年金はいくらもらえるのか?を知って、足りない分を解決する方法3選
長らく年金を納めてきて、いよいよ年金受給開始をリアルに感じるようになってきた時に必ず脳裏に浮かぶことがあります。それは、「年金はいくらもらえるのか」という金額に対する疑問です。
取る時だけはしっかり取っておいて、自分が果たして年金をいくらもらえるのかということにはあまり答えないという印象をお持ちの方は多いようで、それも併せて不満を感じているという声はよく聞かれます。
しかし、いよいよ年金受給が近づいている人にとって「いくらもらえるのか」という問題は、老後の生活設計においても切実です。この記事では、あなたが将来年金をいくらもらえるのかという疑問に焦点を合わせ、お答えしていきたいと思います。
目次
年金がいくらもらえるのかを知っておきたいのは当然ですね
自分は年金をいくらもらえるのかという疑問は、至極真っ当なことだと思います。それが分からなければ生活の設計を立てられませんし、せめてある程度の金額だけでも分からなければ不安もつきまといます。
年金額が分からないと老後への備えも計画が定まらない
年金がいくらもらえるのかという疑問を解決しておきたい最大の理由は、老後の生活設計だと思います。年金受給額が分かれば、仮に足りないとしたらいくら足りないのか、そのためにどう備えるのかといった計画も立てられるようになります。
詳しくは後述しますが、おそらくほぼすべての方が、実際にもらえる年金受給額を知ったら「それでは足りない」と思われることでしょう。もちろんそれも踏まえて、足りない分をどうするのかという備えについてもしっかり解説しますので、ご安心ください。
年金不安が指摘されて久しいが、本当に年金がもらえるのか不安だ
年金がいくらもらえるのかを知りたい方は、それと同時に「そもそも年金をもらえるのか」という潜在的な懸念をお持ちだと思います。少子高齢化によって年金財政が苦しくなっているのは誰の目にも明らかで、果たして今後その傾向がさらに進んでいくのに年金制度を維持できるのか、というわけです。
もちろん破綻させるようなつもりで年金を運用しているわけではないので、年金制度を維持するために相当な努力をしていることは周知の通りです。しかし、少子高齢化が進むということはますます年金財政が苦しくなることを意味しており、それを変えることはできません。
そのため受給額が減ったり支給開始年齢が引き上げられたりといった影響は出てくると思いますが、年金が全くもらえないということは考えにくいでしょう。その部分についてはある程度安心して良いと思います。
取るだけ取って、いくらもらえるのか知らせないのはアンフェアだ
先ほども述べましたが、多くの人は「年金を取る時はしっかりと取っておいて、逆にいくらもらえるのかを知らせないのはアンフェアだ」と感じています。これは金銭的な負担をしていることから「取られている」という意識になりがちなのかもしれませんが、実は年金機構は加入者が将来年金をいくらもらえるのかという告知をちゃんと行っています。
あまり知られていない部分があるのでお知らせしますと、年に一度届く「ねんきん定期便」にも記載されていますし、自分でアカウントを作成する必要はあるものの年金機構が運営している「ねんきんネット」というサービスでも同様の情報を入手することができます。
年金機構側も決して教えていないわけではないので、いくらもらえるのか知りたいという方は、そういったサービスの存在も知っておいてください。
年金だけでは到底足りないとよく聞くけれど本当?
