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年金の支払いに困ったら滞納せず「免除制度」を利用すべき3つの理由

年金の支払いに困ったら滞納せず「免除制度」を利用すべき3つの理由

日本国民であれば、国民年金への加入は義務です。しかし、転職や独立により収入が一時的に減少すると、これまでと同額の支払いが難しい場合もあります。

こうした場面で、年金の保険料を払えないために「滞納」をしてしまう人もいますが、これは好ましくありません。滞納によるデメリットは計り知れず、最悪の場合は財産を差し押さえられてしまいます。

今回は、国民年金の負担を軽減する「免除制度」の仕組みを解説していきます。

年金の保険料に悩むなら免除制度を検討しよう

年金 国民年金の保険料は、収入に関係なく一律の金額が定められているため、場合によっては大きな負担となる場合があります。しかし、前述したように滞納によるデメリットは軽視できないので、保険料の支払いを滞納するのは得策ではありません。

こうした状況にいる人の救済措置として、年金保険料の免除制度が存在しているのです。この項では、国民年金の免除制度について詳しく、解説していきます。

保険料の免除制度とは?

たとえば、転職先が決まっていない状態で会社を退職した場合、失業している期間が発生します。失業期間中も国民年金に加入しなければならず、収入がなかったとしても保険料だけは支払わなければなりません。

このとき、配偶者が専業主婦(夫)である場合は、収入がない状態で2人分の保険料を支払う必要があるため、ますます大きな負担となって家計にのしかかります。

また、会社員ほど収入が安定しない自営業者も、年度ごとの売上に関係なく保険料の支払いは発生するので、業績不振が続けば国民年金は痛い出費になるのです。

年金保険料の免除制度は、上記のように失業した場合や自営業の売上が振るわない場合など、収入の関係で保険料の支払いが難しいとき、保険料の全額もしくは一部を免除してもらえる仕組みです。

免除にはどのような種類があるの?

年金の免除には、以下の4種類があり、免除を申請する人の前年の所得に応じて免除額が決まる仕組みです。ただし、1月から6月までに免除を申請する場合は、前々年の所得で判定されます。

  • 全額免除
  • 3/4免除
  • 半額免除
  • 1/4免除

免除や減額を受ける際は、申請書の提出が必要です。この申請が承認されることで、国民年金の保険料が免除されます。

また、免除制度以外に「納付猶予制度」という仕組みもあり、これは国民年金の保険料が一定期間猶予されるもの。「保険料を後払いに変更できる」という制度になっており、免除申請が通らなくても納付猶予制度に通るケースがあります。

そのため、免除制度を使うほどでもない場合や、どうしても免除申請が下りない場合には、納付猶予制度という選択もあると覚えておきましょう。

年金の免除期間中はどういった扱いになるの?

国民年金の保険料が免除されていると、免除されていた期間中も国民年金に加入していたと見なされます。ただし、免除されていた期間に応じて受給額が変動するため、免除を利用すれば通常より減額されることに注意が必要です。

老齢基礎年金の支給額は、加入期間の上限である480ヶ月(40年)のうち、国民年金に加入していた期間や、免除されていた期間を加味して計算されます。

具体的な計算式は、以下の通りです。

老齢基礎年金(国民年金)の年金額を求める手順(平成31年4月以降)
A={(納付期間)+(免除期間¹×対応する割合²)+(¹×²)⋯}/40年×12ヶ月
老齢基礎年金の年金額=780,100円×A

免除期間がある場合は、計算式の免除期間に「何ヶ月のあいだ免除したのか」、計算式の対応する割合に下図の「免除率に対応する割合」を挿入。免除率を変えて制度を複数回利用した場合は、同様に(¹×²)の式に対応する月数・割合を入れて計算を繰り返します。

免除額免除率に対応する割合
全額免除保険料を全額納付した場合の年金額の1/2(平成21年3月分までは1/3)
3/4免除保険料を全額納付した場合の年金額の5/8(平成21年3月分までは1/2)
半額免除保険料を全額納付した場合の年金額の3/4(平成21年3月分までは2/3)
1/4免除保険料を全額納付した場合の年金額の7/8(平成21年3月分までは5/6)

2019年度の基準でいえば、国民年金は満額なら780,100円/年受け取れます。

しかし、40年のあいだ全額免除を利用した場合を想定すると、計算式は以下のようになり受給額は390,000円/年となるのです。

40年のあいだ全額免除を利用した場合
A={(0+480×1/2)}/480
A=0.5=240/480
老齢基礎年金の年金額=780,100円×0.5=390,100円(50円以上は切り上げ)

