投資用不動産の購入費用で知っておくべき4つのポイント
By Oh!Ya編集部
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投資用不動産を購入するときには費用がかかります。購入時の費用は、物件によっては100万円をゆうに超す金額になるので、その金額は事前に知っておく必要があるでしょう。
そこでこの記事では、投資用不動産を購入するときには費用はどのくらい必要なのか?を価格帯別で紹介し、その後に費用の内訳などの詳細を解説していきます。
不動産の購入を検討している人はぜひ参考にしてみてください。
目次
不動産の購入費用はいくらか?
まずは、不動産の購入費用を価格帯別に解説していきます。目安としては、新築物件なら売買価格の4%~5%、中古物件なら7~8%です。
以下では、新築物件は4.5%、中古物件は7.5%で計算しています。
売買価格 | 中古物件 | 新築物件 |
---|---|---|
500万円 | 37.5万円 | 22.5万円 |
1,000万円 | 75万円 | 45万円 |
1,500万円 | 112.5万円 | 67.5万円 |
2,000万円 | 150万円 | 90万円 |
2,500万円 | 187.5万円 | 112.5万円 |
3,000万円 | 225万円 | 135万円 |
3,500万円 | 262.5万円 | 157.5万円 |
4,000万円 | 300万円 | 180万円 |
5,000万円 | 375万円 | 225万円 |
6,000万円 | 450万円 | 270万円 |
7,000万円 | 525万円 | 315万円 |
上記は、物件によっても異なりますし、借入をどの金融機関で行うか?また、いくら借り入れるか?によっても異なります。
そのため、あくまで目安金額として認識し、次章以降の内訳をしっかりと理解していきましょう。
1.仲介手数料
不動産購入にかかる費用の1つ目は仲介手数料です。仲介手数料に関しては以下を知っておきましょう。
- 新築物件はかからない
- 仲介手数料率は決まっている
- 仲介手数料は上限金額と思っておく
仲介手数料が発生する「中古物件購入」の場合は、購入費用の中で最も高額になるのが仲介手数料です。
新築物件はかからない
まず、仲介手数料とは不動産会社に物件を仲介してもらったとき…言い換えると物件の「売り手」と引き合わせてくれたお礼として支払う手数料になります。
そのため、「中古」物件の購入時に発生する費用であり、新築物件購入時は発生しません。というのも、新築物件は売主が不動産会社になるので、「仲介」されているわけではないからです。
前項の「価格帯別の不動産購入費用」で新築の方が安価なのは、この仲介手数料が発生しないからです。
仲介手数料率は決まっている
前項のように、中古物件を購入するときには基本的に仲介手数料がかかります。そして、その仲介手数料は以下のように売買価格によって利率が決まっているのです。
売買価格 | 仲介手数料率(税抜き) |
---|---|
200万円未満 | 売買金額×5% |
200万円超~400万円以下 | 売買金額×4%+2万円 |
400万円超 | 売買金額×3%+6万円 |
大半の物件は400万円を超えているので、仲介手数料は「3%+6万円」と思っておいて良いでしょう。
たとえば、3,500万円の中古マンションを購入した場合には、「3,500万円×3%+6万円=111万円(税抜き)」が仲介手数料になります。
仲介手数料は上限金額と思っておく
前項で解説した仲介手数料は、不動産会社が売主・買主に請求して良い上限金額です。
つまり、3,500万円の不動産売買の場合には、仲介した不動産会社は買主・売主にそれぞれ111万円(税抜き)ずつ請求して良いということです。
言い換えると、111万円(税抜き)以下でも問題ないのですが、不動産会社の多くは上限金額で請求してくると思っておきましょう。
売買価格帯別の仲介手数料
売買価格別の仲介手数料は以下の通りです。消費税は8%で計算しています。
売買価格 | 仲介手数料の上限 | 内消費税 |
---|---|---|
