今後のマンション相場はどうなる?正しい情報を確実に集めるコツ
現在マンションの売買を考えている方は、最初に相場を調べるようにしましょう。
理由もなく相場より高い価格でマンションを購入してしまっては、かなり損ですし、逆に相場より安く売りに出されているマンションを購入できれば非常にお得です。
もちろん、前者を避けるにしても、後者を実現するにしてもそもそもの相場を知らなければ判断することができません。
そこで、本記事ではマンションの相場の調べ方を、売却価格と成約価格、価格相場などについてお伝えしていきます。
目次
マンションの相場の調べ方
マンションを購入する前には、損をしないためにも相場についてよく知っておく必要があります。
マンションの相場を調べる際には、以下のように調べるとよいでしょう。
- 近隣の類似物件を調べる
- 最終的に売買された金額を調べる
- 価格相場の推移を調べる
まず、近隣に同じような立地、同じような間取りなど、購入を検討しているマンションと類似した物件で、現在売却されている物件を探してみましょう。
この調べ方には、インターネットで検索する方法や雑誌やチラシで確認する方法、近隣の不動産会社を訪問してみる方法など様々な方法があるので、やりやすい方法を選ぶとよいでしょう。
また、相場を調べる時には「今いくらで売りに出されているか」だけでなく、「実際にいくらで取引されているのか」を調べることも大切です。
というのも、近隣類似物件で今売りに出されている物件というのは、そのままの売却価格で売買されることが決まっているわけではありません。
最終的に制約するまでの間に値引きが行われることもあるので、最終的に売買された金額も調べるようにするとよいでしょう。
そして、今売却されている価格や、過去に取り引きされた金額を調べたら、今後、どのように価格を推移していくかも調べると万全です。
これは、東京カンテイなどのリサーチ会社が発表している資料で確認できます。
以下、それぞれ解説していきます。
近隣類似物件の調べ方
近隣類似物件で、今売りに出されている物件を探す方法には以下のような方法があります。
- 大手不動産サイトや宅建協会で検索する
- チラシや雑誌で調べる
- 不動産会社を訪問する
一つずつ解説します。
大手不動産サイトや宅建協会で検索する
インターネットを利用して売買物件を検索するのは、今のマンション売買において主流となっており、数多くの物件を確認することができます。
検索に利用するのは、スーモやアットホームなどの大手不動産サイトや、地域の宅建協会のホームページ、その他お近くの不動産会社などで、物件を掲載しているサイトを確認するとよいでしょう。
チラシや雑誌で調べる
次に、チラシや雑誌で調べる方法もあります。
フリーペーパーや新聞等への折り込みチラシの他、コンビニや本屋さんで購入できる不動産情報誌で物件を確認できます。
チラシや雑誌は物件の掲載が決まってから掲載されるまでにタイムラグがあるため、実際に売買する際にはすでに売買が決まっているなど不具合もありますが、相場を調べるだけであれば特に問題ないでしょう。
インターネットで1件1件検索するより、1ページにたくさんの物件が掲載されているスタイルの方が見やすいという方も多いのではないでしょうか。
不動産会社を訪問する
手間はかかってしまいますが、不動産会社を訪問するのもよいでしょう。
インターネットやチラシ・雑誌に掲載されていない非公開物件なども数多くあります。
また、担当者の方に相場について確認することもできます。
インターネットやチラシ・雑誌の物件だと、類似物件はどんな物件かを自分で判断する必要があるため、やや難易度が高いですが、不動産会社を訪問してしまえば、担当者の方が要望に応じた物件をピックアップしてくれるでしょう。
最終的に売買された金額の調べ方
次に、現在売りに出されている物件情報だけでなく、過去に実際に取引された金額を調べることも大切です。
過去に取引された金額を調べるには、以下のようなサイトを利用します。 ・レインズマーケットインフォメーション ・土地総合情報システム
ここでは、これらのサイトについて確認する前に売却価格(今売りに出されている価格)と成約価格(実際に取り引きされた価格)との違いについてご説明したいと思います。
売却価格と成約価格の違い
先ほどもご説明したように、今売りに出している売却価格と、実際に取り引きされる成約価格とは必ずしも同じではありません。
売買活動を行っていく中で、値下げや値引きをする可能性があるからです。
マンションの売却価格はどう決まる?
まず、マンションの売却価格はどのように決まるのでしょうか?
