4ステップで出来る!投資信託の始め方と選定方法を徹底解説
このゼロ金利時代のなか、銀行預金を続けても利息はほとんど付きません。効率良く保有資産を増やそうと考えれば、投資による資産運用は避けられないのです。
でも、投資は運用や分析が難しく、失敗すれば全財産を失ってしまうと思いますよね?
実際に投資で破産したサラリーマンや主婦が、テレビやネットで取り上げられることも多々あります。しかし、これらのネガティブイメージは、投資信託を利用することで解決できるものばかり。
今回は「コツコツ型の資産運用」に適した、投資信託の魅力と始め方についてご紹介します。
初めての資産運用には「投資信託」がおすすめ!
投資信託は高い安定性が評価されている、投資初心者に適した金融商品の1つ。
この項では、投資信託の基礎情報やおすすめの理由をご紹介します。
投資信託の仕組み
投資信託は「資産運用のプロ」に運用を一任する投資手段です。以下のような手順で、投資信託を保有する投資家は利益を獲得します。
投資家が投資信託で利益を得るプロセス
1.投資家が証券会社から投資信託を購入する 2.購入資金がファンドに在籍する「ファンドマネージャー」に預けられる 3.ファンドマネージャーが最適だと判断した株式・債券に投資 4.運用利益が投資家に「分配金」として還元される
投資信託を保有している期間は、3と4の繰り返しによって投資家に利益がもたらされます。最終的には購入価格より高値で売却して換金し、その差額を譲渡益として獲得することも可能。
必要な操作は購入先の決定と売買取引のみで、市場調査や保有株式・債券の割合は自動で調節してくれます。これにより、トレードの時間を用意することが難しく、金融市場の知識を持っていない人も簡単に資産運用を行えるのです。
なぜ投資信託がおすすめなの?
運用の手軽さ以外にも、投資信託には数多くの魅力があります。
大きく分類するとメリットは3つ。それぞれご説明していきます。
少額から金融市場に投資できる
運用に手間がかからないほか、少額から投資できることも代表的なメリット。数百~数千円で投資を始められるため、家計を圧迫させることなく資産運用に取り組めます。
これにより、収支の安定しない新社会人や子育て中の家庭も、ハードルの高さを感じることがありません。「投資には多額の初期費用が必要」といったイメージが強いなか、投資信託が持つスタートの容易さは魅力的です。
分散投資による低リスクな運用ができる
たとえば「株式A」に投資をしていたとき、この企業が倒産すれば「株式A」の価値はゼロになります。しかし「株式A」と「株式B」に資産を半分ずつ投資していた場合はどうでしょうか?
仮に「株式A」の企業が倒産しても、失われる資産を半分に食い止められるため、残りの「株式B」に投資した資産は無事なのです。
しかし、株式投資で「一部の損失を他の利益でカバーする体制」を整えるには多額の資金が必要。さらに、最適なリスク分散には専門知識が必要であるため、個人投資家が容易に真似できることではありません。
そんな中、投資信託はファンドマネージャーが自動的に分散投資を行い、投資家の資金を低リスクに運用してくれます。これも、投資信託が「初心者に優しい金融商品」と呼ばれる理由の1つです。
分配金の自動再投資で手軽に「複利運用」ができる
複利運用は「元本に利益額をくわえて再投資し続けること」をあらわす投資用語。特に長期投資で利益を最大化するときに、複利運用は重要視されています。
投資信託は「分配金の自動再投資」を選ぶことで、購入手数料と再投資の手間をかけずに複利運用を行えるため、長期投資時に大幅なコスト削減が期待できるのです。
しかし、そもそも複利運用はどの程度の効果をもたらすのでしょうか? これを知らないままでは、手軽に複利運用を行えるメリットが分かりません。
そこで、以下に複利運用の対となる「単利運用」と比較した利益率のイメージを用意しました。
元本1,000万円を年利5%で「単利運用」した場合
単利運用では1年間運用したのち、利益額を引き出して「元本だけ」を再投資します。
投資額 | 1年間の利益額 | 経過年数 | 合計利益額 |
---|---|---|---|
1,000万円 | 50万円 | 運用1年目 | 50万円 |
1,000万円 | 50万円 | 運用2年目 | 100万円 |
1,000万円 | 50万円 | 運用3年目 | 150万円 |
1,000万円 | 50万円 | 運用10年目 | 500万円 |
