人生100年時代を「不幸な人生モデル」にしないために今すべきこと
By Oh!Ya編集部
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人生100年時代が到来するといわれるなか、経団連会長やトヨタ自動車社長の「終身雇用を維持するのは難しい」といった発言に、世間の不安と注目が集まっています。
一方では、先ほどの発言へ被せるように政府から「高年齢者雇用安定法改正案」の概要が発表され、企業対政府という真逆の主張がぶつかり合う形となりました。
今回は、「私たちは何を頼りに人生100時代を生きれば良いか」というテーマについて解説していきます。
目次
人生100年時代の到来により「人生モデルの見直し」が迫られる
そもそも、人生100年時代というテーマは、世界的に大ヒットした著書「LIFE SHIFT」により広く認知されました。
医療や健康にまつわる技術革新が起こるなかで、私たちの平均余命は飛躍的に伸びつつあり、LIFE SHIFTの著者リンダ・グラットン教授によれば、2007年に日本で生まれた子どもの寿命は107歳ほどだろうと予測されています。
もちろん、事故・病気などで寿命を全うできない可能性はありますが、今後は従来と異なり「私は100歳まで生きるだろう」と考えて行動する方が無難なのです。これに伴って、私たちは人生設計を見直す必要に迫られています。
どうして従来の人生モデルではダメなのか
従来、一般的とされていた人生モデルは、3つのステップにより構成されていました。日本式に当てはめれば、以下のようになります。
1.教育:義務教育、高等教育を経て人生や社会活動に不可欠な知識を学ぶステップ
2.仕事:社会人として働き、社会に価値を与えるべく生産活動をするステップ
3.引退:定年退職をして余生を過ごすステップ
大多数が高校や大学を卒業して、1つ、2つの業界でキャリアを築いて定年まで働く。従来の人生設計では、このような一本道の人生モデルが一般的でした。
しかし、近年ビジネスシーンの移り変わりは激しくなり、大規模な企業でさえも変革なしには生き延びれない状況になっています。当然、内部で働く社員にも変革が求められるようになりますが、先ほど挙げた3ステップの人生モデルはこの変革へ対応することを想定していません。
つまり「教育期間は人生に一度だけ」という価値観が根付いた社員たちは、激動のビジネスシーンを切り開いていきたい会社にとって適材ではないのです。これが冒頭にピックアップした「終身雇用を維持するのは難しい」という発言に繋がっています。
人生100年時代で理想とされる人生モデルはどんなもの?
終身雇用が破綻する懸念とともに、冒頭部分では「高年齢者雇用安定法改正案」の概要が発表されたと解説しました。この改正案は、掻い摘んで取り上げると以下のような内容です。
- 労働者を70歳まで雇用できるように企業努力を促す
- 定年延長のほか、再就職や起業活動を支援する
- 公的年金の給付年齢を70歳以降に設定することを可能とする
このように、企業は「変革できない社員の面倒を見れない」と主張する一方で、政府は「70歳まで雇用できる体制を整えよ」といった意図の制度を具体化させつつあります。
このような状況のなか、私たちが目指すべきなのは「度重なる教育を前提とした人生モデル」です。つまり、教育期間を人生に一回設けるだけでなく、社会人になってからも教育を受ける必要があるのです。
ですから、人生モデルは「教育・仕事・引退」のように単純なプロセスではなく、「教育・仕事・教育・仕事⋯⋯引退」といったように、何度もスキルセットを取得し直すべきだといえます。
こうすることで初めて、企業が求める「変革できる社員」と政府が求める「70歳まで働ける労働者」の両方を満たし、人生100年時代を安定して駆け抜けられる人材になれるのです。
しかし、このように教育と仕事を繰り返す人生モデルは、果たして幸せなのでしょうか?
