【完全初心者ガイド】投資信託を始めるには?口座開設〜購入まで解説
投資入門として紹介されることの多い投資信託は、意外にも株式投資より仕組みが認知されていません。事実、どのように投資信託を始めて、何を基準に選択肢を絞れば良いのか分からない人は多くいます。
そこで今回は、「これさえ読めば投資信託が分かる」という内容をまとめて用意しました。口座開設から購入までの方法、定番の投資信託をご紹介していきます。
目次
口座開設前に覚えておきたい投資信託の基礎知識
投資信託は、投資家の資金をファンドマネージャーに預けて、資産運用を任せる金融商品です。
1.投資家が投資信託を購入する
2.投資家から集めた投資資金をファンドマネージャーが運用
3.運用成績等に応じて基準価額が上下し、その差益や分配金を受け取る
「自身で投資先を決めて利益を得る」といったプロセスを、ファンドマネージャーに委任するイメージです。日本市場を対象にした投資信託であれば、指標として日経平均株価やTOPIXを設定しているケースが多く、おおむね日本経済の成長とシンクロした運用成績になります。
これと同様に、アメリカ市場へ投資する投資信託であれば、アメリカの主要な株価指数であるS&P500が指標としてもちいられるケースが多いです。
投資先として投資信託が注目されている理由とは?
銀行預金では利息がほとんど付かず、老後資金の貯蓄に向けた資産運用として機能しないため、投資信託は将来に不安を感じる人たちから注目を集めています。
預けたお金が減ることのない銀行預金に比べれば、投資信託はややリスクのある選択だといえますが、株式投資やFXなど有名な資産運用と比べれば極めて低リスク。資産価値が劇的に変動することは少ないので、貯蓄の延長線をイメージして始める人も多くいます。
どのくらいの初期費用で投資信託を始められるの?
投資信託は最低投資費用が低く、一口あたり数百円で買えるものも存在します。一口単位で単発購入するほか、口数や金額を指定して積立形式で毎月投資をすることも可能。
SBI銀行を例にすれば、金額指定の積立投資なら100円以上から1円単位で、毎月の積立額を設定できます。ただし、当然ながら運用資金が少ないほど利益のも小さくなるので、初期費用として1~5万円ほど用意するのが望ましいです。
投資信託はどのような仕組みで利益を得られるの?
投資信託の利益は、キャピタルゲインとインカムゲインの2種類に分けられます。
- キャピタルゲイン:投資信託の売買・償還による利益
- インカムゲイン:投資信託の保有による分配金
利益は投資信託の運用成績によって変動するため、一概に何%だと断言するのは難しいですがおおよそ年間利回りは1~3%ほど。経済情勢によっては5%程度の利回りになることもありますが、金融市場に連動している以上はマイナスになる可能性もあることに留意してください。
口座開設〜購入時に覚えておきたい投資信託の基礎知識
手間をかけず、低リスク運用を期待できる長期投資に魅力を感じるなら、投資信託は最適解といっても過言ではありません。
この項では、もう一歩踏み込んだ実践的な基礎知識について解説していきます。
どの証券会社を選べば良いの?
どのネット証券でも投資信託は扱っていますが、選択肢の幅広さはSBI証券・楽天証券が頭一つ抜けています。ゆくゆくは株式投資に移行したいと考えている場合も、これらのネット証券が優秀であるためおすすめです。
証券口座の開設は2プロセスで完了
利用するネット証券を決めたあとは、必要書類を用意してネット証券の公式ページから口座開設を進めます。
大手証券会社であれば、オンライン手続き・郵送のどちらかをもちいて契約するケースがほとんど。問題なく手続きが進行することを前提にするなら、スピーディに口座開設ができるのはオンライン手続きです。
郵送であれば書面でのやり取りが発生するので、およそ申し込みから口座開設までに2週間~1ヶ月ほどの期間がかかるため留意してください。
手順1:必要情報を入力して本人確認書類を提出
オンライン手続きなら公式サイトに直接、郵送による口座開設なら送付されてきた書類に必要情報を書き込みます。このとき、以下のような本人確認書類を1種類、もしくは2種類求められるので、あらかじめ手元に用意しておくと手続きがスムーズです。
- マイナンバーカード
- 運転免許証
- 印鑑登録証明書
- 住民票の写し
- 健康保険証
- パスポート
- 在留カード
- 住民基本台帳カード
- 特別永住者証明書
ネット証券により利用できる本人確認書類は違うこともあるため、公式サイトを確認したうえで手続きを進めましょう。
