投資信託の分配金はいくら貰える?具体的な平均額や仕組みを解説
毎月高利回りの分配金を受け取れる投資信託が人気ですが、投資信託はどのような仕組みで高い分配金を実現しているのでしょうか?
また、実際に投資信託ではどのくらいの分配金が受け取れるのでしょうか。
本記事では、投資信託の分配金について、その仕組みや平均敵な分配金についてなどお伝えしていきます。
目次
投資信託の分配金の仕組み
投資信託の分配金はどのように支払われているのでしょうか?
ここでは、その仕組みについて解説します。
投資信託の仕組み
投資信託は、投資家から集めたお金をファンドマネージャーと呼ばれるプロが株式や債券などに投資する金融商品で、投資家はファンドマネージャーの運用成果次第で毎月の分配金を受け取ることができますし、価格が高くなったら売却することで売買差益を手にすることができます。
基準価格と分配金
投資信託の価格は基準価格と呼ばれる価格で表されますが、この基準価格は「元本部分」と過去の運用の結果得られた「繰越利益」、株式や債券の利子や配当による「インカムゲイン」、株式や債券が値上がりした後売却したことで得られる「キャピタルゲイン」などがあり、基本的に、後者の「繰越利益」や「インカムゲイン」、「キャピタルゲイン」から分配金が支払われます。
一方、分配金の額は定められた分配方針に基づいて運用会社が決めますが、運用で得た収益が毎月支払うべき分配金に達していなかった時は「元本部分」を切り崩して分配金を支払うこともあります。
前者の分配金を普通分配金、後者の分配金を特別分配金と呼びます。
普通分配金
普通分配金は、投資信託が運用で得た「インカムゲイン」や「キャピタルゲイン」、過去の「繰越利益」などから支払われます。
基準価格は「元本部分」とこれら「インカムゲイン」、「キャピタルゲイン」、「繰越利益」で構成されるため、分配金が支払われた後は基準価格が下がることになります。
株式投資でも配当金が支払われた後は価格が下がることが多いですが、株式投資は配当金を受け取った次の日に売却する人などが起こるためで、投資信託の基準価格が下がるのとは別の仕組みです。
なお、普通分配金として支払われた分配金は課税対象となります。
特別分配金(元本払戻金)
特別分配金は、運用で得た「インカムゲイン」や「キャピタルゲイン」、「繰越利益」だけでは予定していた分配金の支払いが難しい時に、一部元本部分を切り崩して支払う分配金のことで、普通分配金と同様、支払われた分だけ基準価格が下がります。
特別分配金は、元本部分の切り崩し(投資した額の取り戻し)のため非課税となります。
なお、「インカムゲイン」や「キャピタルゲイン」、「繰越利益」で支払えない部分を元本から切り崩すため、普通分配金と特別分配金の2つが支払われることが多く、この場合は普通分配金のみが課税対象です。
投資信託の分配金は高利回り?
投資信託は他の金融商品と比べて高利回りという話を聞きますが、本当なのでしょうか?
投資信託の平均分配金はどのくらい?
一般的に、投資信託でインデックスファンド(日経平均株価などの株価指標に沿って投資するファンド)に投資した場合の平均利回りは4~6%程度とされています。
投資信託を100万円分購入したら、年間で4万円~6万円程の分配金を受け取れる計算になります。
銀行の普通預金の金利が0.001%ともされる現在において、利回り4~6%は高利回りに分類されるでしょう。
投資信託はなんで高利回りなの?
投資信託の平均利回りは4~6%というお話をしましたが、これはまずプロが運用しているからの成果だと言えるでしょう。
しかし、一方で投資信託を購入した投資家は上記利回り分だけ儲けを得られていることはそう多くありません。
それは、先述した分配金の支払いにより基準価格が下がってしまう仕組みや、購入時や保有時に支払わなければならない手数料の存在があります。
まず、分配金の支払いにより基準価格が下がる点については、分配金で毎月一定額を受け取れたとしても、売却時の基準価格が低くなってしまっていては、トータルで考えると利益が小さく、場合によってはマイナスになってしまうこともあります。
次に、投資信託は、投資信託を運用する運用会社への報酬として購入時や保有時に手数料を支払う必要があり、例えば購入時に3%、保有時に1%/年の手数料を支払っていては、例え4~6%の利益があったとしても投資家の手元に残る収益はほとんどありません。
もちろん、こうしたことを差し引いても高い利回りを出している投資信託もありますが、単純に数字上の分配金や利回りだけで判断するのは危険だと言えます。
投資信託の分配金ランキング
ここで、マネックス証券の分配金利回りランキングを参考に、実際の投資信託の分配金を見てみたいと思います。
2017年12月1日~2018年11月30日の年間分配金利回りのデータを見ると毎月分配型投資信託のベスト3は以下のようになっています。
- DIAM J-リートOP 毎月 分配金利回り(税引前) 12.44%
- 明治安田J-REIT戦略毎月 分配金利回り(税引前) 12.06%
- 大和 J-リートオープン毎月 分配金利回り(税引前) 11.11%
ベスト3だけあって利回りは全て10%を超えています。また、全て不動産を投資対象とする投資信託であるJ-REITであるのも特徴的です。
いずれにせよ、銘柄によっては1年間でこれだけの分配金利回りがあることを考えると投資対象として十分魅力的だと言えるでしょう。
分配金の扱い
投資信託の分配金の仕組みや平均利回りについてお伝えしましたが、ここでは、投資信託を購入して受け取った分配金について以下の3つの扱い方があることをご説明します。
- 取引口座で受け取る
- 再投資する
- 無分配もある
それぞれ詳しく見ていきましょう。
取引口座で受け取る
投資信託で分配金が出ると、金融機関の証券口座などで受け取るタイプです。普通分配金であれば20.315%の税金が引かれて支払われます。
