退職金前払い制度はお得?資産運用も加味したメリット・デメリット
最近では「老後に2,000万円用意しておく必要がある」というニュースが流れた影響もあり、老後のお金に対して不安を感じる人は少なくないでしょう。
そんな中、「退職金」を老後資金として考えている人も多く、このニュース報道をきっかけに退職金について調べた方もいると思います。
今回は、そんな退職金にフォーカスを当て、「前払い制度はお得か?」という点を解説します。老後資金が不安な方、退職金のことが良く分からない方はぜひ読んでみてください。
目次
退職金は前払いでもらえるのか?
まず、退職金を前払いでもらうことは可能であり、この点について以下を知っておきましょう。
- 退職金を前払いでもらうことは可能
- 退職金前払い制度の背景
- 退職金前払い制度は誰でも利用できる?
- 退職金前払い制度が可能は企業とは?
結論からいうと、退職金を前払いでもらった方がお得かどうかは、早めに資金を手元に置いておきたいかどうかによって異なります。
そのため、退職金前払い制度の概要やメリット・デメリットを理解し、自分は前払いでもらった方が良いのかどうかを判断しましょう。
退職金を前払いでもらうことは可能
そもそも、退職金とは退職時に給付されるお金のことです。「一時金」や「年金方式」など受け取り方は色々とありますが、いずれにしろ「退職時」や「退職後」に受け取ります。
一方、退職金前払い制度は将来受け取ることができる退職金を、在職期間中に給料に上乗せしてもらう制度になります。
退職金前払い制度は退職金を早めにもらう制度になるので、当然ながら将来受け取る予定だった退職金はなくなります。
退職金前払い制度の背景
退職金前払い制度の歴史は浅く、平成10年頃に松下電器産業(現パナソニック)がはじめた制度です。その後は、パナソニックに習い退職金前払い制度を採用する企業が増えてきました。
なぜ、パナソニックが退職金前払い制度をはじめたかというと、目下の賃金を上げることで若手社員のモチベーションを向上させるためだったようです。
当時は、退職金を前払いしたことで「パナソニック(松下電器)が終身雇用をやめた」と批判もあったようですが、今となっては退職金前払い制度が特別なものではなくなってきました。
退職金前払い制度は誰でも利用できる?
退職金前払い制度を含め、「退職金」については法律による定めはありません。そのため、企業の中には退職金前払い制度はおろか、退職金制度を導入していない企業もあります。
つまり、今自分が勤めている会社で退職金が出るか…もしくは前払い制度を利用できるか…については、勤めている企業の就労規則によります。
そのため、退職金前払い制度があるかどうかは、自社の就労規則を確認するか、一番早い方法は自社の総務部などに「退職金前払い制度はあるか?」と聞くことです。
当然ながら、就労規則に明記してあれば利用することができます。
退職金前払い制度が可能は企業とは?
内閣人事局が出典しているデータによると、退職金の中でも「退職一時金」を就労規則に明記している企業のうち、退職金前払い制度を導入している企業は平成29年時点で4.5%でした。
この数字だけを見ると、退職金前払い制度を導入している企業は少ないといえます。
退職金前払い制度を利用するメリット
前項までで退職金前払い制度の概要が分かったと思います。次に、退職金前払い制度を利用するメリットである以下を解説していきます。
- 月々の給与が高くなる
- 退職金がもらえなくなるリスクの回避
- 早期転職の場合は得することもある
月々の給与が高くなる
退職金前払い制度を利用する最も大きなメリットは、給与の手取り額が増えるということです。人事院のデータによると、民間企業の退職金給付額の平均は約2,459万円でした。
仮に、同じ企業に23歳から60歳の38年間(456か月)勤務するとします。この場合、退職金を前払いして単純に月々案分すると、5.4万円(2,459万円÷456か月)になります。
実際には税金の仕組みなども異なるため「月々5.4万円の上乗せ」はあくまでイメージではありますが、月々数万円…年間にして約65万円の年収増になるということです。
後述しますが、この金額があれば資産運用することも可能ですし、若いうちから自己投資に利用する…など選択肢が増えるので、その点が退職金前払い制度の大きなメリットといえるでしょう。
退職金がもらえなくなるリスクの回避
