投資の平均年利は何%?不動産投資で高い年利が狙える4つの理由とは
投資で最も重要視する要素として「年利」と答える人は多いでしょう。それほど投資において年利は重要な指標であり、投資商品を選ぶときにも重視する指標です。しかし、年利の内容をきちんと理解しておかないとリスクとリターンのバランスも分からず、自分に合わない投資になるかもしれません。
そこで今回は、そもそも年利とはどのようなものか?年利を考えて投資商品を選ぶ際、どのような点に気を付けるべきか?を解説し、高い年利を狙うなら不動産投資がベストである理由も解説していきます。
この記事を読めば、投資商品を選ぶ重要指標である「年利」を理解でき、不動産投資と年利の関係性を深く理解できているでしょう。
年利とは何か?
結論からいうと、年利とは「利回り」ともいわれ、その投資商品から「年間でどのくらいの収益を上げられるか?」という指標です。つまり、年利の高い商品の方が初期投資の回収年数が短いため、収益性が高い投資といえます。
そもそも、投資の目的は資産を増やしたり作ったりすることであり、端的にいうと「お金を増やすこと」です。そのため、年利という「収益性が分かりやすい」指標は投資を考える上で非常に重要であり、以下2種類の利回りについては理解しておく必要があります。
- 表面利回りとは?
- 実質利回りとは?
表面利回りとは?
表面利回りの計算式は以下の通りです。
- 表面利回り=年間収入÷商品の取得価格
仮に、株式投資をしたとして、A社の株を300万円かけて取得したとします。そして、A社の株を保有しておくことで得られる年間の配当収入が6万円であれば、「6万円÷300万円=2%」がこの商品の年利になります。
実質利回りとは?
実質利回りは以下の計算式です。
- 実質利回り=(年間収益-年間経費)÷商品の取得価格
たとえば、前項の株式の一部を信用取引で取得していることで、年間3万円の経費がかかっているとします。その場合、「(年間収益6万円-年間経費3万円)÷300万円=1%」が、この商品の実質利回りです。
年利の考え方
上述したように、年利の考え方は「投資商品を得るために投下した費用を何年で回収できるか?」ということです。たとえば、年利10%ということは、100万円で取得した投資商品から、年間10万円の収益を上げていることになります。
そのため、その投資商品を得るために投下した100万円は、10年間(100万円÷10万円)で回収できるという計算です。ただし、上述したように利回りの種類によって計算式が異なるので、上述した2種類のうち、どの計算式で年利を換算しているかはチェックしなければいけません。
年利10%の商品であっても、それが表面利回りであり、かつ経費が高額な投資商品であれば、実質の年利はガクッと落ちてしまいます。
投資ごとの年利比較
年利を計算するということは、その投資商品からどのくらいの収益を得られるのか?を知りたいということです。多くの投資商品の年利は確約されておらず、運用状況によって変わります。ただし、目安として以下の投資商品ごとの年利を認識しておきましょう。
- 長期金利の平均年利
- 投資信託の平均年利
- 株式投資の平均年利
- 不動産投資の平均年利
- REITの平均年利
なお、金利については不動産証券化協会のデータを参考にしています。
長期金利の平均年利
長期金利とは、主に新発10年国債になります。新発10年国債とは、10年間最低利回り0.05%が保証されている金融商品であり、投下した資金は10年後に返還されるという元本保証型の商品です。
日本がマイナス金利政策を導入したということもあり、長期金利は2016年以降では年利がマイナスになることもあります。年利がマイナスということは、その商品を所有しているだけで、収益を上げるどころか資産が減っていきます。
ただ、国債に関しては最低金利が0.05%保証されているので、収益がマイナスになることはありません。0.05%の年利の場合、国債を1,000万円取得しても5,000円の利益にしかならない計算です。
株式投資の平均年利
株式投資の平均年利は、データによると東証一部上場企業の株式で2%前後です。株式投資で利益を上げる方法は以下2種類あります。
- 株の売買益
- 配当金
株の売買益は、株価が安いときに取得し、株価が上昇したときに売却して利益を得ます。一方、配当金とは、企業が出した利益を投資家へ還元することです。そのため、配当金は企業の業績によりますし、業績が良くても仮に企業が設備投資にお金を回せば配当金は下がります。
その配当金が2%前後ということは、300万円の株を取得していれば、年間6万円程度の配当金を得られます。
投資信託の平均年利