年金がいくらもらえるのか気になる方の潜在意識には、「年金だけではおそらく足りない」という危機感があるのではないでしょうか。だからこそ、いくらもらえるのかが気になっているはずです。
年金だけで老後の生計を立てることはできないというのは、何となくイメージされていることだと思います。それが事実なのかどうかと言いますと、おそらく事実です。よほどの節約家であっても、年金だけで老後の生計を立てるのは困難であると言わざるを得ません。
そのための方策があってこそ安心が得られるので、この記事では年金がいくらもらえるのかという話の次に足りない分をどうするかという話を展開していきたいと思います。
自分の年金がいくらもらえるのか今すぐ知りたい
「ねんきん定期便」を見れば、自分がどれくらいの年金がもらえるのかという見通しを知ることができます。しかし、「ねんきん定期便」は誕生月に1回だけ届くもので、年に一度の機会に届いたものを捨ててしまっていては確認することができません。
今すぐ年金はいくらもらえるのか知りたいという方は、次章でそれを知る方法を解説しますので、そちらを読み進めてください。
年金がいくらもらえるのかを知る方法
この章では、年金がいくらもらえるのかを今すぐ知りたいという方のために、必要な情報をまとめました。
年金制度の概要
年金がいくらもらえるのかを知るには、まず年金制度の概要を知っておく必要があります。年金制度はとても奥が深く、全部を解説するととんでもない量になってしまうので、ここでは「いくらもらえるのか」という点に関わりのあることに絞って解説をしたいと思います。
年金は国民の義務として運用されており、20歳になったすべての人は国民年金に加入する義務があり、それと同時に年金保険料を納める義務もあります。こうして集めたお金を年金受給資格のある人に支給することで成り立つ、社会保障システムです。
ここで前提となるのは、年金をもらえるのは年金を納めた人だけであるという事実です。以前は25年の加入期間が必要でしたが、今ではそれが10年に短縮されています。短縮することで年金をもらえない人を減らすという目的は果たされていますが、それでも10年を下回る加入期間(納付期間)しかない人は年金をもらうことはできないので、やはり年金は払った人のための制度であることが分かります。
年金の種類によっていくらもらえるかが変わる
年金には、いくつかの種類があります。特にその中でもよく知られているのが、国民年金と厚生年金です。この2つは別物の年金というわけではなく、それぞれが1階部分、2階部分に例えられています。
国民年金は1階部分で、厚生年金は会社勤めをしている人が加入する2階部分の年金です。つまり厚生年金に加入している人も1階部分である国民年金には加入しているので、国民年金(自営業など)=1階部分のみ、サラリーマン=1階部分+2階部分という理解で問題ありません。
このため、2階部分がある厚生年金加入者のほうが、老後の年金受給額は大きくなります。
毎月の平均受給額は「5万5000円」
それでは、年金の1階部分である国民年金は実際のところ、毎月いくらもらえるのでしょうか。実数としてご紹介すると、おおむね「5万5000円」という金額になります。
国民年金の受給額は、納付期間によって決まります。20歳から60歳までが最長の加入期間なので、この40年間すべてで加入・納付をしている人の年金額が最大値になります。
しかし、実際には20歳を迎えた時に大学生などまだ社会人になっていないという理由で年金の免除を受けていたり、他の理由で支払っていない時期が会ったりすると、その分年金が少なくなっていきます。それを加味して、全体の平均値が「5万5000円」くらいになるということです。
厚生年金の人の平均受給額は「18万円」
国民年金が「5万5000円」という実質的な平均値であるのに対し、厚生年金はいくらもらえるのでしょうか。厚生年金は加入期間だけでなく加入時の所得水準によっていくらもらえるかが決まるため幅があるのですが、標準的なサラリーマン収入の方が年金を受給するようになると、国民年金の1階部分と合わせた金額は「18万円」程度になります。
厚生年金に加入して定年まで働いたサラリーマンの方に妻がいるとします。その妻自身もサラリーマンとなってバリバリ働いたということがなかったのであれば第3号被保険者となり、国民年金に加入したものとみなされます。国民年金の受給額は「5万5000円」なので、夫の厚生年金と合わせると23万円少々の年金額になると計算できます。
年金はどのように計算されているか
先ほど実質的な平均値として国民年金と厚生年金でいくらもらえるのかを例示しましたが、そもそもこの金額はどこから出てきたのでしょうか。計算の根拠をおおまかに知っておくと、ご自身の年金がいくらもらえるのかを知るのに役立ちます。
年金は20歳から60歳までが加入義務期間となっており、この40年間すべて加入して年金の納付をし続けた人が、満額受給となります。国民年金はその満額が年間で77万9300円となっており、そこから加入期間のうち欠けている時期がある分だけ差し引かれる仕組みになっています。
2階部分である厚生年金は、どれくらいの収入を得ていたかによってスライドします。以下を目安にしてください。
現役時の月収 | 厚生年金受給額の目安 |
---|---|
25万円 | 7万5000円 |
30万円 | 9万円 |
35万円 | 10万5000円 |
40万円 | 12万円 |
45万円 | 13万5000円 |
上記の目安はあくまでも目安なので、それぞれの金額の前に「約」がつくことをご留意ください。こちらは40年間加入したことを前提とした金額なので、満額です。ここから加入期間が減るごとに、厚生年金額も減るという形になります。
自分の年金がいくらもらえるか計算してみよう
先ほどから未加入や滞納などの期間があると、その分年金受給額が減ると述べました。では実際にどれくらい減るのかというのも気になるところだと思います。その計算には、以下の目安を使ってください。
- 1階部分:老齢基礎年金は1年の納付で1万9000円増える目安
- 2階部分:老齢厚生年金は1年の加入で1~5万円増える目安
