投資信託の4大メリットとあまり知られていない隠れたメリット4つ
投資信託を始めてみたいとお考えの方にとって、投資信託にはどんなメリットがあるのかは気になるところです。想像通りのメリットがあることは当然のこと、何かまだ他に自分がまだ知らないようなメリットがあれば、より投資へのモチベーションも高くなるというものです。
自分に代わってプロが運用することで安定的かつ高い収益を狙うのが投資信託ですが、たとえプロが運用するからといって100%成功するという代物ではありません。自分の大切な虎の子の資金を使うのですから、メリットが1つでも多いことに越したことはありません。
そこで、この記事では投資信託の直接的なメリットだけでなく、そこから派生するメリットを合計8つご紹介します。もちろんメリットだけで投資判断をするのは危険なので、デメリットやリスクについてもしっかり解説します。
それを踏まえた上で、「自分にはどんな投資スタイルが合っているのか」という投資信託への向き合い方のご提案もしていきますので、これから投資信託を始めたいという方には必要な情報ばかりだと思います。
目次
最初に知っておきたい投資信託の4大メリット
これから投資信託を始めようとお考えの方に、まずは投資信託の基本的なメリットを4つご紹介します。この中にいくつ、すでに知っていたメリットがあるかも意識しながら読んでみてください。
専門家の運用なので安全性が高く、さらにリターンも狙える
投資を信じて託すと書いて、投資信託です。この名前の通り、運用をプロに任せることができることは、特に投資初心者の方にとって大きなメリットです。投資は大きく儲けることも重要ですが、損をしないことはもっと重要です。その意味でも、プロの運用によってリスクが適切に管理されていることは大きな意味があります。
少額から始められる本格投資
少額から投資を始められるというのも、投資信託のメリットとしては見逃せないポイントです。投資信託には基準価額という価格で売買されており、その価格で1口から購入可能です。
つまり、基準価額が1万円の投資信託であれば1万円から投資可能だということです。多くの投資信託は高くても1口数万円程度のものが大半なので、ちょっとしたお小遣いで投資を始めることも十分可能です。
投資信託を活用することで自動的にリスク分散ができる
投資家から預かったお金を使って、ファンドマネージャーというプロが運用するのが投資信託です。リスク分散の意味もあってファンドマネージャーは必ず、複数の投資対象を組み合わせて運用しています。
分散投資はリスク管理の基本ですが、個人投資家の中でもとりわけ初心者が自分で最適なポートフォリオを組み立てて運用をするのはハードルが高いと思います。その点、投資信託であればファンドマネージャーがポートフォリオを組み立てて分散投資をしてくれるので、投資信託を買うだけで自動的にリスク分散ができるのです。
なお、ポートフォリオとは投資する運用資産の内訳のことです。リスクとリターンの度合いが異なる金融資産を組み合わせることで、目的に応じた運用が可能になります。
運用の透明性が高い
投資信託を運営するためには、どんな方針で運用するのかという目論見書の作成と提出、そして運用報告書の公開が法律によって義務付けられています。また、定期的に監査法人による監査もあるため、どんな投資をしているのか、成績はどうなのかという情報は常に公開されています。
それに対して私募ファンドとも呼ばれるヘッジファンドなどは、任せた後はどんな運用をしているのか分からない部分が多く、透明性はあまり高いとは言えませんので、それに比べると投資信託は法律にのっとって、きわめて透明性の高い運用が行われていると考えて良いでしょう。
さらに得られる投資信託の4大派生メリット
前章では投資信託のメリットとしてよく言われているもの、多くの方がすでにご存じかと思われるものを4つご紹介しました。次は、そこから派生する投資信託のさらなるメリットを4つご紹介します。
放ったらかしでOK
信託というだけあって、投資信託は投資家自身が投資判断をすることはなく、財産を信託されたファンドマネージャーが投資の判断をします。つまり、投資家は一度投資信託を買ってしまえばあとは放ったらかしでOKだということです。
これは意外に重要なメリットで、特に投資の知識があまりない初心者の方や忙しい方には強い味方となります。専業デイトレーダーのように相場画面に張り付いてトレードをしている人たちと勝負をして利益を上げるのは難しいかも知れませんが、投資信託なら放ったらかしで対等の条件で運用ができるのですから、「自分でやる自信がない」「自分でやる時間がない」という方に最適なのです。