マンションを売却しようと思ったら、売主は不動産会社に価格査定を受け、査定価格の提示を受けます。
その後、査定を受けた会社と正式に媒介契約を締結すると、売主とその不動産会社とで話し合いがなされ、査定価格を元に売却価格が決められます。
なお、例えば査定価格が1億円だったものを売主の希望で1億500万円で売り出しを始めるなど、査定価格と売却価格が大きく異なることもあります。
こうして売却価格が決められると販売が進められていきます。
ここまでの流れで分かるように、売却価格の決まり方には特に決まりはありません。
売主が「絶対にこの価格でしか売らない」と言えばその通りになることもあります。
つまり、必ずしも今売りに出されている売却価格は相場に近いとは言えないのです。
買主と売主とで価格交渉が行われる
なお、実際に販売が開始され、売れないでいると売主は値下げをするかどうか?の判断に迫られることになります。
値下げを実施すれば売れやすくなることは間違いありませんが、それだけ利益が少なくなってしまいます。
また、ここで値下げをしたにせよしなかったにせよ、購入希望者が現れた際には、もう一度値下げを検討することがあります。
買主から「この価格なら買う」などと価格交渉されるからです。
前者であれば、今売りに出ている売却価格は値下げによって安くなりますが、後者の場合は売却価格には全く現れない数字です。
一方、過去に取り引きされた成約価格であれば、前者はもちろんのこと、後者の値下げについても反映された価格を調べることができます。
(とはいえ、どのようなタイミングで値下げされたかなどの情報は調べられません)
レインズマーケットインフォメーション
レインズマーケットインフォメーションでは、不動産会社の登録するレインズのシステムを利用したもので、過去の成約価格を調べることができます。
「東京都」、「都心5区」などと検索条件を入れて検索すると、過去の取引に関する以下のような情報を閲覧することができます。
- 沿線
- 最寄り駅
- 駅からの距離
- 所在
- ㎡単価
- 専有面積
- 間取り
- 築年
- 成約時期
- 用途地域
検討されているマンションと近い条件の物件を探してみるとよいでしょう。
土地総合情報システム
土地総合情報システムは国土交通省によるシステムで、こちらも過去の成約価格を調べることができます。
こちらは「中古マンション」を指定することができるので、後は「東京都」「~区」などを検索条件に入力して検索します。
検索すると、以下等が表示されるため類似した条件を探して相場を調べます。
- 所在地
- 最寄駅
- 取引総額
- 間取りや面積
- 用途
- 取引時期
価格相場の推移を調べる
最後に、価格相場の推移を調べます。
「レインズマーケットインフォメーション」や「土地情報システム」の検索結果にはどちらも「取引時期」についての情報がありますが、例えば2年前に売買が決まったのであれば、それから2年で価格相場はどのように動いたのかなどを確認して相場を考慮する必要があります。
そのために、提供するレポートを参考にします。
価格相場の推移まで調べると、専門的になってしまいますが、軽く調べるだけでも効果は高いのでぜひ活用してみてください。
レインズ(東日本・中部・近畿・西日本)
レインズは、不動産会社が売買を仲介する際などに物件を登録するシステムを扱う機関のことで、東日本、中部、近畿、西日本の4つがあります。
これらのサイトでは、その地域ごとの市況レポートなどを読むことができます。
例えば、東日本レインズの「市況トレンド」の中の「首都圏賃貸居住用物件の取引動向」では、3カ月ごとの首都圏(東京23区、東京都他、横浜川崎、神奈川県他、埼玉県、千葉県)の取引件数や賃料、建物面積、㎡単価を確認することができます。
過去のデータまでさかのぼってみることができるので、ここ数年どのように推移しているのか調べることもできます。
その他、「月例マーケットウォッチ」では概況を確認することもできるため、自分で調べるのが面倒な方はこの概況だけでも見てみるとよいでしょう。
不動産流通推進センター
不動産流通推進センターは不動産に関する資格である「不動産コンサルティング技能試験」などを取り扱う公益財団法人で、毎年2回、不動産の概況に関するデータを提供しています。
こちらのサイトでは「不動産業の概況」で、日本の不動産会社の法人数など不動産業界全体の状況を確認できると共に、「不動産賃貸」に関する統計では、都市圏別の賃貸マンションの家賃相場等を確認することができます。
東京カンテイ
東京カンテイは不動産に関するデータを提供する会社で、レインズや不動産流通推進センターとは異なり民間の会社であるため、提供されるデータの一部は有料となっています。
とはいえ、「市況レポート」など無料で閲覧できるレポートもあり、例えば2018年11月に更新された「三大都市圏・主要都市別/中古マンション70㎡価格月別推移」では、首都圏の中古マンション売買相場は前月比-0.3%の3,625万円となっており、横ばい傾向が続いていることが分かります。
価格推移を調べる際には、上記3サイトが提供している市況レポートなどを参考にしましょう。
現状の価格推移について
マンションの相場とその調べ方について、売却価格と成約価格、価格推移についてお伝えしましたが、実際のところ、現状の価格推移はどのようになっているのでしょうか?
首都圏のマンション売買価格は横ばい?
先ほども取り挙げた、東京カンテイの「三大都市圏・主要都市別/中古マンション70㎡価格月別推移」によると、首都圏の70㎡あたりの中古マンション価格は2018年10月に3,625万円(2018年8月3,640万円、2018年9月3,636万円となっており)、3カ月連続の減ではあるものの、概ね横ばい状況が続いていると言えるでしょう。
なお、同資料内で2012年1月から現在までの価格推移が見られるのですが、2012年1月~2015年1月までの間は2,763万円~2,950万円の間を横ばい状態で動いており、それから比べると現在はかなり高値の状態だと言うことができます。
東京オリンピックに向けて価格の上昇が続いてきたものの、頭打ち状態となっていることが予想されます。
都道府県地価がバブル以来初のプラス転換
一方、不動産の取引の指標となる都道府県地価は、バブル以来ずっとマイナスが続いていた数値が徐々に改善を続けてきていた状況で、2018年9月に発表されたものでは、ついにバブル以来初めてマイナス成長を脱却し、プラス成長となりました。
金融機関が融資を渋っている?
首都圏の中古マンション売買価格のように、ここ数年でマンション価格は大きく伸びており、また都道府県地価調査ではついにプラス転換を実現しましたが、最近になり、特に不動産投資に関して金融機関が融資に関する審査を厳しくしているという話を聞きます。
これは、2018年になって起こったスルガ銀行によるシェハウス事業、カボチャの馬車への融資なども要因として挙げられるでしょう。
融資が厳しくなれば、不動産の取引数が減ってしまい、マンションの売買価格が下落する要因ともなりえます。
今後、2025年の大阪万博の開催や2027年のリニアモーターカー開通など、経済への好材料もありますが、価格がどのように推移していくかについては、細かく情報収集していく必要があるでしょう。
まとめ
マンションの相場についてお伝えしました。
マンションの相場を調べる際には、売却価格と成約価格の違いについて理解すると共に、価格の推移についても把握しておくとより万全です。
マンションの購入を考えている場合には、本記事を参考にまずは近隣の相場を調べてみることをオススメします。