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マンションの修繕積立金とは?どこか判然としない出費の重要性を解説

By Oh!Ya編集部

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マンションの修繕積立金とは?どこか判然としない出費の重要性を解説

マンションを所有していると必ず発生するのが、修繕積立金です。分譲マンションを購入した方にとっては家賃負担がないことが最大のメリットですが、家賃の有無とは無関係に修繕積立金は発生します。

また、不動産投資家にとっての修繕積立金は、物件を維持するために必要なコストです。

この修繕積立金について、そもそも何に必要なお金なのかよく分からない、値上げされることに不満を感じるといったように、どこかモヤモヤした感情をお持ちの方は多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、マンションに付き物の修繕積立金をしっかり理解できるだけの情報を網羅していきます。

目次

マンション修繕積立金の基本が分かる5つの疑問

マンションの修繕積立金っていったいなに?というモヤモヤした状態をまずは解消するために、マンション修繕積立金に関する5つの疑問にお答えします。

修繕積立金とは?

マンションには必ず、10年から15年に1回のペースで大規模修繕工事があります。これをしないとマンションの外観や設備面での快適性を維持できないだけでなく、補強をしないと建物本来の強度を維持できなくなることもあります。

必ずやってくる大規模修繕工事に備えて、一度に多額のお金を負担しなくても済むように積み立てているのが、修繕積立金です。

大規模修繕工事については、いつ行うのか、どんな工事を行うのかといった修繕計画を立てているため、その計画に基づいて見積もられた工事費用を毎月の支払い分に割ったものが、修繕積立金として徴収されています。

修繕積立金は誰が支払う?

修繕積立金を支払うのは、そのマンションの中にある物件を所有している区分所有者です。分譲マンションを購入して自分が住んでいる場合は、そのまま所有者が自分の家の修繕工事のために積立金を支払うという形になります。

不動産投資家が区分マンションを所有している場合、物件所有者である家主が修繕積立金を支払うことになります。しかしこれは入居者から受け取る家賃や共益費などにある程度転嫁している場合が多く、その場合は修繕積立金を事実上負担しているのは入居者ということになります。

修繕積立金はどうやって金額が決まっている?

修繕積立金は、名前の通り積立金です。10年から15年に1回行われる大規模修繕工事に必要な費用を算出し、それを工事が行われる時(工事費用を支払う時)までに毎月コツコツと積み立てることで一時的な高額負担を緩和する仕組みです。

最初にマンション全体の大規模修繕工事に必要な費用の見積もりを取り、その費用を各区分所有者で割ります。この場合、専有面積が大きな物件を所有している人ほど負担分も多くなるので、区分所有者で応分負担することになります。

それを大規模修繕工事が行われる時までの年数で割り、さらに12で割ったものが、毎月の修繕積立金となります。

同じマンションの中でも修繕積立金の金額が違うというのは、専有面積の違いによるものです。このことを知らなければ不公平感があると思いますので、まずは修繕積立金が応分負担であることを押さえておいてください。

この計算について詳しくは、次章で解説します。

修繕積立金が高く感じるのはなぜ?

この修繕積立金について何となくモヤモヤした感情をお持ちの方は、その金額についても高いという印象をお持ちではないでしょうか。人間は納得のいかないお金を支払う時に必ず高いと感じるもので、修繕積立金の目的や主旨が分からない状態で請求されても、高いと感じるのは当然のことです。

しかも修繕積立金は後になってから値上げすることが多々あります。ただでさえ高いと感じているものがさらに値上げとなると、「本当にそれだけの金額が必要なのか?」という疑念を持ってしまったとしても無理はないでしょう。

これも後述しますが、修繕積立金はおおむね1万円台から2万円台程度の負担というのが一般的な相場です。これを大きく逸脱するような高額になっている場合は高いと感じても当然ですが、一般的なマンション物件でこの相場に収まっている場合は、実はそれほど高いわけではないのです。

修繕積立金って本当に修繕のために使っているの?