1,000万円 | 388,800円 | 28,800円 |
1,500万円 | 550,800円 | 40,800円 |
2,000万円 | 712,800円 | 52,800円 |
2,500万円 | 874,800円 | 64,800円 |
3,000万円 | 1,036,800円 | 76,800円 |
3,500万円 | 1,198,800円 | 88,800円 |
4,000万円 | 1,360,800円 | 100,800円 |
5,000万円 | 1,684,800円 | 124,800円 |
6,000万円 | 2,008,800円 | 148,800円 |
仲介手数料率が低い不動産会社
不動産会社の中には、仲介手数料率を元々低く設定している会社もあります。たとえば、本来であれば「3%+6万円」のところを、「1.5%+6万円」などです。
また、仲介手数料率を値引くことも不可能ではありませんが、難易度は高いと思っておきましょう。
どうしても仲介手数料率を抑えたいのであれば、最初から仲介手数料率が低い…もしくは相談可能な不動産会社経由で物件を買うことをおすすめします。
2.融資関係費用
不動産購入にかかる費用の2つ目は融資関係費用です。融資関係費用については以下を知っておきましょう。
- 手数料
- 保証料
- 火災保険料
上記の費用は金融機関などによって大きく異なり、高額になる場合もあります。そのため、ローンを組む際は、金利面以外にも上記の「諸費用額」を比較して、金融機関を選んだ方が良いでしょう。
手数料
手数料は金融機関によって異なりますが、一般的には2万~5万円程度が多いです。ただし、借入金額の1~3%など、借入額に対して利率を設定している金融機関もあります。
仮に、手数料が「借入金額の3%」であり、その金融機関から3,000万円を借り入れるなら、手数料は90万円になるということです。
保証料
保証料は少々仕組みが複雑なので、以下の順番で解説していきます。
- 保証料とは?
- 保証料の金額
- 手数料と保証料のバランス
- 保証料の返還について
保証料とは?
保証料とは保証会社に支払う費用のことであり、保証会社は借入者が返済できない状態になったときに、借入者の代わりに残債を金融機関へ支払う会社です。
とはいえ、借入者の債務(借金)が免除になるわけではなく、借入者にとっては債権者が金融機関から保証会社に代わるだけです。
ただ、金融機関は借入不能の状態になったときのために保証会社を付けるので、借入者は保証料を支払う必要があります。
保証料の金額
保証料の金額も手数料と同じく、数万円の金融機関もあれば、「借入金額×2%」などと設定している金融機関もあります。
仮に、「借入金額×2%」と設定している金融機関で3,000万円借り入れるなら、60万円の保証料ということです。
手数料と保証料のバランス
手数料と保証料はバランス良く設定している金融機関が多く、たとえば以下のような設定です。
- 手数料が借入額の2%だけど保証料はゼロ円
- 保証料が借入金額の2%だけど手数料は2万円
つまり、手数料が借入金額の3%で、保証料も借入金額の2%…というパターンは、さすがに諸費用が高くなり過ぎるので、このような設定をしている金融機関はないでしょう。
保証料の返還について
上述したように、保証料は借入者が返済不能になったときのために支払う金額なので、保証会社が「保証している条件」が変われば保証料は返還されます。
たとえば、借入期間30年で、3,000万円借入をしたときの保証料が60万円だとします。この場合は、保証会社は「借入期間30年間」の保証料として60万円をもらっていることになります。
そのため、仮に借入者が繰り上げ返済をして、借入期間が5年短縮されれば「保証する期間が5年短縮した」ということです。
そうなると、「借入期間25年間の保証」になるので、保証料は一部返還されるのです。ただし、繰り上げ返済に手数料がかかるケースが多いので、その手数料の分はマイナスになります。
火災保険料
また、融資関係費用には火災保険料もあります。というのも、金融機関でローンを組むときは、火災保険には必須加入だからです。
