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問題だらけ!?レオパレス物件の実態と投資家が学ぶべき3つのこと

By Oh!Ya編集部

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問題だらけ!?レオパレス物件の実態と投資家が学ぶべき3つのこと

2019年2月に、1万4,443人に引越し指示が出たことで話題になったレオパレス21。業界大手である同社の建築物から、建築基準法をクリアしていない欠陥住宅が多数見られたことで各メディアを騒がせました。

今回は、レオパレス21の物件が抱えていた具体的な問題と、ここから投資家が学ぶべき3つのことをご説明します。

レオパレス21の物件が抱える欠陥の一例

レオパレス21といえば、日本国民の多くが認知する大手企業です。しかし、施工不良が次々に発見されたことで信用は失墜してしまいました。

過去にもサブリース契約の問題でトラブルとなった同社が、今回はどのような問題で世間を騒がせているのか順を追って確認していきます。

レオパレス21の住宅に「界壁がない」ことが発覚

レオパレス21が2018年4月にリリースしたページ「界壁施工不備問題の概要について」によれば、ネイルシリーズと呼ばれる複数の住宅モデルに、本来あるはずの「界壁」がなかったとのこと。界壁は共同住宅の住戸をそれぞれ区切る壁で、通常は以下のように小屋裏や天井裏にまで伸びているものです。

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出所:レオパレス21「界壁施工不備問題の概要について

上記のように界壁が存在することで、火災時の耐火性や防音効果が期待されます。しかし、レオパレス21の共同住宅には界壁施工に不備があり、以下のような状態になっていました。

内装
出所:レオパレス21「界壁施工不備問題の概要について

公式ページでは、施工に問題があった場合でも「構造耐力(重さ・変形へ対抗する力)」に問題はないと言及しました。しかし、肝心の耐火性は低下している可能性が高く、入居者は想定外の危険にさらされていた状況だったといえます。

こうして界壁への対応を進めるなか、2019年2月に発表された「全棟調査進捗状況のご報告及び調査の過程で新たに確認された不備について」では、新たに3つの不備を公表。

  • 界壁内部充填材
  • 外壁構成
  • 天井部施工

これらに関する問題があるとして、さらなる信用の毀損に繋がりました。

界壁内部充填材に設計図上とは異なる素材を使用

調査によって、設計図では断熱材として「グラスウール」を使用すると記載のあった箇所に、「発泡ウレタン」で施工されていることが判明しています。これにより、建築基準法で定められている遮音性に及ばないことが分かりました。

レオパレス21は、作業効率を高めるための施策が招いた不備としてこれを認めており、外壁・内壁の留め付け作業簡略化が問題の原因だということです。

準耐火構造・防火構造ではない外壁の施工を実施

内装
出所:レオパレス21「界壁内部充填材の相違及び、外壁構成における大臣認定との不適合について

共同住宅に求められている準耐火構造・防火構造の外壁になっておらず、設計図に記されている大臣認定の仕様になっていませんでした。これに関しては設計部門と発注部門のあいだに認識の相違があり、大臣認定とは異なる仕様で作成されていたようです。

「2枚張り」であるはずの天井部分を1枚張りで施工

天井部分も設計図にある2枚張りの構造とは異なり、1枚張りであったり予定していた部材以外をもちいた2枚張りになっていたり、建築基準法で規定されている耐火性を満たさないことが分かっています。

建築基準法違反の疑いがあるガス管周辺の大穴

2019年5月には、文春オンラインの記事「レオパレスに新たな“建築基準法違反”疑惑」によって、ガス管周辺に大きな穴が開いている写真が公開されました。

記事内では、一級建築士が「配管・ケーブルを通している貫通部は埋める必要がある」と言及しており、本来なら耐火性の素材で塞ぐべき箇所が放置されていると判明しています。同氏の見解では、火災時に炎が燃え移りやすい状況にあり非常に危険とのこと。

建築基準法では、2階へ炎が到達するまで「45分ほど持ちこたえられる構造」が求められるケースであるところを、この物件はわずか数分で燃え広がるだろうと指摘されています。