投資方針によって選び放題
日本国内で簡単に買えるものだけでも、投資信託はすでに5,000本以上が運用されています。この数は今も増えているので、投資信託は選択肢がとても広い投資商品だと言えると思います。
この数字は、東証一部に上場されている銘柄数2,131(2018年12月現在)を大きく上回るものです。FXと比較をしても、FXでトレードできる主要通貨数はせいぜい10程度なので、それらと比べると投資信託は選択肢が圧倒的に多いことが分かります。
自分の資金だけでは投資できないものにも投資できる
投資信託は主に株式や債券、不動産を運用対象としています。株式や債券であれば価格によっては個人投資家が自分で買うことができますが、不動産となるとそう簡単にはいかないでしょう。
不動産投資信託はREITと呼ばれ、多くのREIT銘柄が数十億円単位の物件を運用しています。こんなに高価な不動産だと、たとえどんなに優良物件だと言われても、ほとんどの個人投資家にとって買うことの現実味がありません。その点、投資信託であればこうした自分だけでは買えないようなものも投資対象とすることができます。
不動産以外にも外国の株式や債券などについても同様で、仮に価格的に買えたとしても何を買えば良いのか分からないという方も多いと思います。これについては外国株式や債券で運用する投資信託であればハードルが低く、自分では買えないようなものに間接投資ができるのも投資信託のメリットです。
投資の大敵である感情を排除できる
投資で失敗する最大の原因は、人間の心理だと言われています。人間は欲のある生き物で、さらに欲があるがゆえに投資判断がブレてしまうことは実によくあります。
少し含み損が出ている時に損失を確定させるのが嫌で塩漬けにしたり、逆に少し含み益が出ただけで利食いをしてしまうようなことは、いずれも人間の欲がそうさせることばかりです。ここで人間心理の弱さが出なければ損失を最小限に食い止められたかも知れませんし、逆にもっと大きな利益を上げられたかも知れません。
投資信託は自分で運用をしないため、こうした人間の心理による影響を排除できます。もっとも、多くの投資信託は「損をしない」ことに力を入れているため大儲けは難しいかも知れませんが、その一方で損切りが適切に行われているため、大損をする可能性も低いのです。
同時に知っておきたい投資信託のデメリットやリスク
投資信託を始める前に、必ず押さえておくべきなのがデメリットやリスクです。これを置き去りにして投資信託を始めてしまうと、いざここで解説するリスクが顕在化した時に「こんなはずではなかった」となってしまいます。
元本保証ではない
すでにご存じの方も多いと思いますが、投資信託は元本保証ではありません。手堅く運用されているインデックス型であっても元本保証ではありませんし、市場全体が下落傾向になれば手堅いインデックス型投資信託であっても基準価額は下落します。
投資信託を購入した時よりもこの基準価額が低くなれば、その分は含み損となり、投資信託を売った時点でその損失が確定します。もっとも、再び基準価額が上がるまで持っておけば損失はなかったことになります。
投資判断に自分の意向を反映できない
投資信託は信託というだけあって、投資行動をプロに任せられることがメリットのひとつとなっています。その一方で投資家自身の投資判断を反映することはできませんが、任せるというのはそういうことだとご理解ください。
運用がうまくいっている時は「さすがプロだ」と思えるかも知れませんが、逆にうまくいっていない時は任せっぱなしになっていることに不満を感じるかも知れません。
信託報酬(手数料)が発生する
運用をプロに任せるということは、その運用を担当するファンドマネージャーに対する報酬が必要です。プロである以上、タダで投資信託の運用をしてくれるわけではありません。そのため、投資信託はこの信託報酬をコストとして考慮する必要があります。
その他にも販売手数料が必要になる銘柄もありますが、購入時の手数料は株式やFXでも同様に必要になるので、投資信託ならではのコストはやはり信託報酬ということになります。
アクティブ型といって市場の平均よりも高い運用成績を目指す投資信託はそれだけ運用の難易度が高くなるため、信託報酬も高くなります。その一方で平均株価や株価指数など市場の平均値と連動するように運用されているインデックス型の投資信託は信託報酬が安くなります。
タコ足ファンドなど本末転倒な投資信託銘柄がある
投資信託は、プロが運用しているからといってすべての銘柄で良好な運用成績が上がっているわけではありません。中には損失が出ているものもありますし、さらに厄介な「タコ足ファンド」と呼ばれるものもあります。
