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年金の保険料を払わないとどうなる?絶対に払うべき6つの理由

年金の保険料を払わないとどうなる?絶対に払うべき6つの理由

将来年金がもらえるか分からないのに、年金の保険料を払いたくない…と思っている人もいるでしょう。

しかし、結論からいうと年金の保険料の支払いは義務なので、払わないのは違法です。そのため、年金の保険料を払わないのは法律違反をしていることになります。

ただ、「それでも年金の保険料を払いたくない」という方に向けて、年金の保険料を絶対に払うべき理由を解説していきます。

年金の仕組みを簡単に解説

まずは、そもそも年金の仕組みがどうなっているのか?を簡単に解説します。大きく分けて、年金は以下3種類に分かれます。

  • 国民年金
  • 厚生年金
  • 私的年金

会社員や公務員は勤務先が保険料を支払う

前提として、会社員や公務員は勤務先が年金の保険料を払っているので、そもそも「年金の保険料を払わない」という選択肢を個人で取れません。

そのため、今回の記事は「年金を払わない」という選択が取れる、自営業者やフリーター、無職の方などが対象になる記事です。

とはいえ、会社員や公務員から自営業者になる場合もあるので、会社員や公務員の方でも年金の保険料を支払うべき理由を知っておいた方が良いでしょう。

国民年金は20歳以上が全員適用

国民年金にも以下3種類があり、これは日本に住んでいる20歳以上の全ての人に適用されます。

  • 老齢基礎年金:老後にもらえる年金
  • 障害基礎年金:障害等級に応じて支給
  • 遺族基礎年金:亡くなったときに配偶者や子供へ支給

一般的に、「年金=老後に支給されるお金」をイメージしている人が多いので、「国民年金=老齢基礎年金」として語られることも多いです。

しかし、実は障害者基礎年金・遺族基礎年金も国民年金の一種です。この2点に関しては後述しますので、一旦老齢基礎年金について簡単に解説します。

国民年金の保険料とは?

国民年金は、日本に住む20歳以上の全員に適用される年金制度なので、自営業者・会社員・公務員・フリーター・無職の方、そして学生にも適用されます。

対象者は保険料を支払う必要があり、その金額は日本年金機構によると令和元年時点で1か月16,410円(年間196,920円)です。

この金額は所得額に関係なく、全ての人が一律の保険料となっており、60歳まで支払う義務があります。

支払い方法は色々ありますが、保険料を支払わない場合は口座振替などではなく、「コンビニ払い」などを選択し支払わないということです。

老齢基礎年金の受給額と適用年齢

老齢基礎年金が受給できるのは、原則65歳になってからです。

仮に、20歳~60歳までの40年間、保険料を支払い続けていれば、満額である780,100円(年間)が支給されます。

厚生年金は国民年金に上乗せする年金

自営業者などは前項の国民年金だけ適用されます。一方、会社員や公務員などは、前項の国民年金に厚生年金が上乗せされます。

  • 老齢厚生年金
  • 障害厚生年金
  • 遺族厚生年金

厚生年金の保険料と受給金額

厚生年金の受給開始年齢は原則国民年金と同じです。また、支払う保険料や受給額については、所得額に応じて異なります。

そのため、高所得の人は保険料も高くなり、将来もらえる厚生年金の受給額も高額なります。また、厚生年金の保険料は勤務先が半額を支払い、会社が収入から差し引いて支払うという仕組みです。

このように、会社員や公務員は国民年金に厚生年金が上乗せされるため、年金の手厚さは「自営業者<会社員・公務員など」になっているのです。

保険料は強制的に徴収される

前項のように、会社員や公務員などは勤務先が年金の保険料を半額支払い、その金額も含め勤務先が給与から天引きして保険料を支払います。

このような背景があるため、上述したように会社員や公務員などの厚生年金受給対象者は、年金の保険料を「払わない」という選択肢が取れないということです。

私的年金は自ら上乗せさせる年金

私的年金の制度概要は以下の通りです。

  • 確定給付企業年金制度(DB):一定の給付額を年金に上乗せする
  • 確定拠出年金制度(DC):一定の掛け金を支払い給付額は変動する
  • 国民年金基金制度:国民年金に上乗せする
  • 厚生年金基金制度:厚生年金に上乗せする