1,000万円 | 50万円 | 運用20年目 | 1,000万円 |
※横スクロールできます。
仮に年利5%を維持できるとすれば、利益は毎年50万円ずつ増え続けます。そして、運用10年目にして500万円、20年目で元本の2倍にあたる1,000万円に到達しました。
元本1,000万円を年利5%で「複利運用」した場合
複利運用では1年間運用したのち、「元本+利益額」を再投資します。
投資額 | 1年間の利益額 | 経過年数 | 合計利益額 |
---|---|---|---|
1,000万円 | 50万円 | 運用1年目 | 50万円 |
1,050万円 | 52.5万円 | 運用2年目 | 102.5万円 |
1,102.5万円 | 55.1万円 | 運用3年目 | 157.6万円 |
約1,551.3万円 | 約77.6万円 | 運用10年目 | 約628.9万円 |
約2,526.9万円 | 約126.4万円 | 運用20年目 | 約1653.3万円 |
※横スクロールできます。
複利運用では運用3年目の時点で、単利運用より利益額が110%前後に増加。運用20年まで継続すれば同条件にもかかわらず、1年間の利益額が200%以上になりました。
合計利益額にも約653.3万円の差が生まれ、複利運用が持つ絶大な効果は一目瞭然です。
投資信託が抱えるリスクとは?
投資信託は長期運用において複数のメリットを持っていました。しかし、すべての金融商品はメリットの裏側にリスクをはらんでいるもの。
この項では、投資信託が抱えるリスクをご紹介します。
元本割れする可能性がある
経済の世界では「リスクとリターンは比例する」というルールがあり、「損失を生む可能性」の大きさが「利益を獲得できる可能性」の大きさに直結します。
たとえば、銀行預金はほぼリスクゼロで資産管理を行える反面、リターンもゼロに等しいです。
一方、投資信託が利益を獲得できる金融商品であることは、同時に損失を生む可能性を持っているということ。投資信託は投資額を目減りさせる恐れがあり、元本割れのリスクを抱えているのです。
そのため、絶対に減らしてはならない資金を投資信託に用いるのは危険。金額の大きさにかかわらず、増えても減っても大丈夫だと思える余剰資金で投資しましょう。
分散投資は利益追求に不向き
投資信託は、専門家目線で徹底したリスク管理が行われる金融商品です。そのため、一部の投資先が大損失を生み出しても、資産全体にはそれほど影響を及ぼしません。
しかし、この「一部の損失を最小限に食い止める」という特性は、同時に「一部で得た利益が他の損失に打ち消される」という現象を引き起こします。
投資先Aが利益100万円 | 投資先Aが損失100万円 | |
---|---|---|
投資先Bが利益100万円 | 200万円の利益 | 利益0円 |
投資先Bが損失100万円 | 利益0円 | 200万円の損失 |
※横スクロールできます。
上記の例では、利益・損失が最大化する確率が25%ずつ。利益と損失が相殺されてプラスマイナスゼロになる確率が50%となり、「得も損もしない可能性」が高くなっていると分かります。
実際の投資信託はより多くの運用先に分散投資されるため、この図表よりも関係性は複雑。利益・損失が最大化する確率はさらに低くなり、とことん利益を追求するスタイルには不向きなのです。
短期投資で大きな利益がでない
投資信託は分散投資によりリスクを抑えつつ、じわりじわりと利益を伸ばす金融商品です。そのため、1日や1週間程度の短期スパンでは、大きな利益を獲得できません。
短期間で2倍,3倍と保有資産を増やせる運用方法ではないため、長期投資が前提であると覚えておいてください。
繰上償還で運用計画がリセットされる可能性がある
目論見書であらかじめ信託期間(運用期間)が定められている投資信託が、予定より早く投資家に償還金を返却すること。また、運用期間が設けられていない投資信託が、速やかに運用を終了することを「繰上償還」といいます。
これらは、投資信託の保有者減少や運用成績の悪化により、投資信託を継続できない状態へ陥ったときに施される対応です。運用資金に大きな被害を与えはしないものの、長期運用を前提に購入した投資信託がすぐに返金されれば、再投資の手間がかかるため投資家の負担となります。
取引量が多く好成績を残す投資信託を選べば、繰上償還の可能性は軽減できますが完全には排除できません。保有する投資信託が対象となったときに焦らないよう、覚えておきたいケースの1つです。
