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不動産相続の手順と費用まとめ!相続後にも注意点あり

By Oh!Ya編集部

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不動産相続の手順と費用まとめ!相続後にも注意点あり

居住用不動産や投資用不動産を保有している世帯総数は多く、不動産の相続を経験するケースは珍しくありません。しかし、初めての相続は未知数なことばかりで、どのように進めていけば良いのか分からないものです。

そこで今回は、不動産相続の手順と費用、相続後に注意すべき点についてご説明します。

不動産の相続登記とは?

相続 相続登記は、被相続人(亡くなった人)が保有していた不動産の名義を、相続人(財産を相続する人)に変更する手続きのことです。

相続登記をしないまま放置をしてもペナルティはありませんが、相続した不動産を売却したいときに売却できない、借入を行う際の担保に指定できないといった制約が発生します。

また、複数の相続人がいた場合、そのうちの誰かが亡くなってしまえば、亡くなった人の相続人に相続登記の対応をしてもらわなければなりません。

亡くなった人の相続人は一人とは限らず、むしろ複数人いるケースが大半であるため、時間が経過するほどに相続登記は困難になってしまいます。そのため、特別な理由がなければ、早々に相続登記を進められるよう努めることを推奨します。

不動産の相続登記の手順を6ステップで解説

手順 不動産を相続する際、不動産の名義を相続人に移行するためには相続登記が必要です。

この項では、不動産相続の手順を6ステップに分けて解説していきます。

1.相続の発生

財産を保有している人が亡くなったとき相続が発生し、遺族のあいだで諸手続きを進めていくこととなります。

2.遺言書の有無を確認

相続の対応は、遺言書があるか否かによって大きく異なります。具体的には、相続財産を受け取る相続人やその割合、相続人に求められる手続きが全く違うものとなるのです。

たとえば、遺言書があれば後述する遺産分割協議が不要となり、相続人全員が「遺言書通りの相続を否認している」といった例外的な状況にならない限り、遺言書をもとに相続を行うことになります。

なお、遺言書は自己判断で勝手に開封してはいけません。自筆の遺言書の場合、偽造を防止するため家庭裁判所に持ち込み、遺言書の存在・内容の確認である「検認」を実行してもらう必要があります。

3.相続人の調査・確定

遺言書がない場合、被相続人の戸籍謄本や除籍謄本から「誰が相続人として財産を引き継ぐのか」を調べることとなります。

遺言書が存在しており、相続人や相続内容が明らかな場合には、遺言書に従って手続きを進めていきます。

4.相続財産の調査・確定

相続により財産を引き継ぐのであれば、被相続人が亡くなってから10ヶ月以内に相続税の申告が必要です。このとき、相続財産を相続人に正しく分配して税金を納められるように、プラスの財産とマイナスの財産を正確に洗い出さなければなりません。

プラスの財産とマイナスの財産は、それぞれ以下のようなもの。プラスの財産かマイナスの財産か調べて分類し、相殺することで相続財産の金額が分かります。

財産の種類具体的な一例
プラスの財産現金、不動産、株式、生命保険金
マイナスの財産借入金の残債、未払い金(未納の税金や賃借料等)

上記のように、不動産は基本的にプラスの財産です。不動産はローンを利用して購入している場合があるものの、団体信用生命保険に加入しているケースがほとんどであるため、所有者が亡くなった時点でローンは完済されている可能性が高いです。

なお、プラスの財産よりマイナスの財産が多く、相続によって相続人が経済的に損をするのであれば、相続発生から3ヶ月以内に申述書を提出することで相続を放棄できます。マイナスの財産のみを放棄し、プラスの財産のみを相続することは不可能です。