そもそも投資信託とは、プロ集団にお金を預け運用を任せるという商品です。Aという投資商品を取得することで、Aを運用しているファンドにお金の運用を任せることになります。そのため、そのファンドがどのような投資商品を選択するかで年利は変わってくるという仕組みです。
投資信託の年利は分配金
投資信託は、株と同じように上場されていれば証券会社を介して売買できます。また、上場していなくても、ファンドと信託契約を解約することで売却と同じような扱いになります。仮に、投資信託を取得したときより基準価格が上昇していれば売買益を得ることも可能です。
ただ、年利換算するのは売買益ではなく、そのファンドから得ることができる分配金であり、株式投資でいう配当金のようなものです。要は、預けたお金をファンドが運用し、その運用益の一部を分配金として投資家に還元します。
投資信託の平均利回りは分からない
投資信託の数は膨大であり、株式のように上場していない商品も多いです。そのため、年利はマチマチなのですが、たとえばマネックス証券で取得できる投資信託をいくつかピックアップすると、年利は以下の通りです。
投資信託 | 年利 |
---|---|
フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド | 2.63% |
新光 US-REIT オープン | -2.24% |
ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド | 0.35% |
ひふみプラス | 6.07% |
ダイワ・US-REIT・オープン | -1.87% |
東京海上・円資産バランスファンド | 1.45% |
グローバル・ロボティクス株式ファンド | 5.42% |
ロボット・テクノロジー関連株ファンド | 6.11% |
アジア・オセアニア好配当成長株オープン(毎月分配型) | 1.05% |
上記にはありませんが、投資信託には年利10%を超える商品もあれば、上記のように年利がマイナスの商品もあります。要は、投資信託は商品によって年利の差が大きい投資商品です。
不動産投資の平均年利
不動産投資の平均年利はデータではありません。不動産投資をしている人は世の中にたくさん存在しますが、わざわざ自分の収益を開示する人はいないので、平均年利は分からないです。ただ、HOME’S 投資物件のラインナップで年利を計算すると以下の通りです。
港区 | 目黒区 | 荒川区 | 大阪府堺市 | 福岡県北九州市 |
---|---|---|---|---|
4.64% | 5.61% | 5.19% | 11.31% | 13.87% |
こちらは、「区分マンション投資」で絞り込んだ年利なので、不動産種類によって年利は変わります。また、不動産は値引きして購入するケースが多いので、値引きすれば物件取得価格が下がるので年利は上がるという仕組みです。
上記のように地方の方が物件価格は安いので年利は高くなりやすいですが、需要が高い首都圏の方が空室リスクは小さいといわれています。
REITの平均年利
REITとは投資信託の一種であり、投資商品を現物不動産に限った投資商品です。投資信託では、ファンド(資産運用会社)は株や債券、REITなどあらゆる投資商品を取得します。一方、REITの場合は、ビルや商業施設、ホテルなどの現物不動産に限定しています。
投資法人(≒ファンド)は投資家から集めたお金と融資を利用し不動産を取得し、その不動産を運用することで利益を得ます。その利益を投資家に分配金として還元し、データで見る限りその年利が4%です。
年利とリスクは相関する
年利の高い商品の方が収益は高いので、ニーズが高まると思いきや実はそうとは限りません。なぜなら、投資の年利(リターン)とリスクは相関しているので、基本的に年利の高い「ハイリターン商品」はハイリスク商品でもあるからです。
この年利とリスクの関係性を知っておかないと、リスクの高い投資に手を出す危険性もあるので要注意です。ここでは以下3パターンのリスク・リターンを解説していきます。
- ハイリスク・ハイリターンの投資商品
- ミドルリスク・ミドルリターンの投資商品
- ローリスク・ローリターンの投資商品
ハイリスク・ハイリターンの投資商品
たとえば、「ピクテ・インデックス・ファンド・シリーズ -ブラジル株」という投資信託があります。この投資信託は2019年1月時点で年利18%を超えているので、年利は非常に高い「ハイリターン商品」といえるでしょう。
ただ、この投資信託は商品名の通り「ブラジルの株式」を中心に投資しているので、リスクの高い商品といえます。ブラジルは先進国ではなく「成長国」という位置づけなので、ブラジル株は大きく上昇することもあるでしょう。