1階部分である老齢基礎年金(国民年金)は1年の納付が年間受給額に1万9000円の影響を与えます。加入期間が1年減るごとに、年間受給額が1万9000円ずつ減っていくということです。
2階部分である老齢厚生年金(厚生年金)は報酬によってスライドするため振れ幅が広いのですが、1万円~5万円程度の増減になります。標準的な年収額で厚生年金への影響が3万円程度あるという人が大学生である時期の分だけ2年間加入期間から欠けていたとすると、年金額は6万円減るといった具合に計算することができます。
自分の年金状況を知る方法
自分の年金が今、どういう状況にあるのか。加入期間によって国民年金がいくらもらえるのかが決まりますし、厚生年金にも加入している方にとっては自分の年収状況だと年金がいくらもらえるのかが増減するため、なおさら気になるところです。
それを知る手段として最も手軽なのは、年に一度誕生月に届く「ねんきん定期便」です。自分から特に請求をしなくても毎年届くので、特に急がないのであればこれを見るのが最も手軽で確実です。
急ぐ場合は、日本年金機構が運営している「ねんきんネット」の利用をおすすめします。初回には利用登録が必要ですが、基礎年金番号が分かれば後は一般的な個人情報だけで登録可能です。登録申請から5日間ほど要しますが、ユーザーIDが発行されてそれが届くと、いつでも年金の状況を閲覧できるようになります。
年金額を増やす5つの方法
軽い気持ちで自分の年金がいくらもらえるのかという情報に触れた方の多くは、「そんなに少ないの?」とお感じになったかもしれません。年金だけでは生計を立てられないとよく言われますが、この年金額だと確かに年金だけで生活をするのは難しいとお感じなのではないでしょうか。
免除や猶予を受けていた人は「追納制度」を活用する
年金は加入期間によっていくらもらえるかが決まるため、免除や猶予、未納付などによって加入期間に含まれていない年数があってそれが不利になっている場合は、追納制度を利用して後から年金の加入期間を長くすることができます。
年金保険料の免除や猶予を受けていた当時というのは、おそらく経済的に苦しかった時期だと思います。それゆえに役所へ免除や猶予の申請をして認められたというのは合法的な措置なので、それによって年金の加入期間が減ってしまうことはないのですが、払い込み保険料は増えないのでその期間は年金が減額となります。
しかし、今は保険料の納付をするだけのお金があるので何とか取り返したいという人のために用意されているのが、追納制度です。免除や猶予によって年金保険料を納めていなかった時期から10年以内までという条件はつきますが、該当する期間がある場合はこの制度を使うと年金額を増やすことができます。
60歳以降も任意加入する
本来、年金保険料の納付は60歳で終了しますが、60歳をすぎても自らの意思で年金に加入して保険料を納付することができます。これを年金の任意加入といいます。任意加入は最長で65歳まで可能なので、60歳をすぎて年金の支払い能力があるのであれば、目一杯加入して年金受給額を増やすのもひとつの手です。
あまりないとは思いますが、もし加入期間が10年に満たないという方は、任意加入をしてでも10年以上にしておいて年金の受給資格を得ておくことをおすすめします。
受給開始年齢を遅らせて受給額を増やす
年金の受給開始年齢は、65歳です。以前は60歳から年金の受給が始まっていたのですが、今はそれが5年引き上げられて65歳になっています。これには年金財政のひっ迫という支給側の事情が深く関わっていますが、それ以外にも理由はあります。それは、昔のように60歳が高齢者の仲間入りをする年齢ということではなく、60歳の人がまだまだ現役という認識になってきているという社会的な事情です。
60歳が定年の会社であっても、定年延長で活躍し続ける人がいたり、一旦定年退職をしてもその後嘱託などの形で同じ会社に勤め続けるというケースはとても多くなっています。以前は60歳で定年退職をしてから65歳の年金受給開始までの5年間をどう乗り切るかという不安を口にする人が多かったのですが、最近では60歳以降も現役という人が多くなっていることから、あまり言われなくなりました。
そうなると、65歳になってもまだ現役という人がいても不思議ではありません。自営業の人はもとより、会社勤めの人であっても65歳で現役引退をせず、その後も働き続ける人はたくさんいます。そんな人にとって年金はまだ不要で、本当に必要になってからでいいというお考えもあるでしょう。
そんな人は、年金の受給開始を遅らせて年金の受給額を増やす方法があります。これを年金の繰り下げ受給というのですが、1ヶ月繰り下げるごとに0.7%ずつ受給額が増えていくので、最長である70歳まで繰り下げると0.7%×60ヶ月=42%もの年金額増加が期待できます。
(自営業の方向け)国民年金基金に加入する
自営業の方々にとっての年金とは、1階部分である国民年金のみです。国民年金だけだといくらもらえるのかというと、毎月5万5000円程度であると述べました。これだと年金暮らしという生活は到底不可能なので何かオプション的な年金加算が必要になるわけですが、そこでおすすめなのが国民年金基金です。
国民年金基金に任意で加入することで、以下のようなメリットがあります。
- 国民年金基金の加入分だけ年金が上乗せされる
- 国民年金基金の納付保険料は全額課税所得から控除される
これを平たく言い換えると「国民年金だけでは足りない年金額を節税メリットを享受しながら増やすことができる」となります。自営業者の方々にとってはダブルのメリットなので、加入している人は数多くいます。
なお、国民年金基金に加入すると上乗せ分としていくらもらえるのかについては、以下の公式サイトからシミュレーションしてみてください。
(自営業の方向け)付加年金を納付する
自営業者の方など、国民年金のみの方にはもうひとつ年金のオプション的な制度があります。もうひとつの制度とは付加年金と呼ばれるもので、毎月の年金保険料に400円の上乗せ分を支払うことで、この付加年金を支払った月数×200円が年金に上乗せされます。国民年金基金と比べると小規模ですが、上乗せ分は一生涯続くため、年金を増やす何らかの手を打っておきたいという方におすすめです。
年金だけでは足りないと感じたら、どうする?