手順2:ログイン情報が証券会社から郵送される
先ほどの手続きを経て審査が実施され、問題なく口座開設ができればログインID・パスワードが郵送されます。場合によっては、一度の手続きだけで終わらず、追加書類の提出を要するケースもあることに注意してください。
一連の手続きを終えれば、ログインIDとパスワードを使って証券口座の利用を開始できます。
確定申告が面倒なら「特定口座(源泉徴収あり)」を利用しよう
株式投資で利用できる口座には、基本的に「特定口座」と「一般口座」の2種類があります。このとき、一般口座をオーソドックスな選択だと勘違いしやすいのですが、一般口座を選ぶと自身で会計処理をしなければなりません。
一方、特定口座であれば確定申告に必要な「年間取引報告書」を自動的に作成してくれるため、納税の手間を大幅に省略できるのです。また、特定口座はさらに「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」に分かれており、それぞれ以下のような違いがあります。
- 源泉徴収あり:年間取引報告書の作成・納税を行ってくれる
- 源泉徴収なし:年間取引報告書の作成のみ行ってくれる
それぞれ上記のような特徴を持っており、源泉徴収ありを選べば納税に関する一切の作業を代行してくれます。また、源泉徴収ありを選択した場合でも、以下のような場合に自身で確定申告をして損失の最小化が可能です。
1.いくつかのネット証券を利用しており、各口座の損益を相殺したいケース
2.過去3年のあいだの損失を「繰越控除」によって相殺したいケース
片方の証券口座で利益を出し、もう片方で損失を出しているなら、上記の方法で利益から損失を差し引いて課税対象の利益を圧縮できます。
利益が年間20万円を超えないなら「特定口座(源泉徴収なし)」も候補
特定口座(源泉徴収なし)や一般口座を選んだ場合は、基本的には自身で申告する必要があります。しかし、以下のような条件を満たす場合に限り、特定口座(源泉徴収あり)にはないメリットを活用できます。
- 給与所得を1ヶ所から受けており、給与所得が2,000万円/年以下
- 給与・退職所得ではない所得の合計が20万円/年以下
上記の範囲を脱さない会社員なら、投資信託の利益を申告する必要はなくなります。なお、給与・退職所得ではない所得の合計には、投資信託による利益も含まれます。
※所得税の確定申告は不要でも、住民税の申告は必要です。
中長期投資ならアクティブファンドよりインデックスファンド
投資信託は大きく「アクティブファンド」と「インデックスファンド」に大別できます。
- アクティブファンド:指標(日経平均株価など)よりも好成績を目指す
- インデックスファンド:指標(日経平均株価など)との連動を目指す
アクティブファンドは、ファンドマネージャーが積極的に資金を運用し、日経平均株価やTOPIXといった指標を超える成績を目指しています。対して、インデックスファンドは指標に連動するよう設計されているため、トータル収支はアクティブファンドに劣ると思われがちです。
しかし、中長期的に投資信託を運用するのであれば、インデックスファンドが優秀な成績を残すと過去の統計データから判明しています。
また、インデックスファンドは指標以上の成績を狙わないため、より良い投資先の分析にかける人的コストを削りやすく、結果的に投資家が負担する「投資信託の維持コスト」が少なくなります。そのため、長期的に保有するほど維持コストが重いアクティブファンドは、不利になっていくのです。
実は儲からない?毎月分配型の投資信託を避けるべき理由
毎月、投資家に分配金を還元する「毎月分配型の投資信託」も、投資初心者が勘違いしやすい落とし穴です。投資信託には投資家に毎月分配するもの、年に一度だけ分配するもの、一切分配しないものなど多くのタイプがあります。
毎月分配型は、各タイプのなかで利益を受け取れる回数が最も多く、一見すると投資に対する利回りは高く見えます。しかし、毎月分配型の投資信託は、投資元本を取り崩して投資家に分配しているものが多いのです。
たとえば、10万円分の投資信託を購入して、投資したお金から1万円を取り崩して「利回り10%の分配金です」といわれても納得できませんよね?これでは、渡したお金の10%を返してもらったに過ぎません。
なかには優良な毎月分配型の投資信託もあるといわれますが、有効利用できるほとんどのケースは定年退職や早期リタイア後など限定的であり、これから前向きに資産形成を始める人に適した金融商品ではないと覚えておいてください。
どういった投資信託を選べば良いの?