サブリース問題でも業界を騒がせたレオパレス21の実態

前半では、レオパレス21の施工不良について記載しましたが、同社は以前にサブリース契約にまつわる問題も起こしています。

賃貸需要のない土地に物件を多数建築

レオパレス21は、サブリースによる「30年家賃保証」を謳い文句にして、地方にアパート建設を勧める営業活動を実施していました。

その結果、狭いエリアにレオパレス21のアパートが乱立することとなり、賃貸需要に比べて住宅が多いため入居率は低下。契約書には「当初10年間は賃料を不変とする」と記されていたにもかかわらず、約300人が10年未満のあいだに賃料を減額されてしまったことが、経済ドキュメンタリー番組「ガイアの夜明け」のなかで明かされました。

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出所:netgeek「【炎上】レオパレスの詐欺ビジネス VS 社長を詰問するガイアの夜明け

これにより、相続対策になると説得されてアパートを建築したオーナーの多くが、家賃保証により安定利益を得られるといった期待を裏切られたのです。

「終了プロジェクト」により家賃保証の減額・解約を加速

さらに、レオパレス21は「終了プロジェクト」と呼ばれる、サブリース契約の解約を目的とした指示が出ていたことも明らかとなっています。

各所の支部に送信された社内メールのなかでは「10年を超える案件は基本解約」といった方針で交渉せよと語られており、アパートオーナーから解約したいと申し出るように、強気で賃料減額を迫るよう指示されていました。

社内メールの原文は、NPO法人日本住宅性能検査協会が運営する「サブリース投資マンション等被害者相談センター」のなかで公開されています。

ガイアの夜明けが行った取材には、2億円を超える借入をしてアパートを建てたオーナーも複数登場しており、これ以外にも再起が難しいケースは多々発生していると想像できます。

レオパレス問題から学ぶべき3つのこと

レオパレス21が起こした施工不良やサブリース問題から、不動産投資家が学ぶべきことは数多くあります。見ていて気持ちの良い事例ではありませんが、同じようなトラブルに巻き込まれないように各問題を分解して振り返ってみましょう。

投資に「大手企業だから信用できる」という理屈は通じない

家電や日用品を買うとき、無名の会社が販売している製品よりも、コマーシャルに出ている製品を手にとってしまうことはありませんか?高額な買い物になるほど、つい「安心感」を重視して見知った企業を選んでしまうものです。

ただし、このマインドを投資の世界に持ち込むべきではありません。今回ご紹介したレオパレス21の一件のように、ネームバリューを武器に相手を信用させて搾取する手法は、大金が絡む業界ではよくあることです。

「大手企業だから信用できる」と信じた時点で思考することをやめてしまい、リスクに対して疎くなってしまうため注意しましょう。

需要と供給がマッチしていない「歪んだ市場」は崩壊する

ビジネスシーンにおいて、需要と供給のバランスは非常に重要であり、これを歪めて利益を出すものは長期的な持続が困難であるケースが多いです。

不動産投資でいえば、今回ご説明したサブリース契約が当てはまります。不動産投資は入居者ありきのビジネスであるにもかかわらず、入居率に関係なく賃料を保証し続けるというのは、どこかで破綻する可能性が高いです。

クローズアップ現代の記事「アパート建築が止まらない ~人口減少社会でなぜ~」を参照すると、ガイアの夜明けで取り上げられた地域とは別のエリアでも、賃貸需要の低さを無視してアパートが乱立する実態が確認できます。

そして、同記事で取り上げられている資料を見れば、サブリース契約による家賃保証がいかに市場を歪めた施策なのか分かります。

グラフ

出所:クローズアップ現代「アパート建築が止まらない ~人口減少社会でなぜ~

上記の資料では、サブリース契約をしなければ収入はみるみる下がっていく一方で、家賃保証を利用すれば30年間ずっと高利回りが維持できると見て取れます。

契約会社が赤字を垂れ流しつつ、30年のあいだ面倒を見てくれるという、冷静に考えればおかしな構造だと分かる異常な内容。市場を歪めて利益を確保する、典型的な悪例だといわざるを得ません。

これでは、とても長期的に利益を獲得し続けられはしないと気付けるよう、投資話は常に「市場を歪めていないか」という点に注意すべきなのです。

騙されたくなければ「収益の流れ」を理解する能力が必須

今回、後半はレオパレス21のサブリース問題にフォーカスしましたが、不動産業界ではこのほかにも「搾取する意思の強い三為」や「不正融資」などの複数の問題が横行しています。

三為とは?