タコ足ファンドとは、投資家から集まった財産の原資から分配金を出している投資信託のことです。毎月分配型の投資信託によく見られるのですが、いくらプロが運用しているからといって毎月のように配当を出すほどの運用をするのは極めて困難です。
そこで本来は投資に回すための原資の一部を投資家に分配するために残しておいて、毎月の分配に回します。食べ物がない時にタコは飢えをしのぐために自分の足を食べると言いますが、まさにそれと同じことをやっているためタコ足ファンドと呼ばれているのです。
自らの足(投資原資)を食べてしまっているタコ足ファンドは、当然ながら運用資産残高が少なくなります。それに伴って基準価額が下がるため、毎月分配金をもらっていても投資家は儲かっていません。自分が払い込んだお金を毎月少しずつ返してもらっているだけという、本末転倒なことになってしまいます。
すぐに現金化できるわけではない
大半の投資信託は「追加型」、もしくは「オープン型」といっていつでも購入ができて、逆にいつでも売却することができます。いつでも現金化できるというのは間違いないのですが、銘柄によってはそれが当日ではない場合があります。
翌営業日の基準価額で現金化される銘柄や、特定日といって毎月決まった日にしか現金化ができない銘柄があるため、「投資信託を持っているからいつでも現金化できる」と思い込まないようにしてください。
それぞれの銘柄が、売ったらいつ現金化されるのかは投資信託の「受渡日」という欄に記載されています。投資をする際には、この点にも注目をしてください。
目的別オススメの投資信託活用法
投資信託に何を期待するのか、どんな投資スタイルで臨むのかは人それぞれです。ここでは4つの主な目的別の投資スタイルを提案したいと思います。
安全性重視で長期的に少しずつ増やしたい
投資信託はリスク分散効果が高いので、そのメリットをいかして長期的な資産形成に役立てたいという方は、J-REITや国内株のインデックス型、または複数の投資対象を織り交ぜたバランス型の投資信託がおすすめです。
J-REITとは証券取引所に上場されている不動産投資信託のことで、比較的利回りが高く、それでいて基準価額が安定しているというメリットがあります。国内株のインデックス型とは、主に日経平均株価やTOPIXといった日本の株価指数と連動するように運用されている投資信託のことです。
バランス型にはいろいろな種類がありますが、国内株と海外株を織り交ぜたものや、世界中の株式市場を運用対象にしているものなどがあります。いずれも運用対象を広げることによってリスク分散が図られているため、新興国などの成長力を組み込みたい一方で安全性を重視したいといった方に最適です。
少々のリスクを取っても良いのでリターンも狙いたい
そもそも投資信託は元本保証ではないので、それなら少々のリスクを取ってでもリターン重視で運用をしたいとお考えの方もおられると思います。そんな方には、国内株のインデックス型や海外株のETF、バランス型などがおすすめです。
ここでまた新しい言葉が出てきました、海外株ETFです。海外株というのはお分かりになると思いますが、ETFというのは初めて見たという方もおられると思います。ETFとはインデックス型投資信託の中で、証券取引所に上場されている銘柄群のことです。
海外株のETFということで、欧米の株式市場や中国の株式市場、はたまた新興国の株式市場といったように、海外の平均株価などと連動するように運用されている投資信託です。アメリカの株式市場が好調を維持していることや、新興国の株式が今後大きな成長力を秘めていることなどを考えると、投資信託の仕組みを利用してこうした海外の株式に投資をするのは妙味があると思います。
世界全体の株式市場の成長力を資産増にいかしたい
特定の国だけを見ていると景気が良くなったり悪くなったりしていますが、世界全体を見ると確実に経済成長が続いており、世界全体で見ると株価も上昇を続けています。
それなら、世界全体の経済に投資できるような投資信託があれば、その成長力を資産形成に役立てることができそうです。そんなニーズに応えてくれるのが、世界株式インデックス型や、新興国株式インデックス型の投資信託です。インデックス型なのでETFとして東証に上場されている「上場インデックスファンド世界株式(1554)」という銘柄もあるので、「世界全体の経済成長力」に期待したい方は検討してみてください。
とにかく利益重視!でも実績のある投資信託がいい