DBとは、一定の給付額を年金に上乗せする制度です。要は、「掛け金(≒保険料)を毎月○○万円払うから、××万円年金に上乗せする」という制度です。

DCとは、「掛け金を毎月××万円支払い、上乗せされる給付額は運用成績次第」という制度です。そのため、運用状況によって給付額が多くなったり、少なくなったりします。

私的年金は任意

簡単にいうと、前項までで解説した国民年金と厚生年金に上乗せするのが私的年金です。国民年金と厚生年金は公的年金でしたが、私的年金は任意の年金制度になります。

つまり、公的年金と違い、そもそも私的年金制度は利用しなくて良いので、私的年金だけは保険料を支払わなくても問題ありません。

具体的な私的年金

私的年金は、自分で種類や掛け金を選び、自らの責任のもとで年金を運用することになります。たとえば、DCの代表的な制度にiDeCoがあります。

iDeCoは自分で商品を選び、その商品の運用状況によって将来的にもらえる給付額が変わる制度です。

1.年金は効率の良い投資だから

投資
前項で年金制度の概要を理解できたと思います。ここからは、本題である「年金を絶対に支払うべき理由」を解説していきます。

1つ目の理由は、年金は効率の良い投資だからです。この点については、以下を知っておきましょう。

  • 年金の半分は税金
  • 年金額はどのくらい?

年金の半分は税金

年金制度は1900年半ばに誕生しましたが、現在の年金制度は1986年に制度として固まりました。そして、当初から税金を投入しており、当時は1/3を税収で賄っていました。

そして、制度が変わった2004年には1/2が税金で賄われており、それは現在も同じです。

つまり、実際には自分達が支払っている保険料の倍の金額を、「老後に向けて運用している」という状態になっているのです。また、上述のように厚生年金の保険料も、半分は勤務先が支払っています。

言い換えるなら、株式投資をするときに、証券会社が勝手に投下金額と同じ金額を援助してくれているようなものです。

年金額はどのくらい?

実際に受給する年金額は、老齢基礎年金では満額で780,100円(年間)です。

老齢厚生年金は人によって異なりますが、厚生労働省のデータによると、平均支給額は以下になります。

  • 全体平均:年額1,764,612円、月額147,051円
  • 男性平均:年額2,000,016円、月額166,668円
  • 女性平均:年額1,236,312円、月額103,026円

つまり、会社員であれば老齢基礎年金と老齢厚生年金の両方もらえるので、平均で約254万円(780,100円+1,764,612円)の年金を受給できるということです。

老齢基礎年金の効率性

日本の平均寿命は、男性で81.09歳、女性で87.26歳です。仮に、その間をとって84歳まで生きるとしましょう。

このとき、老齢基礎年金を満額でもらっていれば、65歳~84歳の20年間ずっと780,100円(年額)を受給しています。つまり、合計で約1,560万円受給しているということです。

一方、20歳~60歳までの間に支払っている老齢基礎年金の保険料は、約787万円(196,920円×40年間)です。このように、40年間掛け金を支払っていれば、約2倍になって返ってきます。

投資で実現させる場合

仮に、毎年196,920万円投資して40年後に1,560万円に増やすとなると、40年間で年間利回り3%以上(複利)を維持し続ける必要があります。

もちろん、40年間でマイナスになる年は1年もなく、3%の年間利回りを下回ることもないという前提です。また、複利なので投資で得た利益は全額再投資します。

つまり、投資によって稼いだお金は40年間一切使えないということです。投資でここまでの成績を出すのは非常に難しいので、いかに年金が効率の良い投資かが分かると思います。

