テーマ投資とは?メリット&デメリットと始め方を解説
By Oh!Ya編集部
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株式投資の世界で話題になっている「テーマ投資」のことが気になりますか?特定のテーマに投資ができることが注目されているわけですが、それができるとどんなメリットがあって、資産を増やせるのか気になるところだと思います。
テーマ投資自体が、まだ誕生してから間もないものだけに、名前は聞いたことあるけれどよく分からない、よく分からないために投資をためらっているという方は多いと思います。
そこでこの記事では、テーマ投資の概要や魅力、注意点、具体的に投資を始める方法からおすすめのテーマまで、テーマ投資についての全情報を余すところなく解説していきたいと思います。
話題のテーマ投資ってなんだ?
最初に、「テーマ投資とはいったい何か」という疑問にお答えしたいと思います。テーマ投資の意味だけを知りたいという方は、この章だけをお読みいただければ理解できます。
テーマ投資とは?
テーマ投資とは証券会社が提供している株式投資サービスの一種で、テーマに基づいて銘柄群を設定し、証券会社が設定しているテーマに投資をすることでテーマ関連株全体に投資ができる仕組みになっています。
例えば「東京オリンピック」というテーマがあるとします。このテーマに投資をすれば、東京オリンピック開催で恩恵を受けるであろう建設やインフラ関連、スポーツ関連などの株に幅広く投資することができます。
それぞれの銘柄を選び、研究するには勉強を要しますが、テーマ投資であれば「このテーマが今後成長しそうだ」というふんわりとしたイメージだけで具体的な投資行動を起こすことができます。こうしたテーマ投資のメリットについては、あとで詳しく解説します。
テーマ投資が個人投資家から注目されている理由
テーマ投資は個人投資家向けのサービスですが、人気は上々のようです。やはり何らかのテーマに対する投資意欲は持っているものの、それを具体的な投資行動に移すとなるとどうすれば良いのか分からないと思っていた投資家が、それだけ多くいたということでしょう。
その意味でテーマ投資は、株式投資の新しいニーズを掘り起こしたと言えるのではないでしょうか。
テーマ投資のメリット
それでは、テーマ投資のメリットを見てみましょう。メリットを挙げてみると5つありましたが、どれも魅力的なものばかりです。
①深い知識がなくてもイメージだけで株式投資ができる
冒頭で述べたように、テーマ投資は「この分野、この業界、このテーマが成長しそうだ」というイメージだけで投資が可能です。これには深い知識を必要としないので、株式投資をしたいけれどあまり勉強するのは苦手だという人に最適です。
②自分が投資したいテーマの株を探す必要がない
この分野が伸びそうだという思惑はあっても、それを株式投資に反映するにはその分野の関連株を探さなくてはなりません。株の知識があればそれも可能だと思いますが、初心者にとってはこの作業が意外に大変です。テーマ投資であればテーマ別の関連株が自動的に選択されているので、このピックアップ作業が不要になります。
③一度に複数の銘柄に投資するためリスクが分散される
投資にリスクは付き物なので、それを軽減する手法として分散投資が有効であるとされています。1社だけの株を持っているよりも複数の銘柄を持っているほうがリスクが分散されますが、それを選んで組み合わせるのは簡単なことではありません。テーマ投資ではテーマを選んで購入するだけでそこに組み込まれている銘柄に分散投資されるため、リスク軽減の効果があります。
④複数銘柄への投資である一方で意外に少額である
あるテーマに基づいて株の銘柄を選び、それらの分散投資をするとなると、かなり多くの銘柄を買うことになります。株式投資では単位株といって最低売買数が決まっているので、最低単位だけを買ったとしても相当な金額になってしまいます。これでは初心者向きとは言えません。 この点、テーマ投資では単位未満株といって最低売買単位よりも少ない株を証券会社がばら売りの形で販売しているので、少ない金額からでもテーマを買うことができます。
⑤テーマ投資を通じて社会や経済への関心が高まる
