空いた土地で駐車場経営を始めるべき?判断する方法と月極駐車場&コインパーキングの始め方
By Oh!Ya編集部
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相続などで取得した土地の活用法をお考えの方にとって、駐車場経営は誰もが思いつく選択肢ではないでしょうか。平面の駐車場であれば建物不要で、敷地に線を引くだけで始められる手軽さも魅力です。
しかし、実際のところ駐車場経営のビジネスとしての有望性はどうなのでしょうか?せっかく土地活用をするのであれば少しでも多くの利益を手にしたいとお考えだと思いますので、駐車場経営のメリットとデメリット、そして成功に導くためのノウハウを伝授いたします。
目次
お持ちの土地を駐車場経営で活用するとどうなる?
土地は持っているだけでは税金やリスクを発生させるだけでマイナスの資産になってしまいますが、うまく活用すると利益を生み出してくれるようになります。その中の代表格が、駐車場経営です。
その土地は、もしかすると駐車場経営向きかもしれません
相続など能動的な経緯によって取得したわけではない土地の場合、目的をもって取得したわけではないため、土地を取得してから活用法を考えることになります。目的から土地を選んだわけではないため、なかなかピッタリの活用法がないというのが多くの土地オーナーに共通する悩みです。
その点、駐車場経営は手軽さや柔軟性に優れた活用法であり、多くの土地オーナーの方々が実際に駐車場経営に取り組んでいます。建物を建てるのには不向きや形や立地条件の土地であっても、駐車場経営なら可能ということは多々あります。
他の活用法よりも駐車場にするのが最適であるということはあまりありませんが、他の活用法がいずれも難しい時であっても駐車場経営なら可能ということが多く、とても柔軟性に優れた土地活用法なのです。
駐車場経営で期待できる収益
アパート・マンション経営と違って、駐車場はそこまでの収益力はありません。これは「家賃」と「駐車場代」を比較するとイメージしやすいと思います。家賃であれば安いところでも5~6万円くらいからになりますが、駐車場代が5万円を超えるというのは、かなり高額の部類に入ります。
このように駐車場経営はアパマン経営と同じ金銭感覚の土地活用ではなく、そこまでの収益力は期待できません。その代わり初期投資もほとんど不要なので、ローリスク・ローリターンのビジネスモデルです。
土地は持っているだけだとリスク要因である
先ほど少し触れましたが、土地は持っているだけではマイナスの資産です(死産と表現することもあります)。なぜなら土地は持っているだけで税金が発生しますし、所有している土地で何か問題が起きると、その責任は所有者に回ってきます。
空き家を放置していて火災が発生し、近隣に延焼した責任を負わされたケースもありますし、ホームレスが住み着いたり不良少年のたまり場になるなど、所有している土地を活用せず放置しているとさまざまなリスク要因となります。
儲からないからといって何も土地活用をしないと、こうしたリスクを顕在化する恐れがあります。駐車場経営を含む土地活用には、こうしたリスクを回避する効果もあるのです。
手軽さで群を抜いている駐車場経営
駐車場経営のメリットは、何と言っても手軽であることです。自分で管理、経営をするのであれば敷地を更地にして線を引くだけで開業することができます。その他にもコインパーキングという形態もありますが、この場合は専門の業者に委託するだけなので、さらに手軽です。
詳しくは後述しますが、手軽で始められるということは、手軽にやめることもできるわけです。他の土地活用法が見つかった場合や売却する場合であっても駐車場であればスムーズに話を進めやすいため、入口と出口それぞれの手軽さは駐車場経営の最大のメリットだとお考えください。
他にもある、駐車場経営のメリット
ここまで駐車場経営についての概要やメリットについて簡単に解説してきましたが、駐車場経営のメリットはこれだけではありません。いずれもこれまでに挙げたメリットの延長線上にあるものですが、駐車場経営をお考えの方はまず、駐車場経営が持つメリットを全部知っていただいた上で検討していただければと思います。
もちろん、メリットに次にはデメリットについても解説します。デメリットを熟知しておくことも重要なので、次章以降で解説するメリットとデメリットをしっかりご理解ください。
駐車場経営のメリット5つ
駐車場経営のメリットはたくさんあるのですが、筆者が整理してみると5つになりました。分類の仕方によってはもっとあると思いますが、この5つのメリットを理解していただければ問題ないと思います。