しかし、同じくらい大きく下落する危険性を潜んでいるため、運用が失敗すれば年利18%どころかマイナスになるリスクもあります。このように、ハイリスク・ハイリターン商品は、年利がマイナスになる覚悟が必要な商品です。
ミドルリスク・ミドルリターンの投資商品
ミドルリスク・ミドルリターンの代表格は現物不動産投資といわれています。現物不動産投資の年利は、上述したように、低くても5%前後、高いと10%を超えることもあります。この点は、相対的に見てミドルリターンといえます。
一方、リスクは以下です。
- 空室リスク
- 家賃下落リスク
- 震災などの地政学的リスク
細かいリスクはもっとありますが、代表的なリスクはこの3点です。ただ、仮に1か月空室になっても赤字に転落するリスクは小さいですし、仮に赤字になったとしても大きく損失を被るわけではありません。
また、家賃が下落するといっても、「1年間で家賃が30%下がる」など、収益が大幅に下落することはほぼないでしょう。しかし、ハイリスク商品だと短期間で大幅に資産価値が下落することは十分にあり得るので、相対的に見てリスクもミドルリスクといえます。
ローリスク・ローリターンの投資商品
ローリスク・ローリターンの代表格は国債が挙げられます。マイナス金利政策の影響で、ローリスク・超ローリターンともいわれますが、基本的には元本保証なのでリスクはゼロに近いです。
仮に元本が保証されない状況としては日本の経済が破綻するときなので、可能性としては極めて低いといえます。ただ、現在では最低金利の0.05%で推移しているほどなので、資産を作るという意味ではさすがに年利が低すぎるでしょう。
高い年利を狙うなら不動産投資
ここまでで、各投資商品の年利について理解できたと思いますが、高い年利を狙うなら不動産投資がおすすめです。もちろん、ハイリスク・ハイリターンの商品は20%近い年利の商品もあるので、年利だけを考えるとそちらの方が収益は高くなるでしょう。
しかし、そのような商品はリスクも高いので、「資産をつくる」という観点からは不安定が大きいです。そのため、高い年利を狙うなら不動産投資が適しており、以下の点を学んでおくことで投資に成功する可能性は上がります。
- 不動産投資は融資を利用できる
- 融資する上で知っておくべき返済後利回り
- 不動産投資の年利は安定している
- キャッシュフローを理解しておく
不動産投資は融資を利用できる
そもそも不動産投資は融資を利用できるという最大のメリットがあります。上述したように、基本的に年利は「年間収益÷投資商品の取得価格」で計算されます。
融資を利用することで「投資商品の取得価格」のうち、自分の手持ち金の配分を下げることが可能です。つまり、「小さい自己資金で高額な資産を取得できる」ので、投資効率が非常に高いといえます。
株式投資との比較
たとえば、自己資金500万円を投資に充てるとします。株式投資の場合は、証券会社にお金を借りて投資を行う「信用取引」を利用しても、せいぜい自己資金の3倍の1,500万円しか取得できません。一方、不動産投資の場合は、融資を利用して10倍の5,000万円の商品を取得することもできます。
仮に、上述した年利に当てはめると以下のようになります。
- 株式投資:1,500万円×2%=30万円
- 不動産投資:5,000万円×7%=350万円
このように、そもそも不動産投資は年利が比較的高い上に、融資を利用することで高額の商品を取得できるメリットがあります。
金利の発生は認識しておく
ただし、融資によって取得できる商品の金額は上がりますが、融資を利用することで金利が発生している点は覚えておきましょう。その金利支払いは収益を圧迫するので、少なくとも融資金利よりも高い年利を出さないといけません。
融資する上で知っておくべき返済後利回り
前項で解説した「融資」は、取得商品の金額を上げられるというメリットもありますが、ローン返済というデメリットもありました。そのため、融資を利用する不動産投資では、表面利回り・実質利回り以外に返済後利回りを理解しておく必要があります。
返済後利回りの計算式は以下の通りです。
- 返済後利回り:(年間家賃収入-年間経費-ローン返済額)÷物件取得額
このように、返済後利回りは実質利回りにローン返済額を加味した金額なので、さらに現実に即した年利になります。表面利回りで物件を絞り、実質利回りで物件を精査…そして返済後利回りで最終的な収益を計算するという流れで物件選びをしましょう。
不動産投資の年利は安定している
