借金しても良いのは不動産投資だけ!?投資における「良い借金」の作り方を解説
株式投資やFX、仮想通貨に生活費を注ぎ込み、消費者金融の借入まで利用して大損失を生む事例は多々。無計画な運用で人生を破たんさせる投資家は、テレビやネットで度々取り上げられます。
しかし、数多くある投資のなかで、不動産投資は唯一「借金をしても良い投資」だとご存知でしょうか?
今回は、不動産投資がもつ他の投資方法との「決定的な違い」を解説。どうして不動産投資は借金が認められるのか、良い借金を手にするには何が必要なのかを詳しくご説明します。
目次
不動産投資と他の投資方法は何が違うの?
将来性のあるビジネスモデルに出資する「株式投資」や、為替レートの変動差を利用して収益を得る「FX」など、投資にはさまざまな手法があります。
これらの運用方法と不動産投資のあいだには「決定的な違い」があるのです。以下に、それぞれの投資手段を比較した一覧表を用意しました。
投資手段 | 運用している資産 |
---|---|
株式投資 | 株式(株主権) |
FX | 国内外の通貨 |
投資信託 | 投資信託証券 |
仮想通貨 | デジタル通貨 |
不動産投資 | 賃貸用物件 |
※横スクロールできます。
上記の比較を見れば分かるように、上から4つは「無形の権利」を扱う金融商品です。特に株式や投資信託証券は、企業が倒産すれば無価値となることから、物質的な価値をもたないことが分かります。
また、2018年に突入してからFXではトルコリラ、仮想通貨では草コインと呼ばれるマイナー通貨が大暴落し、数多くの損失事例を生み出したのは記憶に新しいところ。これらも「通貨の両替」を繰り返しているに過ぎず、形ある状態でやり取りされる金融商品ではありません。
一方、上記の投資手段とは異なり、不動産投資は「実体のある資産」を扱っています。いわば、不動産という商品を提供することで収入を得る、れっきとした事業なのです。
公的機関が借金を認めているのは不動産投資だけ
不動産は人々が存在する限り需要があり、経済情勢や政治の影響で理不尽に資産性を失うことがありません。また、不動産の真下にある土地は無価値になることがないため、不動産は一定の価格が担保されています。
その信頼性から銀行に融資対象として認められており、不動産投資に対する貸付はいわば「事業への出資」と考えられています。決してマネーゲームが成立しない正真正銘の事業経営であるからこそ、不動産投資は公的機関からの借金が許されているのです。
不動産投資で借入金を利用するメリット
数多くの投資手段のなか、唯一「借金をしても大丈夫」という特権をもつ不動産投資。この借金には、以下の通り2つのメリットがあります。
もたらされるメリット | 具体的な効果 |
---|---|
レバレッジ効果 | 少ない自己資金で効率的な投資ができる |
機会損失の軽減 | 資金不足による優良物件の見逃しを防ぐ |
※横スクロールできます。
レバレッジ効果とは?
レバレッジ効果は「てこの原理」という意味で用いられる投資用語。
たとえば、1室500万円で年利10%の区分マンションがあったとき、これを自己資金500万円で運用すれば1年後には50万円の利益が出ます。
しかし、融資と自己資金で5,000万円の投資資金を用意すれば、10室を運用して1年間に500万円まで利益を伸ばすことが可能です。
このように、レバレッジ効果により大きな資金を動かせることが、借入金がもたらす第一のメリットです。
機会損失の軽減とは?
機会損失の軽減は、レバレッジ効果によりもたらされる派生効果です。
先ほどと同様、1室500万円で年利10%の区分マンションがあり、これを自己資金500万円で購入。その後、1室500万円で年利20%の高利回りを誇る、優良な区分マンションを発見したとします。
このとき、自己資金の500万円しか運用できなければ、優良物件が他人に購入される様子をただ眺めることしかできません。
上記のように、獲得できたはずの利益を逃してしまうことが「機会損失」です。
1.目いっぱい投資して利益を追求する運用 2.機会損失を防ぐため余力を残しつつ運用
自己資金だけでは、これら2つの運用を再現できません。借入によるレバレッジ効果の獲得は、投資の幅を広げる有効な選択肢なのです。
「良い借金」を用意するために必要な知識
「借金以上の価値になって戻ってくるもの」を購入したとき、この借入は「良い借金」だったといえます。
一方で「借金以上の価値になることがないもの」を購入したとき、これは不用意な「悪い借金」だったといえるでしょう。
そのため、できる限り都合の良い条件で融資を取り付け、高い成長率が予想できる不動産を購入すること。これが、不動産投資における良い借金です。
この項では、どのようなポイントが融資の条件を左右するのか解説。好条件で借入を取り付けるための方法をご紹介します。
融資の条件を決める「属性」とは?