修繕積立金という名目で毎月お金を徴収されているが、果たしてそのお金は本来の用途に使っているのか?という疑念も、多くの方がお持ちだと思います。一般的には数万円くらいが相場の修繕積立金ですが、一部のタワーマンションなどでは5万円を超えるような金額になることもあります。

こうなると余計に「高い」と感じるのと同時に、使い道に対する疑念が生じてしまうのは無理もないでしょう。

しかし、こうした修繕積立金についてはすべての情報が開示されています。大規模修繕計画の概要とそれに要する費用、そして修繕積立金の負担額がいくらになるのかといったデータを管理組合が持っているので、それを閲覧すると全容が分かります。

修繕積立金の行き先に疑念がある場合はこうした資料を見ることでその疑念を晴らすことができますが、多くの場合、新たな大規模修繕計画を立てる際に住民説明会を行っているので、その席上で確認するのが最も手軽です。

修繕積立金の金額が決まる仕組み

前章で少し解説しましたが、ここでは修繕積立金の金額がどうやって決まっているのかという点について解説していきたいと思います。あまり正確に計算できるようになっておく必要はないと思いますので、金額に納得できるレベルの情報をお伝えしたいと思います。

毎月の修繕積立金が決まるまで

毎月の修繕積立金の金額は、大規模修繕計画での見積価格が根拠になっています。どんな工事をするのかについては後述しますが、定期的な大規模修繕を行わないとマンションは劣化が進み、資産価値が低下するばかりか危険な建物になってしまう恐れもあります。

そのため定期的な大規模修繕工事が義務づけされており、それに要する費用を区分所有者で応分負担するというのが修繕積立金の主旨です。

そのため修繕積立金の金額は、大規模修繕工事に要する費用、専有面積、物件戸数、積立期間で決まります。

修繕積立金の計算方法

それでは、修繕積立金がどのように算出されているのか、順を追って解説していきましょう。

①大規模修繕計画の見積もり
マンションの大規模修繕工事が終ると次回の大規模修繕工事に関する計画と見積もりを作成します。それによって、積立開始段階の工事費用が確定します。

②区分所有者の負担分を算出する
全体の修繕工事費用が確定したら、次は区分所有者の戸数で費用を割ります。ただし、単純に割り算をするのではなく、専有面積に応じて応分負担という形で調整します。

③それぞれの区分所有者の負担分を積立期間で割る
各区分所有者の負担分を算出し、それを積立年数で割ります。さらに修繕積立金は毎月支払うものなので、年数で割ったら次は12で割ると、毎月の負担額が確定します。

大規模修繕工事で行われる工事の内容

ところで、大規模修繕工事ではいったいどんな工事を行うのでしょうか。参考までにそれも解説しておきたいと思います。マンションによって多少の違いはありますが、おおむね以下のような工事が行われます。

  • 外壁、屋上の改修(外観部分)
  • 手すりなど管内設備の塗り替え、交換
  • 給排水設備の更新
  • 受水槽の更新
  • エントランス部分のポスト改修、交換
  • 駐車場、駐輪場などの設備を必要に応じて修繕、更新
  • インターホンリニューアル
  • 必要に応じて災害対策(耐震補強など)

これを見ると、「大規模修繕」という名前が示すほどの大工事であることがお分かりいただけると思います。これを一度に支払うとなるとかなりの高額になってしまうため、それを毎月に分割して積み立てているわけです。

修繕積立金は運用されている

これはあまり知られていないかも知れませんが、修繕積立金は運用されています。そのお金を使う時期があらかじめ分かっているため、それまでの期間を使って少しでもお金を増やすために運用されているというわけです。

運用しているといっても、その運用成績は決して良くはありません。よくあるのはマンション管理会社が発行している社債を購入したりほとんど元本保証に近いような債券で運用していることがほとんどなので、利率は年利1%にも満たないようなレベルです。あまり運用益は期待できませんが、修繕積立金を預かっている側も何もしていないわけではないということです。

修繕積立金の相場は?

先ほどから何度か、修繕積立金の金額について相場をご紹介してきました。大まかな相場として「一般的なマンションは1万円台、高級マンションやタワーマンションは数万円、さらに特殊な設備などがあるマンションだと5万円程度」という感覚を持っておけば良いと思います。

これを見てもお分かりのように、世の中にあるほとんどのマンションは修繕積立金が1万円台です。少し築年数が古くなってきて修繕箇所が多くなってくると、それが2万円台になるという感覚で良いでしょう。

あとは、高級マンションによくあるスイートルームのような部屋、とりわけ専有面積が200平方メートル以上あるようなマンションだと、修繕積立金は最低でも3万円程度になります。

修繕積立金にはガイドラインがある

修繕積立金には相場があり、ほとんどのマンションはその相場に近いところで修繕積立金を徴収しているわけですが、これは単なる偶然ではなく、国によるガイドラインがあるためです。ガイドラインに準拠した大規模修繕計画を立てると、修繕積立金も同じような金額なるというわけです。

一般の方や不動産投資家が熟知しておく必要はなく、国土交通省が2008年に定めたガイドラインがあるということを知っておけばOKだと思います。そのガイドラインの内容については、以下の公式サイトから閲覧することができます。

【参考】マンションの修繕積立金に関するガイドライン(国土交通省)