これはテーマ投資に限ったメリットではありませんが、株を持っているだけで人は株式市場や経済への関心がぐっと高くなります。経済への関心が高くなることは「株で儲ける」という以外にも多くのメリットが考えられるので、こうした世界に関心を持つきっかけになることは決して無駄ではないでしょう。
テーマ投資のデメリット
メリットの次に、テーマ投資のデメリットにもスポットを当ててみましょう。テーマ投資の概要についてよくご存じない方にとっては初見となる情報もあると思いますので、しっかり把握しておいてください。
①購入銘柄に自分の意向が反映されないことも
テーマ投資のメリットは自分で関連銘柄を選ばなくても良いことですが、それは自分の意に沿った銘柄群にならないことの裏返しでもあります。購入銘柄の中によく分からない銘柄、意に沿わない銘柄が含まれていたとして、それでも最終的に儲けが出れば文句はないかも知れませんが、逆に損をしてしまった時には不満につながる可能性があります。
②選定された銘柄が優良銘柄とは限らない
先ほどのデメリットの延長線上にあるデメリットとして、テーマ投資に選定されている銘柄のすべてが優良銘柄とは限らない現実があります。あくまでもそのテーマに関連する銘柄を集めているものであり、優良銘柄特集ではありません。ただし強弱織り交ぜて分散投資になっているので、それが損失に直結するというわけではないのですが。
③自動積立に対応していない
個別株投資であれば自動積立といって毎月一定量を買い増していくといったサービスがありますが、テーマ投資にはまだそういった機能はありません。このあたりはまだ未成熟なだけで、今後そういった機能が拡充されていくかも知れません。
④選んだテーマが落ち目になると損失になる
テーマ投資は複数銘柄に分散投資をしているのでリスクの分散効果は得られますが、選んだテーマそのものが落ち目になってしまったら、そのテーマと心中する可能性が出てきます。これからも中国経済は伸びる!という思惑で中国関連株というテーマを買っていたとしたら、昨今の米中貿易戦争は大きなリスク要因になっていたことでしょう。
テーマ投資はアリか?
メリットとデメリットをそれぞれ理解していただいたところで、それでは「テーマ投資はアリなのか?」というひとつの結論を導いてみましょう。筆者の見解では、テーマ投資は株式初心者にとって魅力的なサービスであり、それほど多額の資金を必要とするわけでもないので、選択肢のひとつとしてはアリだと思います。
さらに、テーマ投資をきっかけに株や経済に関心が高くなって、ゆくゆくは個別銘柄への投資をしたり、株以外のFXや不動産などへと進出していけるようなきっかけになれば、十分メリットはあると思います。
テーマ投資の仕組み
ここでは、テーマ投資を始めてみようと思われている方のために、テーマ投資というサービスの詳細を解説します。
テーマ投資は証券会社の個人投資家向けサービス
テーマ投資は一部の証券会社が行っている個人投資家向けのサービス、とりわけ株式初心者をターゲットとしたサービスです。メリットやデメリットについてはすでに解説した通りで、株がよく分からないという人であっても本格的なテーマ関連株投資ができるというのは、大きなメリットです。
注意したいのは、すべての証券会社で提供されているサービスではないことです。この記事では代表的な3社のサービスをご紹介しますが、本格的にテーマ投資を始めるのであれば、この3社が現実的な選択肢となるでしょう。
実際のテーマ投資銘柄を見てみよう
それでは実際に、テーマ投資にはどんな銘柄が組み込まれているのかを見てみましょう。テーマ投資の草分けであり、業界でも注目度の高いfolioの「VR(仮想現実)」というテーマを例に解説します。
2019年8月29日現在、このテーマは価格が80,871円です。すでに3年の運用で41%もの利益が出ているというのですから、VRというテーマが成長していることを証明しています。
組み込まれている銘柄を見ると、VRのハードウェア関連とソフトウェア関連の両方が見て取れますが、やはり多いのはソフトウェア、コンテンツ関連です。VRの普及によって新たなビジネスチャンスが拡大しそうな銘柄ということで選ばれているものと思われます。有名企業も多数含まれており、これらの株をすべて購入するとなると100万円以上の資金が必要になると思いますが、それを10万円未満で買えるところがテーマ投資の面白いところです。
テーマ投資で利益を上げるには?