上記のように、免除期間分だけ所定の割合を適用するため、免除期間や免除率が高いほど受給額は減額されます。

遺族年金・障害年金は受け取れる

遺族年金や障害年金は、以下の条件のいずれかを満たせば受給できます。

遺族年金・障害年金の受給条件
保険料を支払うべき期間の2/3以上、納付または免除されていること
直近1年のあいだに滞納がないこと

こういった受給条件であるため、滞納ではなく「免除」であれば遺族年金や障害年金を受け取れるのです。遺族年金や障害年金の場合は、免除期間中だからといって、年金額が減額されることはありません。

なお、遺族年金・障害年金といった表記がなされる情報でも、発信元によって定義が異なるケースがあるため注意してください。会社員のように厚生年金に加入している人は、遺族基礎年金や障害基礎年金に加えて、遺族厚生年金と障害厚生年金も支給されます。

一方、国民年金のみに加入している場合は、年金のうち遺族基礎年金と障害基礎年金しか受給できません。この前提を忘れたまま「遺族年金は〇〇円です」といった記述を見たとき、それが国民年金(基礎年金)だけを指す金額なのか、厚生年金も合わさった金額なのか誤認しないよう注意しましょう。

年金の免除による2つのメリット

メリット 支払う金額が減るほか、年金保険料の免除には以下のようなメリットがあります。

  • 免除期間中も年金の加入期間にカウントされる
  • 年金受給額は免除をしても規定の金額ずつ増えていく

それぞれ、年金の免除制度における大事なポイントであるため、詳しく解説していきます。

免除期間中も年金の加入期間にカウントされる

国民年金に加入し、将来の老齢年金を支給してもらうためには、保険料を納めていた期間と免除の期間が合計で10年以上必要です。

先ほど軽く触れたように、国民年金の保険料が免除されていた期間は「国民年金に加入していた」と見なされます。一方で、免除の申請をせずに国民年金の保険料が未納であれば、その期間は国民年金に加入していたと見なされません。

つまり、経済的負担は大きく変わらないにもかかわらず、「免除を利用しつつ最低条件を満たした人」は少額ながら年金を受け取れて、「納付期間と免除期間の合計が10年未満の人」は全く年金を受け取れないのです。

このように、免除期間も国民年金の加入期間にカウントされるため、未納は避けて免除を利用した方が良いといえます。

年金受給額は免除をしても規定の金額ずつ増えていく

国民年金の保険料が免除されている期間も、年金額の計算に反映されます。たとえ、40年のあいだ保険料を全額免除していたとしても、半分の年金は受け取ることができるのです。

こうして半分の年金が支給される理由は、年金の財源の半分が「国庫負担」、つまり税金によって賄われているからです。このような仕組みによって、自分で保険料を支払わず全額免除を利用しても、満額の1/2に相当する受給額を受け取れます。

なお、免除制度を利用した場合も、保険料を追納することで満額に戻すこともできます。

年金の免除による2つのデメリット

年金保険料が支払いが苦しいからといって、全ての人が免除申請すべきとはいえません。年金の免除にはデメリットが存在するため、確認してから申請するかどうか検討することをおすすめします。

免除された期間の分だけ年金が減額される

公的機関の発表によると、高齢夫婦世帯に必要な最低限の生活費は20万円以上、ゆとりのある生活を送る場合は30万円以上が必要といわれています。

一方、平成31年度における国民年金の受給額は65,008円/月、厚生年金は221,504円/月だと下記の資料で発表されました。 表 出所:厚生労働省「平成31年度の年金額改定についてお知らせします

上図は40年間妻が専業主婦であるという、やや前時代的な前提ではあるものの、国民年金と厚生年金の合計はおよそ20万円後半だと分かります。つまり、基本的に年金受給額だけで、ゆとりのある生活を送るのは難しいのです。

また前項で解説したように、免除期間や免除率が増えれば受給額は減額します。そのため、特に国民年金にしか加入していない人は、厚生年金の加入者と比較して年金額が少なくなり、安易に免除制度を多用すると老後生活はさらに苦しくなるでしょう。

資料に記載されている「国民年金と厚生年金の合計額」を受け取ったとしても、決して余裕のある生活ができるとはいえません。免除制度を利用して将来受給される年金を減らしてしまうと、老後生活が破綻してしまう可能性もあると覚えておいてください。

保険料の追納には期間制限と加算額がある

免除制度や猶予制度を利用しても、保険料を追納することで年金額を増やすことが可能です。ただし、保険料の追納は「追納が承認された月の前10年以内の免除期間等」に限られるという注意点があります。

また、追納で後払いする保険料には、加算額が上乗せされるケースがあります。加算額が発生する条件は「保険料の免除・納付猶予を受けた期間」の翌年度から起算して3年度目以降です。

こうして、加算される額は経過期間に応じて変わるため、追納する場合は早めに支払うようにしましょう。

年金の免除制度を利用する方法は?

