賢く仕事を辞める方法とは?後悔しないために守るべき4つのポイント
仕事を辞めるのは、多くの人にとってエネルギーが必要となる選択です。しかし、現状に不満を抱えたまま我慢を貫き通すことで、貴重な人生の時間を失ってしまうのは何としても避けたいところ。
今回は、退職時に敵を増やすことなく円満退社し、理想的な環境で新たな一歩を踏み出すためのポイントについてご説明します。
仕事を辞めるまえに確認すべき4つのポイント
退職に慣れていない人にとって、「仕事を辞める」というイベントはどこから手を付けるべきか分からないものです。
そこで、この項では仕事を辞めるまえに確認すべき、4つのポイントを解説していきます。
ポイント1:退職したい理由を洗い出して整理する
日々のストレスが大きいために、なぜ退職したいのか理由を挙げることもままならないケースは多々あります。しかし、仕事を辞めると決意したのであれば、一度今後のプランを立てるために退職を望む理由は整理すべきです。
厚生労働省の「平成30年雇用動向調査結果の概要」をもとに、定年退職・会社都合・介護などの理由を除く、ネガティブな理由による自主退職の代表例をピックアップしました。あらゆる退職理由のうち、下記の6つが占める割合は約半分です。
ネガティブな理由による自主退職の例 |
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1位:給料等収入が少なかった |
2位:労働時間、休日等の労働条件が悪かった |
3位:職場の人間関係が好ましくなかった |
4位:会社の将来が不安だった |
5位:能力・個性・資格を生かせなかった |
6位:仕事の内容に興味を持てなかった |
このうち、どのような理由で退職を望んでいるのか分かれば、つぎに取るべき行動を考える材料となります。
ポイント2:仕事を辞める以外の方法があるか再確認する
退職したい理由が「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」、あるいは「職場の人間関係が好ましくなかった」といった場合には、退職を決意するまえに交渉する余地があります。
労働条件が悪かった場合の例
サービス残業や休日出勤を強いられる業種は、いまでも少なくありません。こうした、特に中小・零細企業に多く見られる問題は、経営者が「従業員が意思表示をしないから」という理由で環境改善を怠っている可能性もあります。
創業期から熱量を持って事業拡大に努めてきた経営者と、その指示を受けて働いている従業員のあいだにあるギャップを、経営者が認識できていないケースがあるのです。経営者の価値観が、従業員にとっての常識に当てはまらないと伝えるのは、有効な手段の1つです。
人間関係が好ましくなかった場合の例
また、同じ会社内で職場・部署が複数ある場合は、人間関係の問題を理由に別の場所に再配置してもらうことも解決策の1つとなります。段階を踏んで、それでも環境が改善されないのであれば、退職を思いとどまる気持ちもほとんど消えるでしょう。
結果として、あとあと退職を振り返って後悔することなく、全てを清算したうえで新たな職場を探せます。
ポイント3:当面の生活費を用意できているのかチェック
退職したい理由を確認したとき、どうにも退職以外の解決手段を見出せない場合は、退職を伝えるまえに「当面の生活費」を用意できているのか確認しておきましょう。
転職先を決めた状態で退職を伝えられれば理想的ですが、転職活動に注力するほどの余裕がなく、何も決まっていないまま退職の意思を伝えるケースが大半です。これでは、つぎの就職先を見つけるまでに時間がかかった場合、いままでの生活を維持できません。
日銭を稼ぐためにバイトを始めるほど切羽詰まれば、転職活動に割く時間が減り、さらに就職までの時間が長くなるという悪循環に陥ります。無給状態に苦しむことなく、いち早く復帰しようと考えるなら、数ヶ月分の生活費を貯めてから退職するのが賢明でしょう。
ポイント4:つぎに就きたい会社・業種を可能な範囲で考える
仕事を辞めたいと考えているとき、転職活動をする余裕がない場合は多いものの、転職を希望する会社・業種に対してイメージを深めることはできます。
現在の職場環境が合わないだけであれば、スキルを流用できる同業他社が候補となりますし、業種そのものに興味を持てないなら関心のある業種を洗い出せば良いのです。こうした意識を持つだけで、退職後に迷いなく転職活動に移れます。
すぐに仕事を辞める場合の注意点は?