そのため、そもそも年金の保険料を支払うのは義務ですが、年金の保険料を支払いつづけることは、将来に向けて効率の良い投資をしているようなものなのです。

2.負担を軽くする方法があるから

年金を絶対に支払うべき2つ目の理由は、以下のように負担を軽くする方法があるからです。

  • 学生納付特例制度を適用する
  • 保険料納付猶予制度を利用する

要は、「年金の保険料を支払うのが厳しい」という状況でも対策を講じることができるため、安易に「払わない」という選択を取るべきではないということです。

学生納付特例制度を適用する

上述のように、20歳を超えれば学生も国民年金制度は適用されるので、保険料を支払う必要があります。

しかし、学生は収入がない人が多い…仮にアルバイトなどの収入があっても低収入の人が多いため、「国民年金保険料の学生納付特例制度」が利用可能です。

この特例を利用すると学生の間は保険料の納付を免除できますが、以下の点を知っておきましょう。

  • 対象者が限られる
  • 申請方法
  • 年金額に影響がある

対象者が限られる

この特例は誰でも利用できるわけではなく、以下の所得額以下の学生のみ利用できます。

  • 該当年度の所得金額:118万円+扶養親族などの数×38万円+社会保険料控除など

つまり、学生ながらもアルバイトで一定の所得があるなどの場合で、上記の所得を超えていれば利用できません。

申請方法

前項の所得水準以下であれば、以下の申請方法により特例を利用できます。

  • 住民登録をしている行政の国民年金担当窓口で申請
  • 近くの年金事務所
  • 在学中の学校など

ただし、年金手帳や学生証などが必要になるので、詳しくは日本年金機構のホームページで確認ください。

年金額に影響がある

この特例は、保険料を納付することが「一定期間免除」されますが、「納付したものとみなされる」わけではありません。

つまり、保険料を納付していない期間が存在するので、受給できる年金額が減る点は要注意です。これを防ぐためには、社会人になってから免除期間の保険料を追納することなので覚えておきましょう。

保険料納付猶予制度を利用する

保険料納付猶予制度とは、収入が減少したときや失業したことにより、経済的に年金の保険料を支払うことが難しいときに利用できる制度です。

この制度の申請をして承認されれば、一定期間は保険料の納付が免除されます。さらに、納付していない期間も「納付しているときの半分」は年金として反映されるのです。

そのため、仮に収入が下がったりゼロになったりしたときも、保険料を払わないのではなくこの制度の申請をしましょう。詳しくは、年金機構のホームページを確認ください。

3.老後に年金がもらえないから

老後

年金を絶対に支払うべき3つ目の理由は、単純な理由ですが保険料を払わないと「老後に年金がもらえないから」です。この点については、以下を知っておくことで年金の重要さが分かるでしょう。

  • 老後に必要な収入とは?
  • 不労所得をつくっていない限り難しい

老後に必要な収入とは?

前提として、人によって住んでいる場所やライフスタイルが異なるので、老後に必要な収入も異なります。ただ、参考として生命保険文化センターが行った意識調査の結果を知っておきましょう。

  • 夫婦2人の日常生活費は最低でも月額22万円(年間264万円)
  • 夫婦2人でゆとりある老後生活は月額34.9万円(年間418.8万円)

このように、そもそも年金の保険料をしっかりと納めていても、「ゆとりある老後生活(年間418.8万円)」の年金額を受給できる人は少ないです。

年金の保険料を払わずに将来の年金がゼロ円の場合、上記のお金を自分で作り出す必要があるのです。

不労所得をつくっていない限り難しい

冒頭でいったように、そもそも年金の保険料を支払わないのは違法です。

ただ、仮に年金の保険料を払わず、自分の資産だけで上記の「最低でも月額22万円(年間264万円)」をつくるならば、不労所得をつくっていない限り難しいでしょう。

仮に、自営業者(夫婦)が65歳で引退して、84歳まで生きるとします。その場合は、最低でも「年間264万円×20年間=5,280万円」が必要ということです。

株式投資で実現する

仮に、株式投資で5,280万円分の資産をつくるとなると、20歳~60歳までの40年間で、年間利回り2%・年間約87万円を投資しつづける必要があります。

というのも、不動産証券化協会によると、東証一部の株式の平均配当利回りが2%だからです。

つまり、2%の利回りを40年間キープしつつ、投資で得た利益を全額再投資しなければいけないということです。ここまで投資を成功させて、ようやく「最低限の生活が送れる」ということになります。