4ステップで分かる!投資信託の始め方
投資信託のメリット・リスクが把握できれば、最低限の事前準備は整ったといえます。
実際に投資信託を購入するため、証券口座を開設してみましょう。
1.利用する証券会社を選ぶ
投資信託はネット証券のほか、銀行や店舗型の証券会社でも取り扱っています。
しかし、売買の手軽さや運用コストを考慮すれば「ネット証券一択」です。初めて証券口座を開設するのであれば、実績のある大手証券会社の利用をおすすめします。
※2018年12月時点での情報です。
これらは、ユーザー登録数が多いため不具合の発見・改善がスムーズ。特に国内最大手であるSBI証券と楽天証券は、他のネット証券と比較して圧倒的な量の選択肢を誇ります。
ノーロード投信は購入手数料ゼロ
なお、「ノーロード」は購入手数料が無料であることを示す用語です。
たとえば、購入手数料が2%の投資信託を購入したとき、その2%を超える分配金や譲渡益を獲得して初めて「プラスマイナスゼロ」となります。つまり、購入段階では手数料の発生により、すでに損失が出ている状態なのです。
一方、購入手数料のかからないノーロード投信であれば、購入時点での損失を回避できます。これにより「手数料負け」が起こらないため、特別な理由がなければノーロード投信の購入がおすすめです。
2.登録ページから必要情報を送信
利用するネット証券が決まれば、次に登録ページから必要情報の入力を進めます。証券会社により必要なものは異なるものの、多くの場合は以下の準備物を用意すれば対応可能です。
口座開設にあたり準備すべきもの |
---|
メールアドレス |
マイナンバー確認書類 |
本人確認書類(運転免許証・保険証など) |
印鑑(ゴム印ではないもの) |
銀行の口座情報が分かるもの(預金通帳・キャッシュカード) |
※横スクロールできます。
特に印鑑は「ゴム印・シャチハタ不可」など見落としやすい規定があり、気付かないまま用意しがち。スムーズに口座開設を進めるためにも、入念に必要事項を確認しましょう。
3.重要書類を確認して証券口座にログイン
口座開設の手続きが正常に完了していれば、数日から数週間のあいだに証券会社から書類が送付されます。
書類が口座開設の完了を知らせるものなら、ログインIDとパスワードが記載されているはず。証券会社のトップページからログイン情報を入力すれば、入金手続きを済ませて投資信託の売買ができます。
書類が追加情報を要求するものであれば、送られてきた書類に必要情報を記入して返送。正式に手続きが完了すれば、ログインIDとパスワードが書類にて送付されます。
4.投資信託を選んで購入する
口座開設が完了して証券口座に入金をすれば、いよいよ投資信託を購入する段階。投資口数を指定して購入する「通常注文」や、口座引き落としで定期的に自動投資を行う「積立注文」を選択して、投資したい運用先を購入します。
しかし、1,000を超える種類があるなか、どの投資信託を選べば良いか分かりませんよね?
つぎの項では、初心者でも実践できる「投資信託を選ぶときのポイント」についてご紹介します。
投資信託を選ぶときのポイント
投資信託の選定基準は、それほど難しくありません。
まずは、この項で解説するポイントを確認してみましょう。
過去実績とベンチマークを比較
投資の世界では、様々な分析を用いて投資家たちが将来を予測するものの、実際に投資の実力が可視化されているものは過去実績だけです。そのため、どれほど高い理想を掲げており、瞬発的に優れた成績を残したとしても、長期間コツコツと安定利益を重ねる投資信託には及びません。
長期投資の運用先として投資信託を選択するなら、前提として運用実績は3年以上。平均してベンチマーク(日経平均株価やTOPIX)より、好成績を残している投資信託が望ましいです。
投資信託の目論見書を閲覧する
目論見書は「投資信託説明書」と呼ばれることから分かるように、対象の投資信託における説明書。ファンドの目的や特徴の解説に始まり、資金の使い道や過去の運用実績が記載されています。
投資家は資産運用をファンドマネージャーに一任するため、目論見書を参照して「投資家自身の希望」と近い理念をもった投資信託を選ぶのがおすすめ。投資信託は膨大な銘柄数があるため、記載されているリスクや運用方針に納得できなければ、次々に異なる銘柄の目論見書を読み進めても構いません。