5.遺産分割協議

ここまでの工程により、相続人と相続財産が確定すれば遺産分割協議を行います。後々にトラブルを招かないよう、各相続人が納得する形になるまで話し合えれば理想的です。

誰がどのように相続財産を受け取るのか決定すれば、トラブルを防ぐために協議内容を正確に記録した「遺産分割協議書」を作成します。

決まった書式はありませんが、何も参照しないまま過不足のない書類を作ることは難しいため、ネット上でサンプルを参照しつつ作成することをおすすめします。

6.相続登記・不動産の名義変更の申請

一連のプロセスを経て、相続財産の分割が決まれば、必要書類を揃えて管轄の法務局で名義変更の申請を行います。

主な必要書類
登記申請書
被相続人の戸籍謄本・除籍謄本
相続人全員の戸籍謄本
相続人全員の住民票の写し
委任状(代理人による申請の場合)
遺産分割協議書(遺産分割協議を行った場合)

遺産分割協議書には、各相続人の印鑑証明書が必要になるため、スムーズに相続を進めるためには各々の協力が不可欠です。

不動産を分割相続する方法は4つ

相続 現金や預貯金とは異なり、実物資産である不動産の分割相続は容易でないため、どのように分け合えば良いのか分からないケースも多々あるはず。

この項では、不動産を分割相続する方法をご紹介します。

1.現物分割

現物分割は、相続財産を現物のまま相続する方法。相続財産の種類・量が多く、現物のまま公平に相続できる場合に選ばれます。

ただし、現物のままでは均等に分けることが難しく、相続人同士に不公平が生じるケースではトラブルを招きやすいため、現物分割が相応しくない状況では別の方法を選択します。

2.代償分割

代償分割は、一部の相続人が現物のまま不動産を相続し、その相続人が「自身以外の相続人」に相応分の現金を支払う方法です。

たとえば、相続財産として5,000万円の不動産が1軒あったと仮定します。このとき、2,500万円の相続を受けることになった相続人が2人おり、そのうち1人が現物のまま5,000万円の不動産を相続すれば、もう1人は何も受け取れずに不公平が生じます。

そこで、不動産を受け取った相続人が、もう1人の相続人に2,500万円の現金(もしくはそれに相当するもの)を渡すことで、公平な相続を行うといった方法が代償分割です。

3.換価分割

換価分割は、相続した不動産を現金に換えたのち、相続人で分け合う方法です。

相続する財産が現金であれば、それぞれ均等に分け合うことは難しくないものの、不動産は実物資産であるため分割することが困難です。

その点、換価分割は容易に相続財産を分割できるというメリットがあります。

4.共有

共有は、不動産の名義を複数の相続人のままにして、共有状態で相続する方法。分割していないため正確には分割相続でないものの、第4の選択肢にされるケースがあります。

共有は、トラブルの原因となる分割相続を避けるため、一見すると最もトラブルのない相続方法に思えます。しかし、実際には分割相続を先伸ばしにしているに過ぎず、相続にまつわる問題を解消するものではありません。

たとえば、売却をしたり大規模な工事を行ったりする際、それらの行為は相続人全員の同意がなければ実行できないのです。

相続時にかかる費用の種類

財産を相続する際には、相続税を始めとする複数の費用が発生します。

この項では、相続時にかかる相続税の計算、および不動産を相続する際にかかる費用についてご説明します。

相続税

相続税には基礎控除が用意されており、以下の計算式で求めた金額が控除として適用されます。

相続税の基礎控除の計算式
3,000万円+(600万円 × 法定相続人の数)

基本的には、相続人全員の課税価格の合計額を求めて、そこから計算式で算出した基礎控除額を差し引きます。これを「課税遺産総額」と呼びます。

課税遺産総額に課せられる相続税率は、つぎの通りです。

課税遺産総額税率控除額
1,000万円以下10%控除なし
3,000万円以下15%50万円
5,000万円以下20%200万円
1億円以下30%700万円
2億円以下40%1,700万円
3億円以下45%2,700万円
6億円以下50%4,200万円
6億円超55%7,200万円