数千種類の投資信託を扱うネット証券もあるものの、定番の選択肢は以下の基準で絞られています。
- 堅実に成長している投資先を選んでいる
- 投資先が効果的に分散されている
- 維持コスト(信託報酬)が低い
堅実な投資先とは、主にアメリカ市場のことを指します。実際、日本市場はこの数十年のあいだ低迷を続けていますが、アメリカ市場はじわりじわりと右肩上がりを続けてきました。
こうして優秀だと評価されるアメリカ市場に投資しており、かつ大手企業や成長企業に分散投資している投資信託が望ましいです。そして、投資家が負担する投資信託の運用経費「信託報酬」が低いものを洗い出せば、ネットで名前が挙がる定番の投資信託に絞られます。
2019年度に投資したい定番の投資信託3選
以下の3つはアメリカ市場をメインの投資先としており、投資家から支持を集めつつ堅実に基準価額を高めてきました。信託報酬はどれも業界最低水準に近く、分配金が設定されていないため元本が取り崩される心配はありません。
投資信託に関する注目イベント「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2018」では、上記の各投資信託が上位に挙がっており、権威あるイベントでも人気と優秀さが証明されました。
投資信託の利益に課せられる税金はどれくらい?
投資信託の利益に課せられる税金は、株式投資などと同様に一律20.315%です。ただし、非課税制度であるNISAやつみたてNISAを利用することで、一部利益の免除が期待できます。
口座開設と同時に「NISA」または「つみたてNISA」を開設しよう
NISA・つみたてNISAは、投資信託の運用利益を免除できる非課税制度です。それぞれ非課税期間と非課税枠が設定されており、非課税期間は「非課税枠に収まる範囲」で買い付けた投資信託から得る利益は非課税になります。
NISA | つみたてNISA | |
---|---|---|
非課税期間 | 最長5年間 | 最長20年間 |
非課税枠 | 年間120万円 | 年間40万円 |
利用可能対象 | 株式・投資信託 | 投資信託のみ |
つみたてNISAは株式投資では利用できず、投資信託のなかでも一定の基準を超えた「長期投資に適した投資信託」のみを利用可能な対象としています。これは一見するとデメリットに思えるものの、優良な投資信託がスクリーニングされていると考えれば、一概にデメリットとはいえません。
非課税枠こそ少ないですが非課税期間は4倍に伸びており、より長期投資に最適化されているため、投資信託のみを運用するならつみたてNISAは有力な選択肢です。NISAとつみたてNISAは口座を1つまでしか開設できないため、特性を比較して性格に合致するものを選びましょう。
なお、一度決めると固定されるものではなく、ネット証券から切り換えを申し込めます。深刻に考えるほどではないため、迷う場合は一方を利用して使い勝手を確かめると良いでしょう。
投資信託の類似商品であるETF・REITとは?
ETF(上場投資信託)やREIT(不動産投資信託)は、投資信託に類似した金融商品です。
投資信託 | ETF | REIT | |
---|---|---|---|
投資対象 | 金融市場(株式・債券など幅広い) | 金融市場 | 不動産市場 |
上場・非上場 | 非上場 | 上場 | 上場 |
相場価格 | 1日1回算出される | リアルタイムに変動 | リアルタイムに変動 |
最大の違いは、投資信託は上場しておらず、ETFやREITは上場しているという点。投資信託は1日に1回だけ基準価額が算出され、株価のようにリアルタイムに価格は変動しません。
しかし、ETFとREITは上場しており、株式と同様に証券取引所でリアルタイムに売買ができます。証券取引所が開いている時間帯に経済ニュースがあれば、内容の良し悪しに応じて即時に注文を出せるのです。
ただし、こうした特性は身軽さが求められる短期運用でこそ活きますが、長期的な運用を前提にするなら魅力はそれほどありません。さらに、ETFとREITはリアルタイム性を備える反面、自動の積立投資には対応していないというデメリットを抱えています。
やはり、金融市場に長期投資をするなら、長期投資に最適化された投資信託を利用するのがおすすめです。
まとめ
数ある投資のなかでも、投資信託は手間がかからず低リスク。まさに投資入門に最適な選択肢だといえます。
ただ、アクティブファンドや毎月分配型の投資信託のように、なかには長期投資に不向きな投資先が混ざっていることも事実。これらの投資信託を知らずに購入していれば、失敗したと後悔したかも知れません。
リスクを極力回避するなら、まずは王道中の王道とも呼べる戦略を身に付けて、そのうえで自分なりの戦略を編み出していくことをおすすめします。