修繕積立金についてどうも腑に落ちない方へ

修繕積立金にはどういう用途や意義があり、それがどのように使われているかいう点に解説をしてきました。これでモヤモヤを晴らしていただければ良いのですが、それでもなお腑に落ちないという方もおられることでしょう。そんな方のために、修繕積立金についての追加情報をご紹介しましょう。

修繕積立金という仕組みの意義

すでに述べてきていることですが、ここで今一度修繕積立金の意義について整理をしておきましょう。修繕積立金があるおかげで、マンションの区分所有者には以下のようなメリットがもたらされます。

①大規模修繕時に一時的に大金を負担しなくて済む
②共用部分が充実する
③資産価値を保つために資する
④突発的な出費があっても充当できる

定期的に必要となるメンテナンスを適切に行っておくことでマンションの安全性や快適性が維持され、その延長線上として資産価値も維持されるというのが、大規模修繕工事の大きな意義です。そのための費用が修繕積立金なので、上記のような効果はすべて修繕積立金があるからこそです。

ただし、④の突発的な出費への対応はその時こそ難を逃れることができますが、本来積み立ててきた大規模修繕の費用に穴が開いてしまうので、いずれ修繕積立金が値上げされる原因になります。

また、最近では治安に対する懸念の高まりから、大規模修繕の機会を利用してマンションのセキュリティを向上する動きが顕著になっています。防犯カメラの設置および増設、またオートロック機能の強化など、セキュリティを向上させるためにも使われるお金なので、ここにも修繕積立金の意義はあると思います。

修繕積立金がないマンションはある?

修繕積立金の支払いを快く思っている人はいないということで、それなら修繕積立金という制度がないマンションはあるのかというと、それは無いと言い切れます。仮に制度として運用されていなかったとしても、別の名目で集められたお金が大規模修繕費用に充当されているはずです。

これだと修繕積立金制度よりも不透明感が増してしまうので、修繕積立金が制度として独立しているほうが健全であると考えるべきです。

修繕積立金はマンション所有のリスク要因?

修繕積立金を考慮していなかった人にとって、想定していなかった出費が毎月あるのですからこれをリスク要因だと見なす考え方もあります。仮に想定していたとしても、当初の金額よりも修繕積立金が値上げされることがあるため、そうなるとリスク要因だと感じる人が多くなっても無理はありません。

また、修繕積立金は賃貸マンションに入居している人には無縁の費用です。もちろん家主が家賃などに転嫁している可能性はありますが、全額丸々転嫁してしまうと家賃面での競争力低下につながってしまうため、結局はマンション所有者だけにある負担だということになります。

これは不動産投資家だけでなく、分譲マンションなど自己居住用のマンションを所有している方にとっても同様です。

大規模修繕を担う会社が分譲会社と同じだとツーカー?

分譲マンションや投資向けマンションなど、購入者が自ら所有することになるマンションでは、多くの場合管理会社はそのマンションを開発したディベロッパーの系列会社です。日本全国に高いシェアを持つマンションディベロッパー大手の「長谷工」が開発したマンションの場合、その多くには「長谷工コミュニティ」という管理会社が入っています。社名を見ても分かるように、長谷工コミュニティは長谷工の子会社です。

このようにディベロッパーの系列会社が管理業務を受託しているという構図を見ると、何となく「ツーカーの関係」「内輪のお手盛りで管理費や修繕積立金を決めている」という印象を持ってしまうこともあるでしょう。事実、過去にはディベロッパー系列の管理会社が相場よりも高い料金で管理業務を受託していたという事例がありました。こういった事例が明るみに出ると、やはりお手盛り感は払拭できないでしょう。

今もこうした構図が完全にないとは言い切れませんが、以前と比べると大幅に改善しています。何よりも情報がすべて開示されているので、チェックする気になればいつでもお金の流れや取り扱いを知ることができます。

お金の取り扱いを透明化し、情報を開示している現在では、その気になればいつでもチェックできる環境にあるため、以前ほど不明瞭な会計処理をしているとは考えにくいと思います。

修繕積立金が今後値上がりするって本当?