これら、課税遺産総額と相続税率から、実際に納付する相続税額を算出してみましょう。

課税遺産総額1億円を配偶者1人・子ども2人で分割相続

ここでは、遺言書や遺産分割協議を考慮せず、特に何も取り決めない場合に適用される「法定相続分」を基準にして相続税額の一例をご説明します。

まず、配偶者は必ず相続人となり、それ以外の相続人と相続の割合は以下のように決定します。

相続人配偶者の法定相続分
1.配偶者と被相続人の子ども(いない場合は孫)財産の2分の1
2.配偶者と被相続人の父母(いない場合は祖父母)財産の3分の2
3.配偶者と被相続人の兄弟(いない場合は甥・姪)財産の4分の3
4.配偶者のみ全ての相続財産

たとえば、被相続人の配偶者と子どもが財産を相続する場合、配偶者は相続財産の半分を法定相続分として相続できます。残りの半分を子どもの人数で等分したものが、子どもの法定相続分です。

この規定に、先ほどご説明した「課税遺産総額に課せられる税率」を当てはめることで、相続税率は以下のように求められます。 図 配偶者が5,000万円、子どもがそれぞれ2,500万円ずつ相続し、各人に課せられる控除後の税額は合計1,450万円になります。このとき、控除後の税額を算出するために使用する計算式は、つぎの通り。

相続人控除後の税額
配偶者800万円=1,000万円(課税遺産総額 × 税率)-200万円(控除額)
子ども325万円=375万円(課税遺産総額 × 税率)-50万円(控除額)

その後、合計税額を再び法定相続分の割合で分割することで、納付すべき税額が求められます。なお、配偶者は「法定相続分の相続財産」にかかる税額が全て免除され、法定相続分を超える分であっても合計1億6,000万円までの相続財産は非課税扱いになります。

上記画像で、最終的な配偶者の納付税額がゼロになっている理由は、そのためです。

その他の不動産相続時にかかる費用

不動産の相続時にかかる費用は、相続税以外にもいくつか挙げられます。

  • 登録免許税
  • 戸籍謄本・除籍謄本の取得費用
  • 司法書士報酬(依頼する場合)

登録免許税は「不動産の価格 × 0.4%」の金額が課せられます。

不動産相続後にまつわる注意点

相続 不動産相続後、相続財産と相続人の関係性によっては、金銭的負担や重大な責任が発生します。この項では、把握しておくべき不動産相続後の注意点をご説明します。

相続した不動産の運用・売却には税負担が伴う

相続した不動産の税負担は、相続時に支払う相続税や登録免許税のみではありません。

事前に知っておきたい不動産購入から売却までに必要な税金9つ」の記事でも解説しているように、不動産の運用維持には固定資産税がかかり、不動産を売却する際には譲渡所得税が課せられます。

「保有はタダ」ということは一切なく、売却時も売却額がそのまま利益になるわけではない点に注意してください。

売却にあたり相続登記が必要

相続登記によって名義変更を行わなければ、不動産の名義は故人となった被相続人のままです。この状態であるあいだは不動産の売却ができず、修繕工事の実行もままなりません。

しかし、相続した不動産は管理責任の義務が生じ、修繕工事を怠るわけにはいかないため相続登記は実質的に必須です。

もしも、相続登記を行わずに不動産の修繕工事を怠り、倒壊などの第三者を巻き込む問題が起きれば、その責任を負うため大きな経済的ダメージを招く危険性もあります。

不動産の相続を放棄しても管理責任は免れない

民法第940条には「相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない」といった記述があります。

つまり、つぎの相続人が管理責任を全うできる状態になるまで、相続放棄をした人が不動産の管理を行わなければならないのです。仮に、相続人全員が不動産の相続を放棄した場合は、家庭裁判所を通じて「相続財産管理人」を選び出すこととなります。

管理責任を負った人は、不動産を自主管理または委託によって適切に維持し、不動産を原因とする問題が起こった場合には責任を取らなければなりません。

まとめ

今回ご説明したように、相続登記を経て不動産を相続するためには、いくつかの手順を踏む必要があります。

相続登記が面倒だからといって、相続対象の不動産を放置すればトラブルの原因となるため、本記事を参考にしかるべき対応を施してください。

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