退職金前払い制度を利用する2つ目のメリットは、「将来退職金がもらえない」というリスクを回避できる点です。「退職金がもらえない」というケースに関しては以下を知っておきましょう。
- 会社が倒産した場合
- 就業規則への規定
会社が倒産した場合
仮に、勤めていた会社が倒産してしまったとします。
そして、その会社の「退職金支給基準」が使用者(会社側)の裁量に委ねられている場合には、従業員が退職金請求をしても成立しない場合があるのです。
また、会社がきちんと退職金の支払い基準を定めていても、倒産手続きの方法や会社の余力によって支給額が変わることがあります。
帝国データバンクのデータによると、2018年度に倒産した企業数は8,057社にのぼります。これでも、リーマンショック以降の10年間で最小の社数です。
もちろん、会社規模などによって倒産率は変わりますが、少なくともどんな企業も倒産する可能性はあり、場合によっては退職金がもらえない…もしくは減額になるリスクがある点は認識しておきましょう。
就業規則への規定
たとえば、会社で何か問題を起こしてしまい懲戒解雇処分になってしまったとします。その場合、「懲戒解雇=退職金は不支給」ではありませんが、就業規則には「不支給」と定めている場合が多いです。
仮に、就業規則に則り、懲戒解雇の場合は退職金が不支給という判断になったとします。その場合には、たとえ「今年で退職だった…」という状況でも退職金は不支給です。
もちろん、このような状況になることは稀ですが、将来何が起こるかは分かりません。退職金前払い制度を利用することで、このようなリスクを回避することが可能です。
早期転職の場合は得することもある
退職金前払い制度を利用する3つ目のメリットは、早期転職する場合は得することもあるという点です。この点に関しては以下を知っておきましょう。
- 退職金受給は勤続年数が関係している
- 最近の離職率
退職金受給は勤続年数が関係している
内閣人事局が出典しているデータによると、退職金が支給される勤続年数が規定される企業では、受給資格年数を以下のように定めています。
- 1年未満:1.2%
- 1年以上2年未満:31.4%
- 2年以上3年未満:13.0%
- 3年以上4年未満:47.3%
- 4年以上5年未満:1.2%
- 5年以上10年未満:5.0%
上記のように、勤続年数が3年未満でも退職金を支給する企業は45.6%なので、逆にいうと半数以上の企業で勤続3年未満に退職すると退職金がもらえないということです。
最近の離職率
次に、昨今の勤続年数別の離職率を見ていきましょう。厚生労働省のデータによると、以下の通りです。
項目 | 1年目で離職 | 2年目で離職 | 3年目で離職 | 合計(3年目までに退職) |
---|---|---|---|---|
中学卒 | 36.1% | 13.5% | 8.5% | 58.1% |
高校卒 | 17.1% | 11.7% | 9.6% | 38.4% |
短大等卒 | 17.6% | 12.4% | 11.2% | 41.2% |
大学卒 | 11.5% | 10.5% | 9.5% | 31.5% |
上記のように、大学卒で30%強、中学卒では60%近い人が勤続から3年以内に離職しています。前項で解説したように、半数以上の企業が勤続3年未満の場合は退職金の支給がゼロです。
このように、昨今では3年未満での離職率も高いため、退職金が支給されないケースも多いのです。それを防ぐためには、退職金前払い制度を利用することになります。
退職金前払い制度を利用するデメリット
退職金前払い制度には前項で解説したようなメリットがある一方で、以下のようなデメリットもあります。
- 税金が高額になる
- 社会保険料も高額になる
- 給付額が少なくなる→平均給付額も絡めて説明
税金が高額になる
退職金前払い制度を利用する1つ目のデメリットは、税金が高額になるという点です。この点を知るために以下を解説していきます。
- 前払い退職金としてもらう場合の税金
- 退職金を一時金としてもらう場合の税金
- 退職金を年金としてもらう場合の税金
結論からいうと、退職金を通常通り退職時に受け取る方が、前払い退職金として受け取るよりも税制優遇が大きいのです。
以下で解説する退職金の税制については、国税庁の規定を参考にしています。
前払い退職金としてもらう場合の税金
