが該当するパターンでしょう。つまり、投資物件としては普通にあり得る話です。
軽減措置あり
軽減措置ありの場合の計算式は以下の通りです。
- 建物の不動産取得税:(2,300-1,200万円)×3%=33万円
- 土地の控除額:(1㎡当たりの土地の固定資産税評価額20万円×1/2)×(130㎡×2(200㎡がマックス))×3%=60万円
- 上記を加味した土地の不動産取得税:(2,600万円×1/2)×3%-60万円=マイナス21万円(ゼロ円・非課税)
このように、建物は69万円から33万円に減額され、土地は39万円からマイナス21万円に減額…つまりゼロ円になります。
軽減措置あり(長期優良住宅)
さいごに、前項とほぼ変わりませんが、軽減ありで長期優良住宅の場合は以下の通りです。
- 建物の不動産取得税:(2,300-1,300万円)×3%=30万円
- 土地の不動産取得税:前項と同じ
このように、建物の控除額が1,200万円から1,300万円に変わっただけなので、大きな違いはありません。
投資用物件の注意点
投資用物件は、アパートやマンションを建築して経営するパターンは多いので、「新築物件の取得」として不動産取得税の軽減の対象にはなります。
しかし、賃貸物件は1R・1Kが主流で、大きくても1LDKが多いです。そのため、課税面積50㎡以下の物件が多いため、実際に軽減を受けられるケースは多くないでしょう。
そのため、上述したケーススタディのように、不動産取得税は数十万円から100万円を超える場合があるの要注意です。
特に、不動産取得税は不動産を取得してから半年~1年後に請求されるので、忘れないように金額分はストックしておく必要があります。
まとめ
このように、不動産取得税は基本的に「固定資産税評価額×3%」であり、投資用物件は軽減を受けらえるケースは多くないです。
とはいえ、軽減を受けられれば大きな減額になるので、軽減対象になる条件は覚えておきましょう。また、上述したケーススタディを参考に、計算方法を頭に入れておくと良いでしょう。