売買・運用コストには要注目
銘柄の購入時に発生する「購入手数料」や、運用経費として支払う「信託報酬」など、投資信託には複数の金銭コストが発生します。特に保有中にずっと差し引かれる信託報酬は、長期運用を前提とした投資家にとって大きな出費です。
信託報酬のボリュームゾーンは0.5~0.2%ほど。類似している複数の選択肢で迷っている場合は、より信託報酬が安いものへ投資することをおすすめします。
買ってはいけない投資信託
実は低リスクで安定運用ができる投資信託のなかにも、買ってはいけない銘柄があります。以下の2パターンのうち、どちらか一方でも当てはまる投資信託は、長期運用に不向きな可能性が高いです。
買ってはいけない投資信託 | 特徴 |
---|---|
アクティブ型の投資信託 | 各指標よりも利益を追求する |
毎月分配型の投資信託 | 元本を削りながら分配金を捻出する |
※横スクロールできます。
日経平均株価やTOPIXに連動させて運用する「インデックス型の投資信託」の対極に位置するのが、各指標よりも優れた利益を追求する「アクティブ型の投資信託」です。
一見すると、アクティブ型が良い運用成績を残しそうなものの、日米の両市場を調査した資料によれば「長期運用になるほどインデックス型が有利」であると判明しました。
また、毎月分配型の投資信託は「元本を削る」という、複利運用とは真逆の特性を持ちます。表面上の運用利回りは高いですが、これは元本+運用利益を分配することで実現している利益率。決して長期運用の対象として選ぶべきではありません。
投資信託の類似商品
投資信託はその安定性が評価されており、類似した構造を持つ金融商品も数多く登場しています。
この項では、市場での信頼を獲得している「投資信託の類似商品」を2つご紹介します。
ETF(上場投資信託)
投資信託を上場させることで、証券取引所によるリアルタイムトレードを可能にした金融商品です。
通常、投資信託は1日に1度だけ基準価額が設けられ、これをもとに売買が行われます。しかし、証券取引所で取り扱われているETFは、投資家間のトレードに連動してリアルタイムに取引価格が変動。株式投資のように、細かい値動きの中で売買することとなります。
これにより、金融市場に悪影響を及ぼすニュースが流れたとき、すぐに運用資産を売り払うことが可能。売却が1日スパンで行われる投資信託と異なり、即時に手放せることがメリットです。
投資信託には無いETFのデメリットは?
リアルタイム性があり手軽に売買できるETFは、一見すると全面的に投資信託よりも優れていると感じます。しかし、上場投資信託と呼ばれるETFは「上場廃止の可能性がある」という、投資信託にはないデメリットを抱えているのです。
なお、上場廃止は突発的に行われるものではなく、初めに対象のETFが「監理銘柄」に指定されます。監理銘柄への指定は、あくまで上場廃止の可能性を知らせるための勧告であり、この段階で処置は決定していません。
その後、上場廃止基準への抵触を判断する審査を経て、懸念点が払拭されれば監理銘柄は通常通りの銘柄へ復帰します。一方、上場廃止が決定すれば「整理銘柄」へと指定。投資家に1ヶ月の売買猶予を与えられたのち、上場廃止となります。
上場廃止に巻き込まれないために
整理銘柄への指定後、1ヶ月を超えてETFを保有していた場合には、証券取引所での売買ができなくなります。
株式投資と違い「上場廃止日の価格」で払い戻しが行われるため、運用資産がゼロになることはないものの、手続きには手間がかかりETFの運用計画は破たん。投資家は再度一から運用先を選ばなければいけません。
このような事態を回避するには、売買量が多く成績を伸ばしている銘柄を選ぶことが重要です。また、上場廃止の理由は多くが「金融商品取引業・登録金融機関業務の登録失効」や「流動性・運用成績の低下」によるもの。
・長期にわたり運用してきた実績がある ・活発に売買されており高い流動性が保たれている
これらの2点を満たす銘柄であれば、上場廃止の基準に抵触しづらいため、投資初心者は上記のポイントを満たすETFがおすすめです。
なお、上場廃止基準の詳細は、東京証券取引所が発表する「内国ETF・内国商品現物型ETF上場の手引き」にて確認できます。
REIT(不動産投資信託)
株式や債券ではなく、投資不動産を扱う金融商品です。
構造は投資信託とほとんど変わらず、専門家が投資家から集めた資金で投資不動産を購入。賃貸契約により家賃収入を得ながら、タイミングを見つつ売却して売上を伸ばします。