マンションの修繕積立金について疑念をお持ちの方に、追い討ちをかけるような事実があります。それは、修繕積立金の値上げです。実は修繕積立金の値上げは多くのマンションで現実に起きており、ただでさえ疑念や不信を抱いている人にとって、この値上げがモヤモヤ感が一層増大する原因になってしまうのです。修繕積立金の値上げ事情について、詳しく解説していきましょう。

多くのマンションで修繕積立金が値上がりしている

マンションの修繕積立金が値上げされているマンションは、決して珍しくありません。現在マンション物件を所有されているのであれば、すでに値上げを経験した方も多いのではないでしょうか。まだ値上げを経験されていなかったとしても、今後高い確率でそのマンションの修繕積立金は値上げされると思います。

なぜ修繕積立金が値上がりするのか

修繕積立金という毎月負担しているお金が値上げになるというのは、穏やかなことではありません。いったいなぜ、修繕積立金が当初の金額よりも値上げになってしまうのでしょうか。考えられる理由は、主に3つあります。

①材料価格の上昇
昨今では新興国の旺盛な需要などが押し上げる形で、あらゆるものの価格が値上がりしています。大規模修繕工事で使用する材料も例外ではなく建築資材も値上がりを続けており、それによって当初の大規模修繕計画に狂いが生じてしまいます。人手不足の影響もあって人件費も高騰しており、これらの価格相場が今後下がっていくとは考えにくいので、この理由による修繕積立金の値上げバイアスは引き続きかかってくると思われます。

②最初の見通しが甘かった
材料価格や人件費の上昇に伴う工事費用の増大は、やむを得ない部分もあります。それに対して多くの方が納得できないのが、見通しの甘さです。

例えば30年は交換不要だと思っていた部品が半分の15年で劣化してしまい、交換しなければならないといったような場合です。2回の大規模修繕工事のうち1回交換すれば良いと思っていたものが、実際には毎回交換しなければならないとなると、その分工事費用は増えます。こうしたことが各所で起きて積み重なることによって修繕積立金の値上げになるというのは、見通しの甘さという「人災」です。

もうひとつ、タチが悪いのは最初から故意に修繕積立金を低く見積もっていた場合です。マンション販売の段階で少しでも月々の負担を少なく見せるために当初は修繕積立金を少なく見積もっておき、後になって本来の価格に値上げするというパターンです。この場合、初期段階で十分な修繕積立金を徴収できていないので、値上げ幅はその影響を受けてしまうでしょう。

マンションの管理組合で不満が噴出しやすいのは、特に後者の理由によって修繕積立金が値上げされるケースです。故意による部分が否定できないため悪質ですが、実際には多くのマンションで起きていることなので注意が必要です。

③突発的な出費があった
自然災害のリスクが高まっている昨今、マンションが自然災害など突発的な事態による被害を受けてしまうケースが増えています。突発的な事態だからといって修繕しなくても良いはずはなく、特別予算を組んで修繕をすることになります。この分は大規模修繕工事のために積み立てていたものからの取り崩しになるため、その穴を埋めるための値上げは大いにあり得ます。

修繕積立金の値上げが多い時期

突発的な事情を除くと、修繕積立金の値上げは築15年を経過した頃から起きやすくなります。築15年というと、新築から数えて1回目の大規模修繕工事を終えた直後です。

1回目の大規模修繕工事は新築時の想定通りの内容になる可能性が高いですが、2回目以降はそうはいきません。1回目の大規模修繕工事を実施した際に予想以上に傷んでいる部分が見つかったら、それが次回の工事では追加修繕箇所になります。1回目よりも2回目、2回目よりも3回目といった具合に修繕箇所が増えていくのは避けられないので、築15年以降は修繕積立金の値上げが起きやすくなるわけです。

値上げがなくても「一時金徴収」がある場合も

修繕積立金の値上げを好ましいと思う人は少ないと思いますが、それよりもさらに由々しき事態があります。それは、修繕費用の一時金徴収です。

次回の大規模修繕工事に備えて費用が足りないという理由から修繕積立金を値上げするわけですが、この準備が間に合わないことがあります。修繕工事直前になって予想外の要修繕箇所が見つかった場合など、積み立てが間に合わない場合は一時金徴収という形で不足分を集めることになります。

この場合、一時金は決して安い金額ではないことが多く、少なくとも数十万円規模になります。修繕積立金の値上げも嬉しくありませんが、一時金徴収よりもマシだと考えることもできます。

さすがに一時金徴収は揉め事の原因にもなりがちなので、現実に起きる可能性はそれほど高くはありません。しかし実際に起きているのは事実なので、「そんな事態もあり得る」と認識しておいてください。

グレードアップに伴う修繕積立金の値上げパターンもある

修繕積立金という名前からは、マイナスになってしまったものをゼロに戻すというニュアンスを感じます。これだけだと資産価値を維持するという守りの姿勢ですが、せっかくの大規模修繕だからということで、その機会に設備や外観、内装などをグレードアップする場合もあります。この場合、グレードアップ分は当初の修繕計画にはなかったものなので、修繕積立金の値上げは必至です。