運用をプロに任せるのだから、より高いリターンを狙ってナンボだとお考えの方には、高い実績を有しているアクティブ型投資信託がおすすめです。日本国ないでは「ひふみプラス」という株式型投資信託がとても有名です。 2012年に設定された投資信託で、2018年は若干低迷しているものの設定時の1万円からすでに4倍以上の基準価額になっていることが分かります。
つまり、この「ひふみプラス」を持ち続けてきた人は、資産を4倍にすることができたのです。
失敗しやすい投資信託の選び方
最後に、投資信託選びで失敗しないために、よくある失敗パターンから得られた教訓をお伝えしたいと思います。ここの解説に該当するような投資信託選びをしている場合は失敗の可能性が高いので、再考されることを強くおすすめします。
毎月分配型
すでに解説したことですが、毎月分配型の投資信託の中には多くのタコ足ファンドが含まれています。タコ足ファンドで利益が上がるとは考えにくいので、それが多く含まれている毎月分配型は避けたほうが無難でしょう。
そもそも、毎月のようにそんなに安定して利益を上げられる運用というのはなかなかありません。それにもかかわらず毎月分配金を支払わなければならないので、どうしても運用成績が伸び悩んでしまいます。
毎月分配金があると、投資信託で儲けが出ていることを実感しやすいので投資家には人気ですが、実は利益が上がっていないことが多いのでご注意ください。
人気ランキングや有名な銘柄というだけで買ってしまう
証券会社や投資信託の情報サイトを見ると、必ずと言って良いほど人気ランキングの表示があります。人気ランキングの上位にあるということは優良な銘柄である・・・と決めてしまうのは早計で、先ほど述べたようなタコ足ファンドが毎月分配型であるだけの理由で人気上位になっているのかも知れません。
人気上位の投資信託はどうしても気になってしまいますが、その銘柄がなぜ人気になっているのかという理由をしっかりと把握して、それが納得できるものでなければ投資するべきではありません。
金融機関の窓口で勧められる投資信託
投資信託で失敗する事例としてとてもありがちなのが、金融機関や証券会社などに勧められるがままに投資信託を買ってしまうパターンです。「他人が持ちかけてくる儲け話にロクなものはない」というのは人生訓ともいえる常識ですが、それはもちろん投資信託にも当てはまります。
金融機関や証券会社などで投資信託を勧めてきたとしても、それが投資家の利益になるものである保証はありません。彼らは「売ること」が目的であり、投資家に「儲けさせること」を目的にしているわけではないのです。
投資信託のこともよく分からない人に勧めている投資信託の銘柄を見ると、明らかに買わないほうが良い銘柄であることが多いので、くれぐれもこうした場所で勧められても鵜呑みにしないようにしてください。
ノーロードだけに絞って投資信託を選んでしまう
購入時の手数料がない投資信託のことを、ノーロード型といいます。少しでも手数料が安いほうがありがたいのですが、あまりにもノーロードであることにこだわりすぎるのもどうかと思います。
というのも、ノーロードだからといって優良な投資信託とイコールではりませんし、ノーロードではない銘柄の中に優良銘柄が含まれていることも多々あるからです。信託報酬と違って必要になるのは購入時だけの手数料なので、ノーロードでなくてもそこまで手数料が高額になるわけではありません。
また、一部の銘柄にはノーロードでありながら信託報酬がとても高いものがあります。これなどはノーロードに設定して集客をした上で信託報酬を稼ごうとしている魂胆が見え見えなので、おすすめはできません。
流行りのテーマに絞った投資信託
投資の世界には、常に流行りのテーマがあります。「東京オリンピック」「AI」「ロボット」「太陽光発電」・・・といった具合です。同じことが株式投資にも当てはまるので、株式で運用している投資信託にも同じように流行りが生まれます。
こうした流行りのテーマに関連している投資信託は、注目が集まりやすいので投資妙味があるように見えるのですが、そのブームが去った後のことを考えると不安定感は否めません。
株式投資のように短時間で売買を繰り返すようなトレードをするのであれば、流行りのテーマは売買材料として有効かも知れません。しかし、投資信託はそういった性質の投資商品ではないので、流行りのテーマに参戦するのはあまり感心できません。
まとめ
投資信託をこれから始めたいとお考えの方に向けて、投資信託のメリットを2段階に分けて4つずつ解説しました。それに加えてデメリットやリスク、投資スタイル別のおすすめ銘柄、そして最後には典型的な失敗パターンをご紹介しました。 これで投資信託を始めるために必要な情報は網羅できたと思いますので、後は実際の行動あるのみです。