ここからは、国民年金や厚生年金といったような公的年金の話ではありません。公的年金がいくらもらえるのかを知っていただいたところで、「年金だけでは足りない」と感じた方のための情報です。年金だけでは足りない!でもどうすれば?という方はぜひここから先も読み進めてください。
貯蓄で備える
年金だけでは足りないと感じた方がその対策として真っ先に思い浮かぶのが、貯蓄でしょう。現役世代のうちにできるだけお金を残しておいて、そのお金を老後資金の足しにするという考え方です。もっともシンプルな方法ですが現金を残すという意味では最強の手段でもあるので、現役世代のうちに貯蓄に取り組める方は、やっておく価値は大いにあると思います。
ただし老後は長いので、ただ単にお金を貯めているだけだと規模感についていけないという現実もあるので、貯蓄をするとなると毎月10万円近くのお金を残すといったようにダイナミックな計画が必要になるでしょう。
老後にお金のかからない生活をする
生命保険文化センターが行った調査によると、老後に夫婦2人が必要とする最低限の生活費は22万円であるという結果が出ています。この数値は老後資金を計算する際の根拠として使われることが多く、「老後は毎月22万円ないと生活できない」というのが半ば常識のようになっています。
この22万円という金額にどこまで信憑性があるのかはともかくとして、老後にこれくらいのお金が必要になりそうだということは、多くの方々が想像されていることでしょう。
そのためあまり検討されないことですが、老後にあまりお金のかからない生活をするという選択肢もあります。実は老後の生活費として見積もられているお金の中には、節約できる余地が十分あります。節約というとやりたいことまで我慢する印象がありますが、そうではなく今あるものをお金のかからないものに置き換えるだけで、かなりのお金を浮かせることができるのです。
それでは、どんなものに節約の余地があるのでしょうか。以下のような生活の見直しを検討してみてください。
- 保険の見直し(老後にまで大きな保障は不要)
- 携帯電話料金の見直し(安いプラン、格安SIM会社への乗り換え)
- 新聞をやめる(ネットで同じ記事が読める)
- マイカーをやめる(もしくはカーシェアリングなどに置き換える)
- お金のかからない趣味を持つ(ウォーキング、サイクリングなど)
いかがですか?いずれも今の生活水準を落とすことなく置き換えるだけで節約が可能なものばかりです。しかもこれらの節約をすべてやることで毎月5万円以上の節約効果が得られるのです。しかも5つ目のウォーキングやサイクリングについては運動不足の解消にもなるので医療費の節約効果も期待できます。
収益不動産を買っておく
老後のために不動産を買っておいて大家さんになりませんか?という広告を見たことはありませんでしょうか。収益不動産を持っておけば家賃収入という不労所得に近いようなお金が毎月入るようになるので、それが老後資金の足しになるというわけです。
理屈ではそれも可能ですが、そのためにはある程度の知識や経験が必要になります。当メディア「Oh!Ya」は不動産投資家のための情報を提供しているので、不動産投資家になる方法を多くの記事で解説していますので、興味がある方はぜひそちらをお読みになってください。
しかし、これらの記事をお読みになった上で「自分には難しそうだ」とお感じになった方もおられることでしょう。不動産投資はとても魅力的ですがすべての人に幸せをもたらすわけではないので、そうではない方には別の選択肢をおすすめします。
その選択肢として有望なのが、次項からの2つです。
個人年金に加入する
公的年金とは別に自分で掛け金を支払って加入する年金のことを、個人年金といいます。自分が積み立てたお金を老後になってから受け取るというシンプルな仕組みになっていて、しかも自分が現役世代のうちに積み立てた金額よりも増えた分を含めて年金として受け取ることができるため、公的年金の足しにするには最適です。
個人年金は主に生命保険会社などが取り扱っているので、問い合わせをすると自分に最も合ったプランを提供してくれます。筆者は生命保険会社からの申し込みではありませんでしたが、銀行からの提案で外資系生命保険会社の個人年金に加入しています。