さすがにこうした攻めの修繕工事をするには、区分所有者の合意形成が欠かせません。一部の所有者が勝手に決めて進めるわけにはいかないので、マンションの管理組合の中で話し合いの場が持たれます。

資産価値の向上や利便性、快適性を向上するためにグレードアップをする提案がなされたら、まずご自身がそれに賛成するのか反対するのかという意思決定をする必要があります。こうした提案が出てくるのは高級マンションがほとんどなので金銭的な障壁はあまりないかも知れませんが、コストパフォーマンスにどこまで見合っているかという視点は重要になります。

多くのマンションで修繕積立金が破綻しているという説について

現在建っている多くのマンションで、実は修繕積立金がすでに破綻状態にあるという説があることをご存知でしょうか。破綻状態というと聞き捨てなりませんし、自分が所有しているマンションは大丈夫なのかという不安を払拭するために、修繕積立金破綻の噂について真相を解き明かしていきたいと思います。

修繕積立金の破綻とは何か

材料価格や人件費の高騰など、修繕積立金が値上げされる要因についてはすでに解説しました。これがさらに深刻化すると、値上げや借り入れ、一時金徴収だけではまかないきれず、修繕積立金の運用自体が破綻状態になってしまいます。

修繕積立金が破綻するということは、次回の大規模修繕工事を予定通り行えなくなります。そればかりか日常的な出費についても支障が生じる可能性もあるので、マンションの運営以上重大な問題になります。

修繕積立金が破綻すると、どうなる?

修繕積立金が破綻してしまうと、そのマンションはどうなってしまうのでしょうか。起こりうる事態を、時系列に追ってみましょう。

①マンションが荒廃する
十分な修繕やメンテナンスができなくなるため、マンション全体が荒廃します。設備の十分な行進もできなくなるため、快適性も損なわれるでしょう。

②資産価値が低下する
マンションの資産価値は、放っておくと低下していきます。それを食い止めるのが大規模修繕工事なのですが、修繕積立金を十分に用意できなくなると資産価値の低下が始まります。

③売却、退去者が増える
マンションが荒廃し、資産価値が低下し始めると、そのマンションに住む理由が薄れてきます。売却する人、賃貸入居者の退去など、そのマンションを去っていく人が増えます。売りに出しても修繕積立金の支払い義務は続きますが、経済的に破綻してしまった人が出てくると徴収することができず、本来入ってくるはずの積立金にも穴が開いてしまいます。

こうした現象が連鎖的に起き、負のスパイラルに陥ったマンションがその後どうなっていくかは、もはや言うまでもないでしょう。

なぜ修繕積立金が破綻するのか

想像しただけでも恐ろしい修繕積立金の破綻ですが、そもそもなぜこのようなことが起きてしまうのでしょうか。考えられる理由は、2つあります。

①最初から修繕積立金に対する見通しが甘かった
②修繕積立金の値上げに反対する圧力が強く不足を補えなかった

1つ目についてはすでに解説してきた通りですが、2つ目の問題も意外に多く起きています。やはり誰しも毎月支払うお金が増えることを好むわけはなく、強硬な反対意見が出ると値上げしようにもできなくなってしまい、それが続くと深刻な資金不足に陥り、破綻につながります。

修繕積立金の破綻回避に必要なこと

修繕積立金の不足が発生したら、区分所有者に対する値上げで補うしか健全な解決策はありません。しかしそのための合意形成が難しいのであれば、以下のような対策を講じることで破綻を回避する必要があります。

①大規模修繕工事の工事費について根拠を明確にする
ディベロッパーの系列会社が管理業務を行っている場合など、ツーカーになっている業者だと不当に高いことがあります。他の大規模修繕専門の業者に相見積もりを取り、その見積もりが妥当なのかを広い視野でチェックしてみるのが良いと思います。

②合意形成で積立金の値上げを合理的に行う
その上で根拠のある説明を行い、修繕積立金の値上げに合意を取り付けるのが、最も健全で確実な方法です。必要な値上げをしないのは修繕積立金全体の破綻リスクを高めるだけなので、一人ひとりの区分所有者が納得できる形を模索するのが王道なのです。

まとめ

修繕積立金に対して、どこか懐疑的な目を持っている方は多いと思いますが、この記事をお読みになってそのイメージは一新されましたでしょうか?よく分からないものに毎月お金を出すのはモヤモヤ感を残してしまいますが、マンションの維持管理に必要なものであり、適切な大規模修繕工事をしなければ安全性や快適性にも影響が出てしまうものなので、適切な金額を知ることで納得のいく修繕計画にお役立てください。