例えば、100万円預けて年間で5万円程度の分配金が出る投資信託であれば、その5万円をちょっとしたお小遣いにすることができます。
ただし、先述したように投資信託では分配金を支払うと分配金が下がるため、例えば分配金支払い時の基準価格が105万円であれば100万円に下がってしまうことになります。
再投資する
次に、投資信託で分配金が出ても取引口座で受け取らず、そのまま再投資するタイプもあります。
このタイプでは、受け取った分配金で購入できる分だけを自動的に計算して再投資してくれますが、こちらも分配金が普通分配金であれば20.315%の税金が支払われた後の金額で計算されます。
例えば、100万円預けて分配金が5万円、分配金支払い時の基準価格が105万円であれば、再投資する金額は税金が引かれて約4万円、一方、基準価格は5万円差し引かれるので100万円となり、再投資後は104万円分投資していることになります。
再投資を続けると、投資の福利効果を得られますが、売却するまでは利益を得ることができません。
無分配もある
最後に、投資信託の中には無分配タイプのものもあります。
投資信託では分配金を支払うと基準価格が下がってしまうことをお伝えしましたが、無分配であれば分配金の支払いにより基準価格が下がることはありません。
また、再投資と似ていますが、再投資では一度税金が引かれるのに比べ無分配であればその心配もありません。
無分配型の投資信託は、売買差益のみを狙った金融商品となります。
分配金を受け取るメリットとデメリット
分配金の受け取り方について、3つのタイプがあることをお伝えしましたが、分配金を受け取ることにはどのようなメリット、デメリットがあるのでしょうか?
まず、分配金を受け取るメリットは定期的にお小遣いを得られることがあるでしょう。
投資信託では特に毎月分配型投資信託が人気で、投資信託を選ばれる理由もそのお小遣い感覚にあるという方も少なくないようです。
一方で、分配金を受け取るデメリットとしては、ここまで何度か説明している通り、分配金が支払われると基準価格が下がってしまう点には十分に注意が必要です。
さらに、再投資タイプや無分配タイプと比べると、投資による複利効果を得られにくくなってしまいます。
例えば、100万円預けて分配時に105万円、5万円の分配金を支払うケースでは、分配金を受け取ってしまうと基準価格は元通り100万円になってしまいますが、再投資タイプでは104万円、無分配タイプでは105万円のまま、次の運用を進めることができます。
これにより、次の期間も同じ成果であれば、分配金を受け取ると次も基準価格は100万円(ただし、分配金8万円受け取れる)なのに対し、再投資タイプでは108.16万円(104万円×1.04)、無分配タイプでは110.25万円(105万円×1.05)にすることができます。
さらに、複利効果の素晴らしいところは、年数を重ねるごとに効果が高くなっていくことです。
仮に10年間同じ成果を得続けた場合、分配金を受け取るケースでは基準価格は変わらず100万円、分配金は10年で40万円なのに対し、再投資タイプでは148.02万円、無分配タイプでは162.89万円にすることができます。
積立NISAってどうなの?
2018年1月より、積立NISAが始まりましたが、投資信託を購入するにあたり、積立NISAを利用するのはお得なのでしょうか。
積立NISAの仕組み
積立NISAは、制度を通して購入した投資信託から得られた売却益や分配金が非課税になるというものです。
投資信託では、分配金の内普通分配金に対してと売却益に対して20.315%の税金が課されますが積立NISAを利用すればこの税金を0とすることができます。
例えば、年間で40万円投資信託を購入してその売却益と分配金で10万円の利益が出た場合、通常2万315円の税金が課され、手元には約8万円残ることになりますが、積立NISAで売買すれば10万円丸々受け取ることができます。
積立NISAの年間投資上限額は40万円で、投資期間は2018~2037年の最長20年間。積立のみが対象となるため、毎月の投資上限額は3万3,333円となります。
積立NISAのメリットとデメリット
積立NISAを利用するメリットは何といっても税金が非課税となることが挙げられるでしょう。
約20%の税金を20年にわたって非課税とできるメリットは大きいです。
一方、デメリットとしては大きく2つあり、1つ目は、投資対象が限られること、そしてもう1つが損益通算できないことです。
投資対象が限られる点については、積立NISAで購入できる投資信託は、金融庁の基準をクリアした商品のみで、株式やREITが対象でないのはもちろんのこと、投資信託の中でも購入できない商品が数多くあります。
その数は2018年12月現在、約6,000ある投資信託の内約160程度となっています。
とはいえ、これは投資初心者の方にとっては安心できる商品しか購入できないということでメリットになるケースもあるでしょう。
次に、損益通算できない点については、通常複数の証券口座で投資している場合、ある口座で利益が出ても、他の口座で損失が出ていれば相殺することができ、このことを損益通算と呼びますが、積立NISA口座で購入した投資信託に関しては損益通算することができません。
積立NISAとは別の証券口座でも投資を行っている方は注意が必要です。
まとめ
投資信託の分配金について、その制度や平均的な分配金の額、分配金の受け取り方、積立NISAなどについてお伝えしてきました。
投資信託は一般的に高利回りの商品で、特に投資初心者の方にとっては魅力と感じる面の多い商品ですが、一方で分配金が支払われると基準価格が減ってしまうことや、購入時と保有時に手数料がかかることなどについてはよく理解した上で投資に取り組む必要があります。
投資信託の分配金を目当てに投資を検討されている方は、本記事を参考に投資判断されてみてください。