人生100年時代は「不幸な人生モデル」の象徴になり得る
従来の人生モデルと今後の人生モデルを対比すると、改めて「定年でリタイア」を果たすことが難しいと分かります。大企業の社員ですら人員削減の波にのまれるなか、定年まで勤め上げられる可能性は低くなり、仮に定年退職までこぎ着けたとしても満足に退職金を得られるか分かりません。
そのため、会社員はいままでよりも皆生き残ろうと必死になります。解雇されても再就職ができるよう「受験競争」さながらに激しい競争が始まり、2度目以降の教育から逃げた会社員が落ちこぼれてしまうのです。
そして、一生勉強すべきだと聞き、ポジティブな気持ちになる社会人は決して多くはないはず。飲み会を削り休日を削り、スキルセットを磨き続けることが必要な人生100年時代は、一定数の人たちにとって「不幸な人生モデル」の象徴になり得るのです。
老後に余裕のある生活をしたいなら現役時代に動くべき
先ほどの解説から、人生100年時代は寿命が延びるからと手放しに喜べるものではないと分かります。では、人生100年時代を目前にして、不幸な人生モデルにならないよう対策するには、どのような行動を起こすべきでしょうか?
- 教育を重ねなければならない
- 70歳まで働かなければならない
- 余暇時間を削らなければならない
- 複数回の転職をしなければならない
従来の人生モデルと比べたとき、人生100年時代を乗り切るための人生モデルには、上記のようなストレスがあります。そのため、不幸な人生モデルを阻止するには、上記のような問題を解決しなければならないのです。
倹約して老後資金を貯蓄し、100歳まで逃げ切れば良いのでは?
こういった意見も挙がりますが、このような姿勢では今後の老後生活を乗り切れない可能性があります。
100歳まで尽きない貯蓄を用意するのは非現実的
2018年度の「家計調査報告」によると、高齢夫婦世帯の消費支出は23万5,615円/月、高齢単身世帯の消費支出は14万9,603円/月です。このデータをもとに、65歳以降の消費支出を100歳まで一定として考えた場合、生涯必要となる老後資金は以下のようになります。
算出対象 | 35年間で必要になる老後資金 |
---|---|
高齢夫婦世帯 | 9,895万8,300円 |
高齢単身世帯 | 6,283万3,260円 |
もちろん、ここから退職金や年金額を差し引きますし、夫婦世帯が単身世帯に切り替わり支出が減る可能性もあります。ただし純粋に消費支出だけを概算すると、「老後資金は年金+3,000万ほど必要」といっていた従来より、莫大な資産が必要だと分かります。
雇用が不安定になり年金制度にも陰りが見える状況下で、この金額を貯蓄できる人はどの程度いるでしょうか?こう聞かれると、100歳まで尽きない貯蓄を用意するのは、一部以外には非現実的だといわざるを得ません。
定年までに本業以外の「労働不要な収入源」を確保する
生涯労働に追われる人生は嫌だが、貯蓄して逃げ切るのは難しいと悩むなら、発想を変えて「労働不要な収入源」に目を向けることをおすすめします。
たとえば、会社員のように労働力やスキルを切り売りするのではなく、商品を提供することで対価を受け取る「資本集約型」のビジネスを始めるのです。労働力に対する依存度の低い資本集約型ビジネスには、以下のようなものがあります。
- 不動産投資
- 太陽光発電投資
- 電気・ガス関連のインフラ系事業
基本的に、どれも設備を維持するだけで収益を得られ、人件費はメンテナンス業務に必要となる程度。労働力を切り売りする労働集約型のビジネスに比べて、資本(不動産や発電施設)が収益に大きく影響を与えています。
このうち、個人レベルでのスタートが現実的なのは不動産投資と太陽光発電投資です。ただし、人生100年時代を乗り切る収入源として利用するなら、最長20年までしか売電価格が保証されない太陽光発電投資は不安です。
そのため、より長期的な運用を得意とする不動産投資をおすすめします。
人生100年時代を見据えた資産運用なら不動産投資がおすすめ
100歳まで家計を支える収入源を作るなら、3つのポイントを押さえなければなりません。
- 長期的に持続可能であること
- 一過性の流行に乗ったビジネスではないこと