金融機関から投資資金を借り入れるとき、返済能力の指標として注目されるのが投資家の「属性」です。属性の評価を決めるとき、参照されるのは以下の要素。
勤務先
職種や社内での立場により、給料や昇給の可能性が異なります。
特に医師や公務員、大手企業の社員など、安定収入があり昇給率の高い職種は高評価。中小企業であっても勤続年数が長く、役職をもつサラリーマンは好条件での融資が期待できます。
対策:社会的信用につながる働き方が重要
いきなり年収を高めることは難しいため、まずは1つの会社で正社員として働き続け、長期勤務しているという実績を作ることが先決。優良な不動産を見つけたときにキャリアを評価してもらえるよう、無計画な転職は控えるべきでしょう。
経済状況
高給取りであっても保有資産が過度に少ない場合、金銭管理に問題があると判断されてしまいます。
設備劣化や災害による修繕・改装など、不動産投資には突発的な出費が付きもの。経済状況に余裕のない申請者は返済能力が足りないと評価され、融資を受けづらい傾向があります。
対策:金銭管理の見直しで貯金額を増やす
来るべき融資申請の機会に向けて、浪費は控えて経済基盤を整えることが重要。これまでの支出に無駄がないのか再確認し、金銭管理の評価向上に努めることをおすすめします。
家族構成
配偶者の勤務状況も、返済能力の評価を左右するポイント。「収入の柱」が多いほど、滞納の可能性が下がると判断されます。
また、教育費は家計に大きく影響するため、子ども有無や年齢も重要です。
対策:経済面に余裕が生まれるまで待機
子どもが成人間近であれば、経済的に自立するまで融資申請を待つことも戦略の1つ。
「教育費が発生しない」という金銭的な問題のほか、時間にも余裕があり不動産投資へ積極的に取り組めることをアピールできます。
これにより「片手間でこなす」というイメージを払拭できれば理想的。事業への真剣さも評価対象にくわわるため、好条件で借入をおこなえる可能性が高まります。
信用情報
自動車やマイホームのローン、クレジットカードの延滞履歴など、利用した金融制度の過去情報も返済能力を判断する材料です。そのため、すぐに完済できる債務は、すべて返済してから融資に臨むべきでしょう。
なお、それぞれの金融機関は情報をシェアしているため、ブラックリストに登録されるような過去があれば融資の利用は困難です。
事業計画や将来の展望
金融機関の担当者は、不動産投資が成功する見込みを見極めるため、審査時にさまざまな質問を投げかけます。
・空室時の対策はどうするのか ・不動産投資を始める目的は何か ・当金融機関を選んだ理由は何か
このような会話を交わすなかで、事業者としての素質があるのか判断されます。
対策:事業者としての自覚が重要
実際の不動産運用を想定したデータを用意し、不測の事態に対処する方法を考慮しておけば高評価。金融機関は信頼できる取引相手を探しているため、具体性と説得力の強い返答であるほど好条件な融資に近付きます。
「不動産投資を始めること」がゴールだと受け取られないよう、自身の意見をもって賃貸業へかける熱意を説明できる状態が理想的です。
高評価な属性がもたらすメリット
優れた属性をもっていると判断された場合「融資上限額」や「借入金利」が優遇されます。
多額の融資を利用することで購入できる不動産の幅は広くなり、借入金利が低くなれば支払いの負担は減少。多くの資金を扱う不動産投資において、この2点は字面以上に大きなメリットをもたらすのです。
金融機関ごとの融資における傾向とは?