前払い退職金としてもらう場合は単純に年収が上がるので、以下のような所得税率が適用になります。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円超~330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円超~695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円超~900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円超~1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円超~4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
つまり、通常の給与と同じ税率が適用され、給与が上がることで税額も増えるというわけです。
退職金を一時金としてもらう場合の税金
仮に、退職金を「一時金」として受け取る場合は「退職所得」となり、「(収入金額-退職所得控除)×1/2」という計算式で計算されます。退職所得控除は以下の通りです。
勤続年数 | 退職所得の控除額 |
---|---|
20年以下 | 40万円×勤続年数(80万円未満の場合は80万円) |
20年超 | 800万円+70万円×(勤続年数-20年) |
上記の所得控除を加味して計算された退職所得に、前項で解説した所得税率を掛けます。要は、「退職所得控除」がある分、一時金の方が節税効果は高いのです。
退職金を年金としてもらう場合の税金
退職時に退職金を年金方式で受け取る場合には、雑所得となり「公的年金など控除」を受けることが可能です。所得は「年金として受け取る金額-公的年金等控除額」という計算になります。
公的年金等控除は、年齢や所得(年金額)によって控除額が異なります。
ただ、いずれにしろ給与に上乗せする「前払い退職金」よりも、退職時に一時金でもらう…あるいは退職後に年金としてもらう方が控除額が大きいので、節税効果が大きいことは確かです。
社会保険料も高額になる
前払い退職金制度を利用する2つ目のデメリットは、社会保険料も高額になるという点です。会社員の方は、以下の保険料が毎月給与から天引きされています。
- 健康保険料
- 厚生年金保険料
- 雇用保険料
- 介護保険料(40歳以上)
そして、上記の保険料は標準報酬額(≒給与額)で決まるので、給与が上がるほど支払う保険料も高くなるということです。
一方、退職時に退職金を受け取れば、一時金で受け取っても年金で受け取っても、社会保険料には影響ありません。
給付額が少なくなる
退職金前払い制度を利用する3つ目のデメリットは、退職時に一括でもらうパターンよりも給付額が少なくなることです。
退職金のルールは企業によって異なるので一概にはいえませんが、退職金の一括払いは多くの場合で利率が上乗せされています。
しかし、前払いで退職金を受け取るということは、積み立てずに随時受け取るということなので、そのお金に対して利率が掛かりません。
そのため、結果的に給付額が少なくなる可能性があるというわけです。
良くある前払い退職金に関する疑問
前項までで、退職金前払い制度に関する概要やメリット・デメリットが理解できたと思います。次に、退職金前払い制度に関して良くある質問である、以下の点について解説していきます。
- 返還を求められることはあるか?
- 前払退職金にかかる所得税は住宅ローン控除に含められる?
- 前払退職金は確定申告が必要か?
上記の質問に対して以下で回答しますが、基本的に退職金は法律に定められているわけではなく、企業が独自にルールをつくっています。そのため、一般論としての回答と認識ください。
返還を求められることはあるか?
企業によっては、支払い済みの前払い退職金に対して返還を求められることはあります。というのも、前払い退職金の制度によっては、勤続年数によって返還の取り決めをしていることがあるからです。
そのため、退職金前払い制度を利用する場合は、返還と勤続年数については必ず確認しておきましょう。
前払退職金にかかる所得税は住宅ローン控除に含められる?
前払い退職金も住宅ローン控除の対象額に含められます。そもそも住宅ローン控除とは、住宅ローンを組んだときに、所得税・住民税の一部が控除されることです。
たとえば、住宅ローン控除を適用して所得税・住民税から15万円控除できる場合には、年末調整で15万円が返還されます。
前払い退職金も「給与」として扱われるので、その「返還されるべき所得税・住民税」に含まれます。
前払退職金は確定申告が必要か?