すぐにでも仕事を辞めたい場合、つい勢いに任せて退職の意思を伝えがちです。しかし、円満退社を希望するなら、退職理由の伝え方や仕事を辞める時期に注意しなければなりません。
上司に伝える退職理由は慎重に選ぶべき
ネガティブな理由で退職する場合、改善を期待するのではなく退職の意思が固ければ、会社に対する愚痴をありのまま伝えるのは禁物です。経営陣や上司、社内の同僚を敵に回せば円満退社は難しくなります。
ネガティブな理由を伝えれば、それは不満を誰かにぶつけることと同義だからです。また、「不満を改善するから辞めるな」と退職を引き止める隙を与えることにもなり、グダグダと退職までの期間が長引きます。
退職の意思を伝える際は、以下のポイントを押さえてハッキリと理由を述べましょう。
- 会社に対する不満ではなく、前向きかつ個人的な理由を伝える
- 引き止められても、退職の意思は変わらないことを伝える
- 退職日は曖昧にせず明確に決める
クレジットカード作成や転居の必要性
転職先が決まっていないまま退職をする場合、つぎの仕事が決まるまでクレジットカードや賃貸物件の入居審査に通らない可能性があります。これは、会社員としての安定収入がなくなったために、返済能力が乏しいと判断されるからです。
新たにクレジットカードを作成する必要がないか確認し、退職を機に引越しをしたいと考えているなら、収入が途絶えるまえに転居先を見つけて契約することを推奨します。
ただ、この方法が推奨されるのは「転居先から通える範囲で転職活動をする」という場合に限ります。場所にとらわれずに転職先を探し、勤務地にあわせて転居するケースには適していないため、退職後のイメージに応じて使い分けてください。
準備期間を設けてから仕事を辞める場合の手順は?
退職前後にバタバタと慌てることなくスマートに転職したい場合は、ある程度の準備期間を設ける必要があります。
時間に余裕を持たせることで、自身の市場価値と目標のバランスを考慮した選択ができるため、すぐ退職するよりも後悔のない転職が期待できます。
「転職して実現したい条件」を明確にして転職活動をスタート
転職をするとき、多くの場合は年収・仕事内容・職場環境を重視します。当然、これらの要素が優れているほど嬉しいものですが、手探り状態で転職活動をしている限り良い転職先は見つかりません。
まずは、転職先に求める要素を順位付けしてから、どの部分にこだわり、どの部分は妥協して良いのか考えることが重要です。
転職して実現したい条件 | 転職先の探し方 |
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とにかく年収を重視する | 年収600万円以上の職場に絞る |
IT系のスキルを身に付けたい | 実務経験が積めるIT系の職場に絞る |
労働時間の短い職場で働きたい | 残業が月10時間以内の職場に絞る |
満員電車に乗りたくない | 徒歩や自転車で通える職場に絞る |
こうして、転職して実現したい条件を明確にすることで、転職活動をする際のミスマッチングを事前に回避しやすくなり、面接時に認識の不一致を容易に埋められます。
むやみに転職活動をしないため、必要以上に精神へ負担をかけることはなく、現職場の仕事にも支障はそれほどないはずです。すぐに仕事を辞めてしまう場合は、この部分を考える余裕がなくなってしまうため、退職時はできる限り準備期間を設けるスタンスが理想的です。
業務をスムーズに引き継げるよう整理を進める
あとは、退職の意思を伝えた際、手早く引き継ぎ作業を完了させられるように、仕事の合間に書類やデータの整理を進めておきましょう。引き継ぎに時間がかかったために退職時期を延期されては、転職活動に支障が出てしまいます。
円満退社と計画的な転職活動を両立するために、退職を意識した段階からスピーディーかつ周囲に気付かれないよう行動することが重要です。
定年を待たず若くして仕事を辞める場合のプランは?