先ほどご紹介したfolio社のVRというテーマでは、設定来41%の利益が出ているようですが、テーマ投資で利益を上げるには、このように購入時よりも銘柄群の株価が上昇した時に売って利益を確定するか、保有し続けて配当を得るかという2つの方法があります。
配当を受け取るといってもそれぞれの銘柄の保有株数が少ないので、どちらかというとテーマに選ばれている銘柄群の株価上昇を狙って高くなったら売るというのが王道になると思います。
テーマ投資が少額から始められる理由
ここまで何度か触れてきていますが、テーマ投資は「株のばら売り」もメリットのひとつです。最低売買単位である単位株を購入することなく単位未満株であるS株を購入できるため、幅広い銘柄に分散投資が可能になります。
これは本来、大口投資家やお金持ちが行ってきたリスク分散手法ですが、S株を活用することによって数十万円規模の投資金であっても同じことが可能になります。
もちろん、それだと購入数が少ないとお感じであれば、テーマを複数口購入すれば良いので、このように投資規模を自分で調節できるところもテーマ投資のメリットであると実感できると思います。
テーマを選ぶだけという手軽さを大いに活用しよう
これから伸びそうなテーマ、有望だと思うテーマを選んで、買うだけ。テーマ投資の面白さであり、何と言っても最大のメリットはこれに尽きます。本来は株式初心者向けのサービスですが、百戦錬磨の株式投資家の中にもテーマ投資をしている人は少なからずいるので、それだけ面白いサービスだと感じている人が多いということでしょう。
そこで次章では、「株って何?」という超初心者がテーマ投資を始めるまでの手順を解説したいと思います。
株未経験者、超初心者がテーマ投資を始める手順
株のことをよく知らない、まして株の買い方なんてもっと分からないという方も、ご安心ください。ここでは超初心者の方もテーマ投資を始められるよう、基本から順に解説します。
テーマ投資を扱っている証券会社に口座を開設する
先ほども述べたように、テーマ投資はすべての証券会社で提供されているサービスではありません。テーマ投資を始めるには、テーマ投資のサービスがある証券会社に口座を開設する必要があります。
2019年8月現在、以下の3社がテーマ投資サービスを提供していることを確認済みです。この他にもあるかも知れませんが、主要な3社という認識で参考にしてください。
口座に入金する
証券会社での口座開設は、どこも無料です。お金が必要になるのは、実際にテーマ投資を始めるための資金を入金する時からです。おおむね10万円前後のテーマが多いので、まずはそれくらいの資金規模から始めてみてはどうでしょうか。
テーマを選ぶ
口座に入金をしたら、買いたいテーマを選びます。証券会社によってはとてもたくさんのテーマがあるので迷ってしまいますが、その選び方については次章で解説しますので、それを参考にしてください。
選んだテーマに買い注文を出す
買いたいテーマを選んだら、テーマに対して買い注文を出します。個別株に注文を出すのと同じ感覚で、「このテーマを買いたい」という注文を出すだけです。その時の価格で買ってもいいですし、指値といって希望する価格になった時に注文を成立させる方法も可能です。
テーマ投資をやめる時は
テーマ投資をやめるには、保有しているテーマを売却するだけです。そのまま買わなければやめたままになりますし、再びやろうと思うのであればまたテーマを購入することでいつでも再開できます。口座を持っているだけなら維持費も必要ないので、完全に無料で維持できます。
テーマ投資で「テーマ」を選ぶ方法
ここでは、テーマ投資の成否に大きく関係するテーマ選びについて解説します。テーマ投資のテーマ選びは株式投資の銘柄選びのようなものなので、しっかりと選びたいところです。
どんなテーマがある?
まずはテーマを選ぶのにあたって、どんなテーマがあるのかをチェックしてみましょう。テーマ投資を取り扱っている証券会社のサイトで、選択肢となるテーマを見ることができます。folioとSBI証券のテーマを以下のページから見ることができるので、一度見てみてください。
※SBI証券のテーマキラーは口座を持っていないとテーマ一覧を見ることができないため、上記ページのサムネイル画像から参照してください。
何となく注目度が高そうなテーマが並んでいることにお気づきかと思いますが、中にはあまり見慣れないような名前のテーマもあるかと思います。こうした見慣れないキーワードに接して「何だろう?」と興味を持つことも、投資家としてとても重要なことです。そこから新たなトレンドをつかむことができたら、大いに価値のあることだと思います。
成績が良好なテーマから選ぶ
最も王道なのは、成績が良好なテーマを選ぶ方法です。folioやSBI証券では騰落率(※)でランキング表示を見ることができるので、成績で選ぶのであればこうしたランキングの上位にあるテーマや、少なくともプラスになっているものを選ぶべきでしょう。
folioのランキング例(2019年8月29日の上位5テーマ)
SBI証券のランキング例(同日)
SBI証券の場合は騰落率ではなく、アクセス数や急上昇ランキングという形で表示されています。アクセス数も人気を示すバロメーターとして使えると思うので、テーマ選びの参考にしてください。
これらのランキングから分かることは、folioであれば「ドラッグストア」「テーマパーク」「第4次アニメブーム」などが有力テーマということになります。SBI証券だと「5G」「キャッシュレス決済」「AI」などといったところでしょうか。どれも今の時代を映す鏡のようなテーマばかりです。
新しいテーマから選ぶ
「これから伸びる」という意味では、新しいテーマから選ぶのもひとつの作戦として有効です。「MaaS」「ベトナム」「がん最先端治療」「宇宙開発関連」などを新しいキーワードとしてテーマの中から注目してみましたが、この語句のすべてを説明できますでしょうか?