iDeCoで老後資金を作る
老後資金を作るのに税金面での優遇制度があることをご存知でしょうか。それをiDeCo(イデコと読みます)といって、60歳になるまで貯えに手を付ける予定がないのであれば、とてもオトクです。
iDeCoが優れている点は、何といっても老後に向けて積み立てているお金が増えたとしても、その増加分に税金がかからないことです。運用によって増えたお金は不労所得であるとして20%少々の高い税金がかかるのですが、iDeCoを活用すればそれが無税になります。
よく似た制度にNISAやつみたてNISAがありますが、これらNISA系の制度に対してiDeCoは60歳になるまで途中解約が事実上できないため(解約すると損になる)、老後資金に手を付けたくない人にとってはその意味でも好都合かもしれません。
年金に加えて将来に備える方法3選
公的年金だけでは足りないとお感じの方に筆者がおすすめしたい3つの方法を、まとめました。これらの方法はいずれも筆者が自分でも運用、もしくは検討をしたことがあるものばかりで、これから老後への備えにするのであれば最適かと思います。
特別養老保険で老後に備える
養老保険とは、生命保険に加入するのと同時に貯蓄もするという二面性のある商品です。死亡保障が1000万円という契約をしたとしたら、この被保険者が亡くなることがなく老後を迎えたとしても、死亡保障と同額の1000万円を受け取ることができます。生命保険はリスク管理のための商品なので、被保険者が亡くなったり高度障害の状態になれば保険金を手にすることができる性格のものですが、それに貯蓄性を加えたものが養老保険です。
特別養老保険とは、分かりやすく言うとその養老保険に柔軟性をプラスしたような保険商品です。通常の養老保険では死亡保障と貯蓄額は同額でしたが、特別養老保険ではその比率を変えることができます。保障を手厚くしたい、貯蓄を重視したいといったように内訳を選ぶことができるため、より今どきのニーズを捉えた商品だと言えます。
特別養老保険、養老保険ともに最も運用利回りが高くなる時期だと元本の130%くらいになるので、30%分は公的年金の足しにすることができます。
iDeCoで投信積立をする
先ほどご紹介したiDeCoも、老後の備えとしてはかなり優秀です。投資信託の積み立てに対して税金がかからない制度として注目を集めているので、元から投資信託による運用をお考えの方であれば、迷わずiDeCoを検討するべきです。
ただ、問題は選択できる投資信託の銘柄です。ご存知の方も多いと思いますが、日本国内で運用されている投資信託には良いものがきわめて少なく、保有していると基準価額が下がってしまう銘柄が大半です。いくらiDeCoで非課税の優遇を受けたとしても運用成績が悪くて目減りさせてしまっては意味がありません。
選択するなら国内不動産で運用している銘柄や、アメリカ株式で運用している銘柄などがおすすめです。ちなみに筆者はiDeCoとは別口で東証J-REIT指数と連動するインデックス型の国内不動産ファンドで積立運用をしています。すでに数年間の運用実績がありますが、目減りをしたことは数えるほどしかなく、順調に資産が増えています。
不動産投資による資産形成
収益不動産を保有して、そこからの家賃収入で老後は悠々自適に暮らす・・・そんな生活を夢見ている人にとって最も魅力的なのが、不動産投資です。アパートなどを所有してそれが満室経営になれば毎月数十万円クラスの家賃収入が入るため、最初に不動産を購入するという大きな出費をこなすことができれば、老後への安心感は大きくなります。
当メディア「Oh!Ya」としては不動産投資による老後の生活設計をおすすめしている部分もありますので、興味がある順で構いませんので初心者向けの解説記事をぜひお読みください。
まとめ
自分はいったい年金をいくらもらえるのか?という疑問にお答えして、おそらくほぼすべての人が「それでは足りない」とお感じになったと思いますので、そのための対策を解説してきました。老後への備えは早く始めるほど負担も軽く、そして大きな効果を上げることができます。善は急げ、まずはできることから始めましょう!