なぜなら、金融機関は物件に担保設定をするので、その物件が火災などで毀損・滅失したときのリスクヘッジをしたいからです。
火災保険料
損保ジャパン日本興亜さんのサイトで火災保険料をシミュレーションできるので、事例として以下の物件で火災保険料をシミュレーションしてみましょう。
- 物件種別:マンション
- エリア:東京都
- 洪水や土砂災害の心配:あり
- 築年数10年
- 広さ:30㎡
- 家財補償:なし
その結果、建物の保険金額は530万円で、加入者が支払う保険料は2,850円(年間)です。仮に、300万円の家財保証を付けると4,890円(年間)になります。
ただし、プランなどによっても異なるので、あくまで参考として認識ください。
地震保険は増額になる
火災保険は地震によって起こる火災などには対応していないので、地震による火災にも対応したい場合は地震保険を設定する必要があります。
地震保険は必須加入ではなく任意ですが、火災保険よりも保険料は高いです。
たとえば、前項の物件では火災保険料は2,850円(年間)でしたが、地震保険を付けることで9,480円(年間)まで上がります。
そのため、地震保険に加入するかどうかは、そのエリアで地震による被害がどのくらい?などを検証してから判断すると良いでしょう。
3.登記関係費用
不動産購入にかかる費用の3つ目は登記関係費用です。登記関係費用については以下を知っておきましょう。
- 登記とは?
- 登録免許税
- 司法書士報酬
登記とは?
登記とは不動産などの権利を証明することであり、不動産購入における登記は以下の通りです。
- 所有権保存登記:新築物件購入時
- 所有権移転登記:中古物件購入時
- 抵当権設定登記:ローン借入時
所有権の保存・移転に関しては、その不動産の所有権が自分であることを証明するための登記です。また、抵当権設定登記はローンを借りたときに、金融機関が不動産に担保設定する際の登記になります。
このような登記の際に、以下で解説する登録免許税という税金と、登記手続きを依頼する司法書士への報酬が「登記関係費用」になります。
登録免許税
登録免許税の計算式は以下の通りです。
- 不動産取得の場合の登録免許税額 = 固定資産税評価額 × 税率
- 抵当権設定の場合の登録免許税額 = 抵当権設定金額(借入額) × 税率
登録免許税の税率
前項の計算式の「税率」には以下を当てはめて計算します。
登記の種類 | 土地 | 建物 |
---|---|---|
所有権保存登記 | なし | 0.4%(新築は0.15%) |
所有権移転登記 | 0.15% | 0.2% |
抵当権設定登記 | 0.04%(条件を満たせば0.01%) | 左記の通り |
登録免許税の計算例
たとえば、建物の固定資産税評価額が2,000万円、土地が1,500万円の中古マンションを、2,500万円の借入で購入する場合の登録免許税は以下です。
- 所有権移転登記(建物):2,000万円×0.2%=4万円
- 所有権移転登記(土地):1,500万円×0.15%=2.25万円
- 抵当権設定登記(軽減無し):2,500万円×0.04%=1万円
上記のように、合計で7.25万円の登録免許税になります。ただ、登録免許税は都度改正されたり、軽減税率の条件が複雑だったりするので、不動産会社にきちんと概算見積書を出してもらいましょう。
司法書士報酬
司法書士報酬は司法書士によって異なりますが、一般的には5万円~10万円になります。
あまり知られていませんが、実は司法書士の資格を保有してなくても登記はできます。しかし、手続きが煩雑で複雑なので、司法書士に依頼することがほとんどです。
また、ローンを借り入れるときは金融機関が手続きを簡素にするため、登記は司法書士に委任するよう促します。
そのため、仮に司法書士の資格を持っていないけど自分でやろう…と思っている人も、ローンを組む場合は自分で登記するのは難しいと思っておきましょう。
4.印紙税
不動産購入にかかる費用の4つ目は印紙税です。印紙税については以下を知っておきましょう。
- 印紙税とは?
- 印紙税の金額
- 印紙の注意点
印紙税とは?