遊休資産がお金を生む資源になる
相続など自らの意思で取得したわけではない土地は、そのままにしておくと遊休資産です。単に持っているだけで何も持ち出しがないのであれば良いのですが、土地を持ったまま放置しておくと税金とリスクを生み出してしまうのは、すでに解説した通りです。
遺産として土地を相続した人にとって、欲しくて取得したわけではない土地を持つことになった一方で、税金は現金で徴収されます。土地があるからといって現金を持っているとは限らないので、遊休地の税負担は意外に多くの土地オーナーを悩ませています。
また、遊休地を放置しておくことのリスクはすでに火災や治安の悪化などを挙げましたが、問題はこうした事態になった時にオーナーが責任を負わされることです。欲しくて取得したわけでもない土地で起きたことの責任を負わされ、多額のお金を失うことになっては、割が合いません。
駐車場経営によってその土地にクルマや人が出入りするような環境を作ると、少なくともそれ以上の治安の悪化は免れます。あまり需要がなく利用率が低調だったとしても「税金分だけでも入ればいい」と考えている土地オーナーも多いため、少なくとも「持っているだけでマイナス」という事態も免れることができます。
税金など土地の所有コストをまかなえる
土地を所有していることによるコストは、税金だけではありません。空き家であればメンテナンスをしなければ劣化が進みますし、ひどい場合は倒壊のリスクもあります。更地のまま放置していると雑草やごみの不法投棄など厄介な問題が起きやすいため、それを防ぐためにフェンスや看板を立て、定期的にメンテナンスをするコストも必要です。
駐車場経営をする場合には、敷地を舗装します。舗装をすると雑草のリスクが減りますし、人間心理として草ぼうぼうで放置されている土地にはごみを捨てやすいですが、舗装されてしっかりと管理されている駐車場でごみを捨てようという気にはなりにくいものです。
駐車場経営をすることによって所有コストをまかなうことができるのは、こうした見えにくいコストからの解放です。
治安の悪化など土地の所有リスクを軽減できる
放置されている土地のリスクについて、治安の悪化を挙げてきました。このリスクは意外に大きく、特に都心部よりも住宅街など少し都心から離れたところにある土地でリスクが顕在化しやすいでしょう。人目が少なく、そこで良からぬことをしようと考える人が出やすくなるのです。
筆者が実際に見た事例では、不良少年がそこで盗んできたオートバイを分解したり解体する「アジト」として使われていたことがありました。警察からの指導で何か利用するか管理を徹底してほしいという話になり、結果としてコインパーキングにすることで解決をしたのでした。それほど利用実績は良くありませんでしたが、少なくとも治安悪化のリスクは解消することができました。
火災が発生すると延焼の責任を取らなければなりませんし、植栽が伸びすぎて隣家に入ってしまうとトラブルの原因になります。所有している土地を放置するとロクなことがないというのは多くの土地オーナーに共通する認識なのです。
変形地や狭小地でも始められる
L字型になっている土地など、変形地だとアパートやマンションの建築には不向きです。建てられないことはありませんが建築コストがかさむため、その分利回りが低下します。その点、駐車場経営であれば変形地であってもそれに合った駐車場にすれば良いだけなので、とても柔軟性があります。
また、1台や2台分しか停めるスペースがないのにコインパーキングとして営業しているところを見たことはないでしょうか。明らかに狭小地で建物を建てるには不向きである土地であり、何か活用法はないかということでコインパーキングを選択した結果だと思います。近隣に時間貸しの駐車場が少ない場所など、需要が高い場所であれば狭小地を有効活用できます。
投資額が少なく低リスク
数ある土地活用法の中で、駐車場経営は最も投資額が少ない部類に入ります。自分で駐車場経営をする人の中には、ホームセンターなどで砂利やアスファルトなどを買ってきて自分で舗装工事をする人もいます。看板などを自分で作って設置すれば、ほとんどお金をかけることなく駐車場が完成します。
これだけ低予算で始めた駐車場経営であれば、仮にそれがうまくいかなかったとしてもあまりダメージはありません。更地に近い状態になっているのでいつでもやめられることは駐車場経営の大きなメリットですが、低予算であるがゆえにやめるという決断をしやすいのも見逃せないメリットだと思います。
駐車場経営のデメリット5つ
駐車場経営にはもちろん、メリットだけでなくデメリットもあります。メリットと同じく5つの項目で解説します。