疑問 国民年金保険料の免除を受けるためには、住民票のある市役所や町役場の国民年金担当窓口に、申請書と添付書類を提出する必要があります。

この項では、免除申請時の一連の流れを解説していきます。

申請書を作成して提出する

保険料免除の申請書類は、入手・作成方法として、以下の3つがあります。

オーソドックスな手法は1と2ですが、入力ミスの防止機能を備えた「ねんきんネット」の利用もおすすめです。ただし、ねんきんネットを利用して申請書を作成した場合も、書類を印刷して市町村役場の担当課に提出しなければなりません。

申請書の作成は簡単になるものの、全工程がオンライン上で完結するわけではないため注意しましょう。

免除申請時に必要な添付書類

国民年金の免除を受けるためには、申請書以外にも下記の添付書類を準備しなければなりません。

申請時に必要な添付書類
年金手帳 または 基礎年金番号通知書
前年(または前々年)所得を証明する書類
所得の申立書(所得についての税の申告を行っていない場合)
雇用保険受給資格者証の写し、または雇用保険被保険者離職票等の写し(雇用保険の被保険者であった方が失業等による申請を行う場合)

引用:日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度

上記のうち必ず提出しなければいけない書類は、年金手帳もしくは基礎年金番号通知書のみです。とはいえ、他の書類も提出を求められた際には必要となるため、事前に全て揃えておいた方がスムーズに申請を進められます。

保険料の免除が承認される基準

保険料が免除される基準は、以下の通りです。

申請内容前年所得が計算結果の範囲内であれば承認
全額免除(扶養親族等の数+1)×35万円+22万円
4分の3免除78万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
半額免除118万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
4分の1免除158万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
納付猶予制度(扶養親族等の数+1)×35万円+22万円

引用:日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度

扶養親族等控除額と社会保険料控除額等は、源泉徴収票や確定申告書の控えを確認すると金額が分かるため、自身で計算して判断することも可能です。

滞納をやめて免除制度を利用すべき3つの理由

国民年金の保険料を支払わず、免除の申請もしなかった場合は「未納」となります。保険料が未納になると、いくつかのデメリットを被る可能性があるため注意が必要です。

この項では、国民年金の保険料を納めずに未納となった場合、どのような事態になるか解説していきます。

財産が差し押さえられる可能性がある

国民年金の保険料を滞納した場合は、保険料を支払うように催告書が手元に届きます。それを無視して滞納し続けると、延滞料が課せられるだけでなく、財産が差し押さえられる可能性もあるのです。

このとき、差し押さえの対象となるのは本人だけでなく、配偶者も対象になります。

日本年金機構が発表した「「国民年金保険料強制徴収集中取組期間」の結果について」によれば、平成29年4月から平成30年3月の1年のあいだに、財産が差し押さえられた事例は14,344件。バレないだろうと滞納を続けていれば、大きな痛手となるため未納のまま放置するのは避けるべきでしょう。

将来的に年金を受給できない可能性がある

免除の申請をせずに保険料が未納のままであれば、そのあいだは国民年金の加入期間にカウントされません。

先ほど解説したように「納付期間と免除期間の合計が10年未満の人」は年金を受け取れないため、滞納した年数や状況によって全く受給できないケースもあります。

前半部分で解説した、遺族年金や障害年金の受け取り可否にも関わってくるため、万が一の場合に取り返しのつかない状況になるのです。こうして各種年金の受け取りに支障が出ることも、滞納による懸念の1つだといえます。

保険料負担が上昇する可能性がある

国民年金の保険料を滞納する人が増えると、年金制度の運営に支障が出る可能性もあります。ただでさえ、現役世代に対して高齢者の割合が増えている昨今、滞納者が増えれば年金制度を運営していくことは難しくなっていくはずです。

金融庁から公表された「「高齢社会における資産形成・管理」報告書」でも、公的年金で老後生活を支えることは困難になり、今後は国民に自助を促すといった文脈が読み取れます。

また、厚生労働省の資料を見れば、平成29年度の国民年金における保険料未納者は3割強。継続的に上がり続けている国民年金の保険料年金を、これ以上急激に高騰させないためにも、全ての国民がきちんと保険料を支払うことは欠かせません。

まとめ

国民年金保険料の支払いは日本国民の義務ですが、経済的に苦しい状況が続くなら無理をする必要はありません。できる限り早い段階で、年金事務所や市町村役場の国民年金担当課に相談しましょう。

本文中でも解説したように、免除に大きなデメリットはありませんが、滞納をしてしまえば受給額の減少や財産差し押さえのリスクがあります。

未納のまま放置さえしなければ、減らされた受給予定額を追納で増やせるので、今回ご説明した申請方法をもちいて免除制度を活用してみてください。

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