印紙税とは、経済取引に伴い作成される文書にかかる税金のことで、不動産購入においては以下2つの書面にかかってきます。
- 不動産の売買契約書
- 金銭消費貸借契約書
印紙は郵便局などで購入することができ、切手のような形状をしています。その印紙を上記の契約書に貼り付け、割り印を押すことで納税したと見なされます。
印紙税の金額
印紙税は、国税庁により、以下の通り定められています。
売買金額 | 印紙税額 |
---|---|
100万円超~500万円以下 | 2,000円 |
500万円超~1,000万円以下 | 10,000円 |
1,000万円超~5,000万円以下 | 20,000円 |
5,000万円超~1億円以下 | 60,000円 |
上記は、売買契約書も金銭消費貸借契約書も同じです。
たとえば、3,000万円の不動産売買契約書の印紙税は2万円です。また、3,000万円のローンを組む場合の金銭消費貸借契約書も、印紙税は2万円になります。
印紙の注意点
印紙は仲介手数料などと比べるとそこまで高額な費用ではありません。しかし、注意点としては契約が解除されても返還されないということです。
というのも、印紙税はあくまで「文書の締結」の際に課税される税金なので、将来的に解約になろうとその時点では「契約が成立」しているからです。
そのため、売買契約が解除されたり、金銭消費貸借契約書が解除されたりしても、印紙税は戻ってこない点は注意しましょう。
5.その他費用
さいごに「その他費用」として以下を解説します。
- 固定資産税の精算
- 不動産取得税
なぜ「その他費用」にしているかというと、一般的に上記の費用は不動産購入費用に含めないからです。
というのも、固定資産税の精算は商慣習であり義務ではないですし、不動産取得税は「購入時」ではなく、購入後しばらくしてから発生するからです。
ただし、不動産購入に伴う費用ではあるので、上記の費用も認識しておきましょう。
固定資産税の精算
そもそも固定資産税とは、不動産の所有者が支払うべき税金であり、1月1日時点の所有者にその年の固定資産税の請求書が届きます。
不動産を1月1日に引き渡すことはないため、固定資産税の支払いは必ず売主になるということです。
しかし、本来であれば引渡し日以降は買主に所有権が移っているので、その日以降は買主が固定資産税を支払うべきです。
そのため、不動産を売買した年の固定資産税を、引渡し日をベースに案分して買主が売主に支払います。これが、「固定資産税の精算」といい、諸費用と一緒に引き渡し時に支払うお金になります。
不動産取得税
不動産取得税は地方税になり、各都道府県が管轄している税金であり、たとえば東京都であれば東京都主税局が管轄です。
不動産取得税に関しては以下を知っておきましょう。
- 不動産取得税の概要
- 不動産取得税の計算
不動産取得税の概要
不動産取得税とは、不動産を取得した時に一度だけ発生する税金です。
注意点は、不動産を取得してから半年後~1年ほど経過してから納税通知書が届くので、忘れたころに支払いが待っている点です。
物件によっては不動産取得税額が高額になるので、不動産会社に頼んで事前に計算してもらいましょう。
不動産取得税の計算
不動産取得税の計算式は以下の通りです。
- 不動産取得税=固定資産税評価額 × 4%
不動産取得税は、床面積が50㎡以上であれば固定資産税評価額から1,200万円の控除が受けられますし、土地の税率に関する軽減もあります。
ただし、投資用不動産の場合は床面積が50㎡未満の物件が多いので、該当しないケースが多いです。
いずれにしろ、不動産取得税の概算は、売買時点の固定資産税評価額を基に不動産会社に算出してもらいましょう。
6.まとめ
このように、不動産購入に関する費用は、新築か中古か?ローンをどの金融機関で組むか?いくらのローンを組むか?などによって異なります。
購入費用の概算は不動産会社が見積書として出してくれますが、内訳はきちんと確認しておきましょう。
また、「その他費用」として解説した、固定資産税の精算金と不動産取得税は見積書から除外しているケースもあるので注意が必要です。