利回りは決して高くない
低リスク、低予算で始められる駐車場経営ですが、その裏返しとして決して利回りは高くなく、儲かるビジネスであるとはお世辞にも言えません。10台分の駐車スペースがある駐車場を経営していたとして、その駐車場が満車になっていたとしても、1台分の駐車場代が2万円であれば、10台分でも20万円です。
10戸ある一棟アパートやマンションを経営していてそれが満室になっているのであれば、収益はその3倍にも4倍にもなるでしょう。
手軽である分、それほど儲かるものではないという認識は最初に持っておくべきだと思います。
土地を購入してまで取り組むビジネスではない
それほど高い利回りにならないのですから、駐車場経営はそのための土地を購入してまで始めるようなビジネスではありません。あくまでも相続など本人の意思とは関係のない経緯で取得した土地がある人で、何か有効に活用できないかとお考えの方向けです。
税金面でのメリットがあまりない
不動産投資では税金面でのメリットを切り離すことができませんが、駐車場経営には節税などのメリットがあまりありません。建物があり、それが賃貸用であれば相続時の評価減など大きなメリットがあるのですが、駐車場の場合はそういった控除や特例がないため、税金対策で駐車場経営という概念はないとお考えください。
クルマ離れの傾向が収益に影響を及ぼす可能性
若者のクルマ離れが指摘されて久しいですが、若者以外の世代でもクルマ離れは確実に進んでいます。特に最近では高齢者の悲惨な交通事故が多発しており、高齢者の中には運転免許を返納する人が増えており、若者だけでなく高齢者の間でもクルマ離れが進んでいると見て良いでしょう。
クルマを持たない人が増えるということは、もちろん駐車場の需要も減少することになります。カーシェアなど新しいクルマの使い方も浸透しつつありますので、これからの駐車場経営はこうした新しい潮流を意識する必要があるかも知れません。
ちょっとした周辺環境の変化で大きな影響を受ける
駐車場を利用する人にとって、「どの駐車場に停めるか」というのは、あまり大きな問題ではありません。自分のクルマ利用で利便性が高い場所にある、駐車料金が安いといった点だけで選んでいる人が大半なので、周辺に新しい駐車場ができた時など周辺環境が変わると駐車場経営の環境も大きく変わることがあります。
競合となる駐車場の存在だけでなく、近隣に駐車場需要を喚起している施設などがある場合、それがなくなると駐車場経営への影響はとても大きいでしょう。
このように、駐車場経営は手軽である一方で経営の安定性もそれほど高くないのです。
駐車場経営を始める方法 月極(つきぎめ)駐車場編
ここからは、実際に駐車場経営を始めるための具体的な方法の解説です。ここではまず、月ごとの契約で利用する月極駐車場の始め方について解説します。
駐車場にしたい土地を整地する
所有している土地を駐車場として利用できるように、整地をすることからスタートです。空き家など建物がある場合は解体の必要があるので、その場合は専門の解体業者に依頼してください。すでに更地になっているのであれば、自分で砂利を敷いたり舗装工事をすることもできるので、予算や土地の状況に応じて業者に依頼をするか自分で整地をするかを検討してください。
なお、空き家など建物がある土地を駐車場にする場合は、その建物がなくなったことに対する登記上の手続きが必要です。この手続きは「滅失登記」といって、司法書士に依頼することもできますが、自分で法務局の窓口で手続きをすることもできます。
駐車スペースに線を引き、看板を立てる
整地をしたら駐車スペースを区切るための線を引きます。もちろん業者に依頼しても構いませんが、筆者が知っている駐車場オーナーは自分でこの作業をしています。簡易的な駐車場で良いというのであれば、「トラロープ」を地面に張って駐車スペースを区切っても問題ありません。
そこに月極の駐車場があることを知ってもらう必要があるので、看板も立てておきましょう。名前は好きに決めて構いませんが、多くの駐車場は土地オーナーの苗字を使って「〇〇モータープール」としているところが多く、この表記が最も分かりやすいと思います。
集客をする
月極駐車場の需要が高い地域であれば、看板を立てるだけで集客できるかも知れません。しかし、そうでない場合は他の方法でも集客活動をする必要があります。
看板の他に考えられる方法は、近隣の不動産業者によるあっせんと、ネットの利用です。近隣の不動産会社に駐車場を開業したことを伝え、客付けを依頼すると、その不動産業者に駐車場を探してほしいという依頼が入った時に、あなたの駐車場も紹介してくれるようになります。