不動産投資で実現する

仮に、不動産投資で年間264万円の資産をつくるとしたら、65歳の時点で利回り5%・資産額5,280万円の不動産を持っていることが条件です。

また、ローンを組んでいるとしたら、返済額を加味した利回りは2.5%~3%に下がるので、約9,000万円の不動産を保有している必要があります。

この資産額は、若いうちからコツコツはじめて物件を増やしていけば不可能ではないので、株式投資よりは現実的でしょう。

とはいえ、難易度は高いといえるので、年金の保険料を払わないリスクはやはり高いといえます。

4.障害基礎年金がもらえない

年金を絶対に支払うべき4つ目の理由は、年金の保険料を支払っていないと上述した「障害基礎年金」がもらえないからです。

もちろん、厚生年金を支払っていなければ遺族厚生年金ももらえませんが、上述のように厚生年金は勤務先が代わりに支払うので「保険料を払わない」という選択肢を個人で選べません。

そのため、障害「基礎」年金に限定して解説します。

障害基礎年金は現役世代でももらえる

障害基礎年金は、たとえば病気やケガをしてしまったことで、日常生活や仕事が制限されるときにもらえる年金です。

そもそも老後に年金がもらえる理由は、「老後は引退して無職になっている人が多いので、その人達を助けるため」です。

しかし、老後ではなく現役世代でも、病気やケガによって収入が激減…もしくはゼロになることもあります。そのような人達を助けるのが障害基礎年金というわけです。

どんな病気が対象か?

障害基礎年金の受給対象者は、たとえば以下のような方になります。

・人工透析や癌
・うつ病
・若年性アルツハイマーなどの精神疾患
・パーキンソン病など

上記以外にも実にたくさんの種類がありますが、特に近年はうつ病患者が増えています。

障害基礎年金サポートサービスによると、障害年金を受け取っている人の内訳は、1位が精神障害で31.0%、2位知的障害23.2%、3位脳血管疾患8.1%です。

このような状態になると、仕事をしたくてもできない…という状態になり得るので、年金の保険料を払っておらず障害基礎年金を受給できないと、日常生活を送るのにも支障を来すでしょう。

だからこそ、年金の保険料はしっかりと払っておくべきなのです。

5.遺族基礎年金がもらえない

年金
年金を絶対に支払うべき5つ目の理由は、遺族基礎年金をもらえないという点です。遺族年金も、前項と同じ理由で遺族厚生年金は割愛し、遺族基礎年金のみ解説します。

遺族基礎年金とは、国民年金の被保険者(保険料を支払っている人)が亡くなったとき、その人によって生計を維持していた「子のある配偶者」や「子」が受け取る年金になります。

たとえば、子供がいる専業主婦の方が夫に先立たれたときは、妻と子は遺族年金を受給可能です。年金の保険料を払っていないと、このようなときの助けがないというリスクにつながるのです。

6.財産を差し押さえられる可能性がある

年金を絶対に支払うべき6つ目の理由は、財産を差し押さえらえる可能性がある点です。というのも、冒頭のように年金の保険料を支払うの義務であり、支払わないのは違法だからです。

そのため、年金の保険料を一定期間支払っていないと、行政から「最終催告状」が送られてきます。この書面には「指定期限までに納付されない場合は財産の差し押さえをする」と明記されているのです。

そして、期限までに支払わないと財産は差し押さえられてしまいます。この点からも、年金の保険料を払わないことで大きなリスクがあることが分かります。

まとめ

このように、年金の保険料を払わないことには違法ですし、最悪の場合は財産を差し押さえられてしまいます。

また、年金は効率の良い老後の備えであり、障害基礎年金や遺族基礎年金など、万が一の場合の備えにもなっているのです。上述した点をしっかりと認識し、年金の保険料を支払う意味を理解しましょう。

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