また、なぜこれらの新しいテーマが注目されているのかも説明できますでしょうか?テーマ投資は、こうした新しいキーワードを理解するところにもメリットがあるので、ぜひ新しいキーワードは調べて簡単にでも理解するようにしてください。
自分の得意分野から選ぶ
個別銘柄に対する株式投資でも同様ですが、やはり強いのは投資家本人が得意な分野、よく知っている分野、好きな分野です。これはそれぞれの投資家の強みなので、テーマ投資でもそれをいかすことで有利な投資が可能になります。
いわゆる「デジモノ」が好きな人であれば、先ほどご紹介した「VR」をはじめ、「5G」や「AI」、「eスポーツ」などがイメージしやすいと思います。特定の国に詳しい人であれば、folioにある「インド」「ベトナム」「中国」「インドネシア」など新興国に関するテーマ投資が良いのではないでしょうか。
得意分野については他の人よりも優位性がある部分なので、大いにいかしたいところです。
編集部おすすめのテーマ3選
最後に、編集部おすすめのテーマを3つ厳選しましたので、それをご紹介したいと思います。
インバウンド関連
中国の景気減速や日韓関係の悪化などインバウンドブームに水を差すような出来事が続いていますが、それでもなお堅調な推移を見せています。これだけ逆風が吹いていても堅調であるということは、それだけインバウンド需要の足腰が強いということです。中国や韓国だけでなく東南アジアや中東からのインバウンド需要も伸びているため、今後も手堅いと見てインバウンド関連のテーマを1つ目に選びました。
folioには「ようこそ日本へ」というテーマが、SBI証券には「インバウンド」というテーマがあり、これらが該当します。
キャッシュレス決済関連
いよいよ日本でも本格的な普及が目前に迫っていると見られているのが、キャッシュレス決済です。すでに海外ではかなり普及しているものの、現金主義の傾向が強い日本ではなかなか普及が進まず、似たようなサービスが乱立していることも普及を妨げている感があります。
しかし、ここにきて消費増税に絡んでポイント還元はキャッシュレス決済に限定するなど、国としても何が何でも普及を進めたいという意図が見えるようになってきました。そこでいよいよキャッシュレス決済が本格的に普及するとなると関連株の成長が期待できるので、キャッシュレス決済のテーマを2つ目に選びました。
folioでは「キャッシュレス・ジャパン」、SBI証券では「キャッシュレス決済」というテーマが、これに該当します。
これからの働き方関連
働き方改革という言葉がまるで流行語のようになって久しいですが、確かに働き方の多様化や時間短縮など、現場にさまざまな変化が起きてきています。そこで注目されるのが、テレワークや人手不足対策などの関連株です。人手不足の解消については効率化や自動化といった新しい技術への期待が高まっているので、本格的に普及すると大化けもあり得ます。
folioには「ストップ!人手不足」という働き方関連のテーマが、SBI証券には「テレワーク」というテーマがあります。上記の2つと違ってここではあまり内容が似ていないテーマ同士ですが、いずれもこれから市場が大きくなることが確実の分野です。
まとめ
テーマ投資という株式投資の新しい形態について、語句の解説から仕組み、メリットやデメリット、そして具体的に投資を始める方法やテーマの選び方など、テーマ投資に関連する全情報を網羅してきました。どんなものかよく分からないという状態だった方も、テーマ投資のことを十分に理解していただけたのではないでしょうか。面白そうだと思った方はまず、口座開設とテーマ選びから始めてみてください。ちょっとしたきっかけが、今後の人生に大きなプラスをもたらすかも知れません。