もうひとつのネットを使った方法は手軽でお金もかからないので、おすすめです。以下の駐車場マッチングサイトに基本情報を登録しておくと検索結果に表示されるようになるため、効率良く集客することができます。
どのサービスもお金はかからないので、3つのサービス全部に登録しておくことをおすすめします。
駐車場経営を始める方法 コインパーキング編
コインパーキングとして駐車場経営をする場合は、自力で開業することは困難です。主要なコインパーキング業者に依頼をして駐車場の設営から運営などを委託する必要があります。
コインパーキング業者に相談する
最初にやるべきことは、コインパーキング業者への相談です。所有している土地をコインパーキングとして活用したいという旨を伝えると、専門業者の視点でその有望性や収支シミュレーションなどを提示してくれます。
ここでは大手や一部のコインパーキング業者をご紹介しましたが、これらの他にもそれぞれの地域に強い業者もあります。「コインパーキング 土地活用 〇〇(土地をお持ちのエリアの地名)」で検索をすると、地元に密着した業者を見つけられるかも知れません。
駐車場経営のシミュレーション提案を精査する
コインパーキング業者に相談をすると、その土地でコインパーキング経営をした場合にどんな収支になるのかというシミュレーションをしてくれます。近隣の競合や需要を見込めるような要素、そして料金設定など細部にわたるシミュレーションを提示されるので、まずはそれを精査してください。
このプロセスでひとつ注意したいのは、コインパーキング業者はせっかく問い合わせをしてくれた土地オーナーを逃したくないという思惑を持っているので、シミュレーションや提案の内容は若干「盛られている」とお考えください。そこで事業としての見込みなしという判断をしてしまうと土地オーナーはコインパーキング経営を諦めるか、他の業者のところに行ってしまうかも知れないからです。
話半分という言葉がありますが、あまり提案内容を鵜呑みにしないほうが賢明です。コインパーキング業者から提示されている内容は理想的な展開になった時の最大値であるとお考えください。
駐車場設置の準備、施工
シミュレーションの結果から事業性を見出すことができれば、正式にコインパーキング経営の始まりです。業者に依頼をする駐車場設置の準備や工事を行ってくれるので、それが完了したら営業開始です。基本的にお任せで大丈夫なので、業者からの報告内容を把握しておいてください。
コインパーキング業者は駐車場設置のプロでもあるので、とても慣れたもので駐車場設置の準備は早ければ数日で完了します。
駐車場経営の開始
準備が完了したら、コインパーキングによる駐車場経営の開始です。運営についても基本的に業者が行うため、駐車場の売り上げからコインパーキング業者の取り分である委託費などを差し引いた分が土地オーナーに支払われます。
この場合注意したいのは、ここまでの一連のプロセスを業者に任せている以上、自分で月極駐車場を経営するより手取り収入は少なくなるとお考えください。ほとんどオーナーは何もしなくて良い分、相応のフィーが発生するのは仕方ないことです。
駐車場経営を成功に導くために知っておきたいこと
最後に、駐車場経営を成功に導くためのノウハウとして、知っておくべきことを解説します。いずれも駐車場を経営している(したことがある)土地オーナーの声から拾ったもので、かなり実践的なものばかりです。
自分で駐車場経営をする場合は一括借上方式を選択しない
コインパーキング経営の場合は専門の業者に委託することが前提になりますが、月極駐車場の場合は自力で経営をすることも可能です。しかし、それだと手間がかかるということで駐車場管理業者に委託をする場合もあります。
駐車場管理会社との関わりは、主に2通りあります。以下の2通りですが、これらの中で選択してはいけないものがあります。
①管理委託方式
駐車場の経営自体はオーナーが行いますが、日々の細かい管理などを業者に委託する形です。基本的に委託する業務は駐車場代の回収と利用者の募集、そして滞納などのトラブルが発生した時の対応などです。
②一括借上げ方式
一括借上げという名前の通り、駐車場として利用する土地をそのまま業者に貸して運営全般を任せる方式です。前者であれば空車が発生するとオーナーの取り分が減りますが、こちらの一括借上げだと利用者数にかかわらず同じ金額がオーナーに支払われます。アパマン経営でのサブリースに似た仕組みです。
このうち、どちらが「選んではいけない方式」であるかお分かりでしょうか?正解は、後者の一括借上げです。一見は空車リスクをオーナーが取らなくても良いので安心できるように見えますが、業者もそのあたりは熟知しているので業者がこれなら取っても良いというリスクまでしか賃料を設定しないので、オーナーはほとんど儲かりません。