銀行や信用金庫をはじめとする金融機関は、5つのタイプに分かれています。
それぞれ、融資の審査基準や借入時の条件が異なり、金融機関を適当に選べば「良い借金」をみすみす逃してしまう可能性があるので注意しましょう。
メガバンク
「メガバンク」は、5タイプある金融機関のうち審査基準がもっとも厳しい反面、融資上限額や借入金利はトップクラスの優秀さを誇ります。
全国の都市部に展開されており利便性も優れているため、経済状況に自信がある投資家はメガバンクがおすすめです。
地方銀行
地域密着型の金融機関である「地方銀行」は、各支店のエリア内に位置する不動産に積極的な融資をおこないます。融資条件はメガバンクより一段低くなるものの、他の金融機関と比較すれば優れた条件での借入が可能。
購入する不動産だけでなく、出身地や居住地も支店エリアと一致していれば、なお融資に積極的な姿勢を示してくれます。
信用金庫
「信用金庫」は各銀行と異なり、融資の利用にあたって会員登録が必要です。これは、信用金庫が会員費によって支えられている「協同組織」の形態であるため。
銀行は株式会社であり、株主への還元を目指して利益を追求する一方、信用金庫は利益ではなく地域活性化にフォーカスして融資をおこないます。
そのため、エリア内の貸付は地方銀行よりも積極的。地域と密接な関係にある申請者には、ハードルの低い審査基準がもちいられます。融資上限額や金利は地方銀行に劣るものの、属性が評価されづらい投資家の有力な借入先です。
ノンバンク
「ノンバンク」は5タイプのなかで、もっとも借入金利が高い金融機関。
融資上限額も年収の3分の1までと決められており、決して融資条件が良いとはいえません。しかし、他の金融機関よりも審査基準が緩く、早ければ即日融資を受けられます。
融資における「最後の砦」とも例えられ、ノンバンクの借入履歴にマイナスイメージを抱く金融機関もあるほど。非常時の手段として考えるベテラン投資家もおり、あくまで優先的に利用する借入先ではありません。
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫は、中小事業者への出資をおこなう政策金融機関です。
他の金融機関と異なる最大のポイントは「不動産投資には出資しない」という部分。あくまで、中小事業者の事業支援が目的であるため、「不動産賃貸業」として融資を申請しなければなりません。
また、審査基準は厳しく返済期間も最長20年と短期的、かつ「創業計画書」の記入を求められるため、事業を成功させて借入を完済させる申請者の強い意志が求められます。
これらをクリアできれば、無担保・無保証人でも低金利な借入が可能。全国どこでも利用できるので、メガバンクに劣らない利便性を誇ります。
不用意に借入期間を延ばすのはNG!
融資の借入期間を延ばすほど、毎月の返済額は小さくなり手残りの現金は増えます。しかし、この長期融資によるキャッシュフローの確保は、失敗投資家が選びがちなNGパターンの1つ。
確かに一時的に利益率は大きくなるのですが、借入期間を延ばせば返済利息の総額は増加し、返済途中に金利上昇が起こるリスクは高まります。特に返済利息の増額は一見すると気付きづらく、知らず知らずのうちに財務状況へ大きなダメージをもたらすため注意。
以下の参考例を見れば、借入期間により返済総額が大きく左右されると分かります。
借入金5,000万円(金利は3%固定) | 毎月の返済額 | 返済総額 |
---|---|---|
借入期間35年 | 19万2,426円 | 8,081万7,880円 |
借入期間25年 | 23万7,106円 | 7,113万1,423円 |
借入期間15年 | 34万5,291円 | 6,215万2,232円 |
※横スクロールできます。
借入期間35年は毎月の返済額こそ抑えられていますが、返済総額は元本より3,000万円以上も増加。借入期間25年の返済総額と比べて、1,000万円近く利息が上乗せされています。
毎月の返済額が少なくなり手残りが増えるものの、莫大な金額が利息として吹き飛んでいることは明白であるため、不用意な借入期間の引き延ばしには注意してください。
まとめ
株式・投資信託証券など「無形の権利」を売買する投資手段とは異なり、不動産投資では「実体のある資産」を扱います。そのため、企業倒産や政治問題で理不尽に資産を失うことがありません。
「手元に形ある状態で残る。」 これこそ、不動産投資に安心して借入金を充てられる理由です。
優れた条件で借入金を用意するためには、まずは手の届く範囲から経済状況を改善。そして、属性に合致した適切な金融機関を選ぶことが「良い借金」を手にするためのカギです。