基本的には、退職金前払い制度は企業側が手続きするので、会社員が自ら確定申告する必要はありません。
知っておきたい確定拠出年金との比較
次に、退職金前払い制度を理解した人が知っておくべき、確定拠出年金との比較に関して以下の点を解説していきます。
- 確定拠出年金とは何か
- 企業型DC制度の概要
- 前払い退職金と確定拠出年金の違い
というのも、企業によっては退職金制度(前払い制度含む)と確定拠出年金をどちらも導入していることもあるからです。
つまり、前払い退職金制度を利用しつつ、確定拠出年金制度も利用する…というパターンもあるので、退職金前払い制度だけでなく確定拠出年金についても知っておく必要があります。
確定拠出年金とは何か
確定拠出年金とは、「公的年金に上乗せする年金」のことです。確定拠出年金は企業型と個人型に分かれ、個人型は後述しますので本章で解説するのは企業型の確定拠出年金と思ってください。
そして、その企業型の確定拠出年金のことを、一般的には「企業型DC制度」と呼びます。
企業型DC制度の概要
企業型DC制度は基本的に企業がお金を拠出して積み立て、そのお金で資産運用します。そして、その運用したお金を原則60歳以降に受け取ることができるので、「公的年金に上乗せする年金」なのです。
受け取り方は、退職金と同じく一時金として受け取ることもできますし、年金として受け取ることも可能です。
また、2012年からは「マッチング拠出」という制度が誕生し、企業が拠出する掛け金に従業員が自ら上乗せすることも可能になりました。
前払い退職金と確定拠出年金の違い
以下の違いは、前払い退職金というよりも、「退職金制度と確定拠出年金の違い」と認識ください。
項目 | 退職金 | 確定拠出年金 |
---|---|---|
掛金(資金調達) | 会社が準備 | 会社or個人と共同(マッチング拠出) |
会社が倒産した場合 | 社内積立の場合は保全されない場合もある | 社外積立なので保全 |
積立金の運用 | 社外積立の場合は運用方針を会社が決める | 自分で決める |
転職時 | 勤続年数によって変動 | 転職先に資産をそのまま持ち運ぶ |
受給額 | 社内規定で決まっている | 拠出額と運用実績による |
また、税制上の違いに関しては、退職金については上述した通り一時金として受給するか、年金として受給するかによって違います。前払いの場合は、税制優遇はありません。
一方、確定拠出年金の掛金は全額所得控除の対象であり、利息・配当・運用益は非課税になります。受給時は退職金と同じく、一時金として受け取るか年金として受け取るかで異なります。
退職金か?確定拠出年金か?
そもそも、退職金制度や確定拠出年金制度を両方導入しているか?片方しか導入していないか?あるいは、両方とも導入していないか?は企業によって異なります。
そのため、まずは自分の勤務先で導入されているかどうかを確認しましょう。
たとえば、企業型確定拠出年金制度がある企業で、退職金も前払いで受け取ることが可能だとします。
その場合は、老後資金の一部は確定拠出年金で確保できるので、退職金は前払いして資産運用する…などの選択も可能です。
老後資金の確保をどうするか?目下の給与がどのくらい欲しいか?など、総合的に判断して前払い退職金制度を利用するかどうかを決める必要があります。
前払い退職金は資産運用に回そう
今は、少子高齢化によって年金額が分からない世の中であり、老後資金の確保は不透明といえるでしょう。
このような状況であれば退職金を前払いして、そのお金を資産運用に回したいという方もいると思います。さいごに、そんな方に向けて資産運用する際におすすめの方法である以下を解説していきます。
- おすすめ1:iDeCo
- おすすめ2:不動産投資
- おすすめ3:つみたてNISA
退職金を前払いするということは、老後資金としても活用できる退職金がなくなるので、長期に渡り老後資産を作り出すことが重要です。
その意味において、上記3つの資産運用方法はおすすめできます。
おすすめ1:iDeCo
iDeCoを資産運用としておすすめする理由は以下の点です。
- 掛け金が全額控除される
- 運用益も非課税
- 受け取るときの税負担も小さい
そもそもiDeCoとは「個人型確定拠出年金」といわれる年金制度です。簡単にいうと、自分で毎月の掛け金(投資金額)を決めて、投資信託などで資産運用します。
そして、そのお金を原則60歳で、一時金か年金方式で受け取るという仕組みです。上述した企業型確定拠出年金は企業が掛け金を拠出しますが、iDeCoは自分(個人)が拠出するということです。
掛け金が全額控除される
まず、iDeCoの掛け金(投資金額)は全額所得控除されます。たとえば、年間所得が600万円の会社員が、毎月3万円(年間36万円)の掛け金を設定してiDeCoで資産運用したとしましょう。