また、ETFと同様に上場しており、証券取引所での売買が可能です。投資信託やETFが対象とする株式市場より、不動産市場に将来性を感じるならREITの運用がおすすめ。
2020年以降は、東京オリンピックや大阪万博の開催を控えているため、今後ますます注目が集まる分野です。
不動産タイプの違いに注意
REITが扱う投資不動産は複数の種類に分かれており、それぞれ以下のような特徴を持ちます。
不動産の種類 | 景気変動の影響 | 契約期間(例外あり) |
---|---|---|
オフィスビル | 受けやすい | 短期的 |
商業施設 | やや受けやすい | 都市部は短期・郊外は長期 |
住宅系不動産 | 受けにくい | 住民の入居に依存 |
物流施設 | やや受けにくい | 長期的 |
※横スクロールできます。
上記の不動産タイプが、REIT市場を占める上位4カテゴリー。特に都市部にあるオフィスビルや商業施設は、企業の経営状況が景気に依存すること、および短期契約が一般的であることから収益性が不安定です。
一方、住宅系不動産や食品・工業品を保管する物流施設は、景気変動で需要が変わりづらく契約が中長期的。利益率が大きく変動することはなく、安定した収益が見込めます。
どれも分散投資を行う低リスクな運用先ですが、景気変動の影響を受けやすいほどリスク・リターンは高くなりがち。予想外の値動きに慌てることのないよう、特性を把握したうえで購入することをおすすめします。
投資信託と併用すべき3つの非課税制度
投資信託で獲得した利益には、20.315%の税金が課せられます。
そのため、利益が100万円でも手に入るのは80万円ほど。累計投資額が増えるほど、納税額も増えていくのです。 この項では、投資信託の利益を非課税にする金融制度をご紹介します。
NISA
2014年から開始されたNISAは、毎年120万円までの投資枠が用意された非課税制度。金融商品を購入するときにNISA口座を選択することで、その金融商品で発生した分配金や売買がすべて非課税対象となります。
ただし、非課税対象として保有できるのは5年間。非課税期間が終了すれば、当年度の投資枠を利用して再び非課税対象にする「ロールオーバー」か、課税口座への移行を選択しなければなりません。
そのため、長期運用を前提として投資信託を購入する場合は、類似制度である「つみたてNISA」の利用をおすすめします。
つみたてNISA
NISAの特徴を受け継ぎつつ、より少額かつ長期的な運用支援に特化した非課税制度です。
年間投資枠は40万円まで引き下げられたものの、非課税期間は20年まで延びました。これにより、投資信託の運用に最適な非課税制度として、NISAに代わり注目されています。
ただし、つみたてNISAを利用できるのは「長期運用に相応しいと判断された商品」のみ。過去実績と運用方針から、一定の信頼を獲得した投資信託のみが利用対象となります。
一見するとデメリットに思えるものの、厳しい審査をクリアした選択肢だけが残ったと考えれば、運用先に迷いのある投資初心者には好都合。銘柄選定の段階から「利用対象に指定された投資信託」に絞って選んでも良いでしょう。
なお、NISA口座(つみたてNISAを含む)は一方しか利用できません。複数の証券口座を持つ投資家でも、1人につき1箇所しか開設できないため注意してください。
iDeCo(個人型確定拠出年金)
iDeCoは、定期預金や投資信託を対象とした私的年金制度。原則として60歳まで資産を引き出せないものの、以下の3プロセスで税金控除を受けられます。
iDeCoの税金控除3つ |
---|
積立時に所得税が控除される |
投資信託で得た運用利益がすべて非課税 |
受取時に退職所得控除・公的年金等控除が適用される |
※横スクロールできます。
投資信託の利益がすべて非課税となるため、長期投資の収益性を効率化する複利運用と相性抜群。NISAやつみたてNISAと併用することで、絶大な節税効果を発揮します。
まとめ
今回は投資信託の始め方から選定基準まで、一連の基礎知識をご説明しました。
投資は難しくて恐ろしい印象を思い浮かべがちですが、投資信託は歴史と実績のある信頼できる金融商品です。まずは少額資金を用意して、数百円、数千円から始めてみませんか?
これまで身一つで稼いできた人にとって、投資信託を通じて「お金に働いてもらう」ことは素晴らしい体験になるはずです。