上述したように、元本保証でない投資商品は運用成績次第で年利は変わります。もちろんそれは不動産投資も例外ではなく、想定していた年利は8%だったのに、空室が出たことで年利が5%に下がることもあります。
しかし、「収益」という点において不動産投資は比較的安定しているといえるでしょう。その点を、不動産投資の収益源とほかの投資の収益源を比較して解説します。
不動産投資の収益源
不動産投資の収益源は、その不動産に居住している人の家賃です。家賃は滞納されるリスクはありますが、そのリスクは極めて低いといえます。また、保証会社を利用することで、入居者が家賃を滞納したときに保証会社に立て替えてもらうことも可能なので、収益が減るリスクは小さいです。
空室リスクも家賃下落リスクもあるのは事実ですが、1年間のうちに何か月も空室になることは少なく、家賃も短期間で極端に下落することは少ないです。そのため、不動産投資の収益源は比較的安定しているので、想定していた年利に近い数値で運用しやすい投資といえます。
ほかの投資の収益源
不動産投資と同じく、REITは現物不動産からの収益なので比較的安定しています。事実、上述したようにREITは平均年利4%と、ほかの投資と比べて年利が高いのも「安定した収益源」が理由の1つです。
一方、株式投資の配当は企業業績次第ですし、株価は「1か月で20%下落する」ということはそう珍しいケースではありません。投資信託も株などを運用しているので同じことがいえます。
このように、不動産投資は「家賃収入」という比較的安定した収益源があるからこそ年利が安定しやすいので、比較的高い年利を維持しやすい投資です。
キャッシュフローを理解しておく
さいごに、不動産投資は以下のキャッシュフローを理解しておきましょう。
年数 | CF | 家賃収入 | 臨時収入 | ローン支払い | 経費 | 特別経費 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1年目 | 86 | 427 | - | 175 | 126 | 40 | 不動産取得税 |
2年目 | 120 | 421 | - | 175 | 126 | - | - |
3年目 | 63 | 414 | 30 | 175 | 126 | 50 | 退去時の補修費 |
4年目 | 107 | 408 | - | 175 | 126 | - | - |
5年目 | 101 | 402 | - | 175 | 126 | 80 | 共用部の補修費 |
6年目 | 44 | 395 | 30 | 175 | 126 | 50 | 退去時の補修費 |
7年目 | 88 | 389 | - | 175 | 126 | - | - |
8年目 | 81 | 382 | - | 175 | 126 | - | - |
9年目 | 25 | 376 | 30 | 175 | 126 | 50 | 退去時の補修費 |
10年目 | -141 | 370 | - | 175 | 126 | 210 | リフォーム&共用部の補修 |
11年目 | 62 | 363 | - | 175 | 126 | - | - |
12年目 | 6 | 357 | 30 | 175 | 126 | 50 | 退去時の補修費 |
13年目 | 49 | 350 | - | 175 | 126 | - | - |
14年目 | 43 | 344 | - | 175 | 126 | - | - |
15年目 | -124 | 337 | 30 | 175 | 126 | 160 | 退去時の補修費&共用部の補修 |
上記はアパート経営を想定しており、年間家賃収入427万円、空室が1年に0.5か月、家賃下落を年間1.5%と想定しています。臨時収入とは更新料などのことで、特別経費とは備考欄の通りです。
要は、不動産投資は長期スパンの投資になるので、上記のようなスパンで収支計算をする必要があります。そうしないと、数年ごとにかかる支出を加味せず、空室や家賃下落も加味しない想定になってしまうからです。高い年利を確保するためには、このようなシミュレーションは必須といえるでしょう。
まとめ
年利とは「投下した資金を何年で回収できるか?」という指標であり、投資商品を選ぶときに重視する指標です。まずは、株式投資や投資信託、長期金利などの年利を参考程度に知っておきましょう。
その上で、年利とリスクのバランスを理解し、どの投資商品が自分に合っているかを検討するという流れです。この点を知らずに投資すると、自分の想定と全く異なる投資になる可能性があります。
また、比較的高い年利で安定している投資は不動産投資なので、資産をつくることが目的なのであれば、不動産投資はおすすめの投資方法です。