その場合、600万円から36万円が控除され所得は564万円になります。つまり、iDeCoで資産運用することで、節税にもなるというわけです。
運用益も非課税
また、iDeCoで上げた収益も非課税です。たとえば、株式投資などは一律で20.315%の税金が課税されます。
つまり、株式の売買や配当などで100万円の利益があった場合は、203,150円の税金がかかるということです。一方、iDeCoで利益が出ても非課税なので、効率良く資産を増やすことができます。
受け取るときの税負担も小さい
また、上述のようにiDeCoは受給方法を一時金か年金方式か選ぶことが可能です。
一時金方式の場合は退職金と同じ控除額が適用され、年金方式の場合は退職金を年金として受け取るときと同じ控除額が適用されます。
このように、iDeCoは受け取るときも退職金を受け取るときと同様、控除額が大きく節税効果が高いのです。
iDeCoは効率よく資産運用できる点からこそ、長期に渡り老後資金を貯めておくには適しているといえるでしょう。
おすすめ2:不動産投資
不動産投資を資産運用としておすすめする理由は以下の点です。
- 比較的安定した収益である
- 団体信用生命保険にも加入できる
- 収支が読みやすい
不動産投資とは、ローンを組んで区分マンションやアパートなどを取得し、主にその不動産からの賃料で収益を上げていく投資です。
仮に、退職金を前払いすれば、ローン返済の一部にお金を回すことができます。
比較的安定した収益である
まず、不動産投資は家賃収入という比較的安定した収入です。たとえば、株式投資であれば「1年間で株価が半値になった」ということはあり得ますが、家賃が1年で半値になる可能性はほぼゼロといえます。
もちろん、空室リスクや家賃下落リスクはあり、それによって収入額は変わります。とはいえ、物件選びや物件を複数戸所有することでリスク分散は可能です。
団体信用生命保険にも加入できる
また、不動産投資をするときは、ローンを組んで不動産を購入するケースが大半です。そして、ローンを組む際、団体信用生命保険(団信)を付保するケースが多いです。
団信とは、借入者が亡くなったり高度障害になったりしたとき、その時点での残債が支払われる生命保険になります。つまり、自分に万が一のことがあっても、家族に残債無しの資産を残せるのです。
このように、団信に加入して不動産投資を行うことで、単に老後のために資産運用するだけでなく、万が一のときの備えにもなっているということです。
収支が読みやすい
不動産投資には以下の支出が発生します。
- ローン返済額
- 固定資産税、都市計画税
- 退去時の原状回復費用
- 管理委託手数料
- 火災保険料や地震保険料
- 管理費、修繕積立金(区分所有)
- 共用部の修繕費用(一棟投資)
- 税理士への報酬(確定申告を依頼する場合)
- その他経費(物件運営のための交通費など)
これ以外にも突発的な費用が発生することもありますが、ある程度支出項目は決まっているため支出額も読みやすいです。そして、上述のように収入額も大きく変動する要素が少ないといえます。
つまり、不動産投資は収支が読みやすいので、安定して老後資産をつくるためには向いている資産運用といえるのです。
おすすめ3:つみたてNISA
つみたてNISAを資産運用としておすすめする理由は以下の点です。
- 非課税枠が大きい
- 比較的リスクの小さい投資商品
非課税枠が大きい
つみたてNISA口座を開設し投資をすると、その投資から得た収益は毎年40万円の投資額に対して非課税になります。
たとえば、40万円分の投資信託を取得し50万円で売却すれば、本来は利益である10万円に20.315%の税率が課せられるので、20,315円の税額になります。
しかし、つみたてNISAであれは非課税になるので、前払い退職金で増えた収益を効率良く運用可能です。
比較的リスクの小さい投資商品
つみたてNISAで取得できる商品は、金融庁が定めた投資商品に限定されます。これは、「自由に商品を選べない」というデメリットともいえますが、「低リスク商品を取得できる」というメリットともいえます。
というのも、つみたてNISAは基本的に長期投資を前提にしているので、リスクの小さい商品を金融庁がセレクトしているのです。
このように、つみたてNISAは前払い退職金で増えたお金を投資に回すことで、低リスクな商品をお得な税制優遇を利用しながら運用することができます。
まとめ
退職金前払い制度については、まず勤務先の企業で退職金の制度を確認することがはじめましょう。その上で、企業型確定拠出年金の有無を確認してから、前払いするかどうかを判断するという流れです。
退職金を前払いにするとしたら、将来のために一部でも良いので資産運用に回すことをおすすめします。その際は、上述したおすすめの資産運用方法を参考にしてみてください。