- 利益率が特定の企業・政府に依存していないこと
これらを全て満たす資本集約型のビジネスは少なく、個人レベルで取り組めるの数少ない選択の1つが不動産投資なのです。それぞれ、どういった観点で重視すべきなのか解説していきます。
長期的に持続可能であること
まず、100歳まで稼ぐために大切なのが事業の持続性です。いかに収益性の高いビジネスモデルであっても、100歳まで稼ぎ続けられるビジョンが浮かばないなら再考すべきでしょう。これを考えるときには、収益の構造をよく把握する必要があります。
不動産投資は、人に住居を提供して家賃という対価を受け取るビジネスです。少子高齢化が進む昨今、賃貸物件をどこに構えるのか考える必要はあるものの、「人に家を貸す」というビジネスは人々が地上で生活する限りなくなりません。
また、マンションや戸建は経年劣化こそしますが、修繕やリフォーム工事を施すことで数十年と維持できますし、建物を取り壊して新築を再建することも可能です。これら一連の業務は外注化できるため、何歳になっても続けられる持続性の高いビジネスだといえます。
一過性の流行に乗ったビジネスではないこと
一過性の流行に乗っていないというのは、一見すると「長期的に持続可能である」という意味合いと同じように思えます。しかし、この両要素は似ているようで違うものです。
たとえば、先ほど挙げた太陽光発電投資は、長期的に持続可能なビジネスモデルの1つ。日本国内における初期の発電施設が、30年以上経過したいまでも問題なく稼働していることから、メンテナンスさえ怠らなければ長期運用が可能だと実証されています。
しかし、太陽光発電投資の売電価格を保証する「固定価格買取制度」は、発電施設の出力が10kW以上なら20年間、10kW未満なら10年間しか適用されず、制度終了後の売電価格は保証されていません。
これは、制度が「日本に太陽光発電を普及させる」という一過性の目的にもちいられているからです。2018年時点で、売電価格の設定が制度開始時の半分以下になったことを思えば、この先何十年も稼ぎ続けられるといった期待はすべきではないでしょう。
一方で、不動産投資は「衣食住」という変わらないニーズに応えるため、流行に左右される懸念がほぼないのです。
利益率が政府・特定の企業に依存していないこと
個人が立ち上げられるビジネスモデルは、政府の支援ありきで成立する事業であったり、特定の企業が作るプラットフォームを利用したものであったりするケースは多いです。
前者は、先ほど挙げた太陽光発電投資、後者は収入の依存度を専門知識に頼る「知識集約型」のビジネスモデル、たとえば知識を文章にして販売する「Kindle販売」や、ブログやサイトに広告を設置・誘導して報酬を受け取る「広告ビジネス」などがこれに相当します。
これらは労働集約型ではなく、収入を得るのに労働力の切り売りをしなくて良いものの、自分ではない誰かの意向によりビジネスモデルは簡単に破綻します。太陽光発電投資であれば政府、KindleならAmazon、広告ビジネスなら広告の出稿元。こうした、ビジネスの機会を与えてくれている「大本」の存在なしには稼げません。
一方で、不動産投資は仲介業者を通すことこそあれど、構図としては「事業者対入居者」です。このあいだに、必要となる制度やプラットフォームは存在しないため、政府の意向が変わったり特定の企業がなくなったりしても、収益構造には何ら影響がないのです。
この条件3つを完璧に満たしている選択肢は、そう多く思い浮かばないのではないでしょうか?こうして客観的に分析すると、不動産投資は今後の人生100年時代を乗り切る方法として、非常に有力な候補であると考えられるはずです。
まとめ
定年退職を終えて、なお労働することにネガティブなイメージを抱くなら、現役時代の期間を活かして早々に行動すべきです。企業が社員を終身雇用できず、政府も高齢者を支えきれず長期雇用を促すこれからの時代、誰にも頼らず長期的に稼ぐ能力が重要となります。
世界中を見ても少子高齢化の深刻さは、日本がトップクラス。先細りの時代を生き抜く先例がないだけに、既存の価値観とのギャップに戸惑うところですが、新たに人生モデルを見直して時代の変化に備えましょう。