ある売主Aから三為業者が物件を購入し、その物件を別の買主Bに販売するとき、所有権は2度変わることになり名義変更・課税が2回発生します。これを、新中間省略登記を利用して、以下のような順序で売主から買主に直接所有権を移動させる「第三者のための契約」を行い、所有権の移動を1度にする手法が三為です。

1.「三為業者の指定先に売主Aが直接所有権を移転させる」という契約を両者間で締結
2.「買主Bを三為業者の指定先にする」という趣旨の契約を両者間で締結
3.買主Bが三為業者に、三為業者が売主Aに代金を払い、売主Aから買主Bに所有権を移転

このとき、売主Aと三為業者のあいだで行われた取引の金額は、買主Bに知らされません。そのため、買主から搾取する意思の強い三為業者は、売主から購入した価格に多額の上乗せをした金額を買主に提示します。

数千万円もの金額を上乗せされるケースもあり、これに気付かない買主は購入価格には到底及ばない資産性しかない物件を買うことになります。

悪質な三為業者に引っかからないための対策

三為の手法自体は広く使われており、全ての三為業者が悪質というわけではありません。なかには安く仕入れることを得意とする業者もおり、売却価格はそれほど吊り上げていないケースも存在します。

しかし、一部の悪徳業者だけをピンポイントで避けることは難しいため、基本的にどの業者であっても初めは警戒心を持つのが無難です。そのうえで、3つのポイントを確認してみてください。

  • 仲介してくれる業者の評判をネット検索で調べる
  • 紹介された物件がネット上に売り出されていないか確認
  • 賃料設定が地域一帯の相場より割高ではないかチェックする

3つ目のポイントは見落としやすいですが、売却価格の吊り上げにより相対的に下がった利回りを高く見せるようため、数字を操作されることが多いので要注意。どれも難しいことではないため、少なくともこの3つは毎回徹底してリサーチすることをおすすめします。

不正融資とは?

本来、金融機関の融資は「融資を返済できそうな相手」にしかお金を出しません。しかし、より多くの人に物件を購入してもらい、仲介件数を増やして利益を高めたい不動産会社にとって、返済能力の高い人だけを相手に商売をするのは非効率です。

そこで、顧客の預金残高を改ざんして、強引に融資を受けさせることで物件売買を促進化させる手段として「不正融資」が行われていました。不正融資は不動産会社が恩恵を受けるほか、買主にとっても本来手の出ない物件を購入できるという魅力があるものの、月々のローン返済額が大きくなるというリスクが潜んでいます。

自身の返済能力の範囲で融資を受けていれば、多少空室が発生しても自己負担で問題なくローンの返済ができます。一方、不正融資により返済能力を超えて融資を受けていた場合、空室によるマイナスのスケールが格段に大きくなるのです。

そのため空室が増えれば、どう頑張っても返済できないほどの支払いを迫られることとなり、積み重なるマイナスを帳消しにするため保有物件を売却する事態になる恐れもあります。場合によっては債務を帳消しにするだけの売却益が得られない可能性もあるため、不正融資を利用した物件購入は非常に危険です。

まとめ

大手企業であるレオパレス21の問題は、業界内外を問わず注目を集めました。私たちがここから学ぶことは「不動産業界には同様の問題が多く潜む」という隠されたリスクに警戒する姿勢です。

本件も非常に悪質ではありましたが、当メディアの記事「不動産投資で損をするのは誰?リスクは災害や人口減少だけじゃない!」にも記載したような、不動産業界を震撼させる事例は数多くあります。

レオパレス21に限らず危険はすぐそこに潜んでいると注意し、慎重に成功投資家を目指してください。