駐車場経営をしている土地オーナーの中には「税金分だけでも稼げればOK」という人も多くいますが、一括借上げだとそれすら満たせないことも多々あります。すべてのケースが当てはまるとは言いませんが、よほど良い条件ではない限り一括借上げは選択しないほうが賢明でしょう。管理委託でも儲からないのであれば、そもそも駐車場経営自体をやめれば良いのです。
常に「逃げ足」を意識する
駐車場経営のメリットは手軽であることです。始めやすいのと同時にやめやすいのもメリットであると述べました。このメリットはリスク管理の面でとても重要で、駐車場経営を最終的な形であると思わないほう良いでしょう。
これはどういうことかと言いますと、駐車場経営をしていても常に「何か他に良い活用法がないか」と可能性を求め続け、良いものが見つかればいつでもそちらに鞍替えをするというスタンスを持っておくということです。
すでに述べてきているように、駐車場経営はそれほど儲かるビジネスではありません。周辺の環境が変化してアパマン経営のほうが良いと思われるような状況があるのであれば、駐車場経営をやめて鞍替えをしたほうが良いかも知れません。
もしくは、期待していたほど儲からない割には手間やリスクがあるとお感じなのであれば、あまり固執せずにやめてしまうということも常に選択肢に入れておくのが良いでしょう。
せっかくの「やめやすい」というメリットをいかすためにも、駐車場経営では逃げ足を意識しておくのが賢明です。
収支シミュレーションはシビアに越したことはない
駐車場経営の収支シミュレーションに、楽観的な観測を持ち込むべきではありません。「思っていたほど儲からない」という声がとても多く、筆者もそれが真実であると思うからです。経営を始める前のシミュレーションでも辛めの予測にしておくに越したことはありませんし、いざ経営が始まってからもシビアな視点は持ち続けるべきです。
実際に始めてみたら思っていたほどの利回りにならなかったとしましょう。その時に「今が悪いだけでもっと駐車場のことを知ってもらえれば好転する」と考えるのは、とても危険です。なぜなら、その希望的観測が現実になった例をほとんど知らないからです。
逆に予想より良い利回りが出ている場合であっても、「今が良すぎるだけ」と考えておくのが妥当でしょう。シビアな視点を持つことの重要性はアパマン経営でも同じですが、駐車場経営には「やめやすい」というメリットがあるため、特にこの視点を持っておくことが重要になります。
本当に駐車場向きの土地かどうかを最終チェックする
変形地や狭小地でも始めやすいというのは、駐車場経営のメリットであると述べました。このこと自体は大きな問題ではないのですが、駐車場に利用する予定の土地は、「クルマが出入りする」という前提があります。そこでチェックしたいのは、「クルマが出入りしやすいか」どうかです。
よくあるのが、前面道路が狭くクルマが一度のハンドル操作では入出庫ができないというケースです。土地の形状や広さ自体に問題はなくてもクルマの出入りが難しいと初心者ドライバーなどに敬遠される可能性大です。
さらに厄介なことに、再建築不可となっている土地の多くは前面道路の狭さや接道の少なさが原因です。再建築不可の土地に建っている建物が老朽化している場合は手直しだけでは使いものにならず、やむなく解体して更地にしたら駐車場や資材置き場など建物が不要な活用法しか選択肢がありません。そのため駐車場経営を選択したものの、再建築不可となっている原因がそのまま駐車場としての利便性にも影響を及ぼしてしまうというわけです。
この他にも、近隣にある駐車場が満車になっているかどうかというチェックも重要です。空車がちであまり駐車場の需要がないと思われるようなところで駐車場経営を始めても価格競争に巻き込まれてしまい、利回りの低下を招きます。
駐車場経営は土地を持っていれば何もしなくても儲かるというイメージをお持ちの方もおられたかも知れませんが、決してそうではないことがお分かりいただけたと思います。その前提に立って、果たしてその土地で駐車場経営を始めて勝算があるかどうかは十分に精査しましょう。
まとめ
活用法を考えあぐねている土地オーナーの方を対象に、駐車場経営のビジネスとしての採算性やメリット、デメリット、そして具体的に経営を始める方法、さらに駐車場経営を成功に導く(失敗を回避する)方法まで解説してきました。
どの情報も実際に駐車場経営をしている多くの人から得られた声やその結果などから導き出されたものなので、これから駐車場経営をお考えの方はぜひ参考にしてください。