仕事を辞めたいと望みつつ、退職理由が「すぐに仕事を辞めたい」や「準備期間を設けて退職したい」といった場合の思惑と異なるケースがあります。
その一例が、定年を待たず若くして退職する「早期リタイア」です。
早期リタイアを目指すならライフプランが重要
早期リタイアを目指して、長期的に退職に向けた計画を考える場合、これまで解説した内容と全く違うプランを考えなければなりません。
早期リタイアは生活費を賄えるだけの貯蓄、もしくは不労所得がある状態でのみ達成できます。ただし、30代や40代といった年齢で、生涯の生活費に相当する貯蓄額を貯めるのは極めて困難です。
そのため、早期リタイアの達成を目標とするなら、資産の保有により得られる「インカムゲイン(資産収入)」の確保が必須となります。
インカムゲインを確保するなら不動産投資がおすすめ
早期リタイアを目指すなら、インカムゲインを得られる体制の構築が欠かせないものの、安定して利益を得られる投資方法は多くありません。
安定利益を得られる投資先 | |
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不動産投資 | 賃貸物件を貸し出して家賃収入を得る |
配当株投資 | 配当金のある株を保有して収入を得る |
投資信託 | 分配金を還元する投資信託を保有する |
安定してインカムゲインを得られる投資方法として、上記の3つが挙げられます。
このうち、配当株投資や投資信託は安定利益こそ得られるものの、生活費を賄えるほどのインカムゲインを得るまでには多大な時間が必要です。
一方、平均的な収入の会社員であっても、不動産投資であれば大きな収益を獲得しやすく、早期リタイアを達成するための収入源として適しています。
どうして不動産投資は「早期リタイア後の収入源」として優秀なの?
不動産投資は、株式投資や投資信託で扱われる証券とは異なり、実体のある実物資産をもちいたビジネスです。そのため、投資というより「事業」としての側面が強く、金融機関から融資を受けられるのです。
購入する物件の条件、融資を希望する事業者の経済状況によっては、年間給与の5倍以上に相当する借入ができるため、自己資金と借入資金を合計して数百万~数千万円を運用に充てられます。
仮に、自己資金と借入資金をあわせて5,000万円を投じて、年間利回り10%の物件を購入すれば、インカムゲインは500万円/年です。また、不動産投資で一度実績を出せば、続けて追加で金融機関から融資を受けられるため、物件数に比例して倍々に収入は増えていきます。
こういった理由から、早期リタイアには不動産投資が適しているのです。
海外のFIREブームから読み取る早期リタイア達成のコツ
すでに海外では、新しいライフプランとして「FIRE(経済的独立による早期退職)」が支持されています。
FIREを達成した多くの世帯は、以下に注意しつつ経済的独立を果たしており、これらは日本国内における早期リタイアにも通用する考え方であるため、若くして退職することを目指すならぜひ参考にしたいところです。
海外のFIRE事例に共通するポイント |
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むやみに生活水準を高めず固定費は抑える |
見栄を張るための出費は徹底的に削る |
収入の大部分を貯蓄・資産運用に充てる |
生活費から無駄を排して資産運用に回すことで、徐々に増えていくインカムゲインが生活費を超えたとき、晴れてFIREが達成されます。
「厳しい節約を強いられる」と聞けば窮屈な生活をイメージしますが、実際のFIRE事例を見る限り、むしろ節制に楽しみを見出す様子が見られます。
安価で高品質な製品・サービスが充実し、豊かな生活を手に入れるためのコストは下がる一方であるため、現代においては理にかなったライフスタイルだと主張する声も少なくありません。
このほか、早期リタイアに関する情報は「【NG行為4つ】アーリーリタイア(早期リタイア)を叶えるマインド」でも解説しています。本記事とあわせてご参照ください。
まとめ
仕事を辞めるにあたり押さえるべきポイントは、「いつ仕事を辞めたいのか」によって異なります。基本的には、退職するタイミングまでに時間的余裕があるほど、円満退社かつ理想的な再スタートを切れる可能性は高いです。
そのため、爆発寸前まで退職を我慢する必要こそないものの、できる限り準備期間を設けることをおすすめします。
なお、後半部分で解説した早期リタイアに関しては、ほかのケースに比べて特殊な準備を必要とするため、当メディアにある投資記事を参考にプランを立ててみてください。